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http://list.jca.apc.org/public/aml/2008-March/018253.html から転載。
[AML 18739] ダライ・ラマのもう一つの顔
坂井 貴司 donko at ac.csf.ne.jp
2008年 3月 20日 (木) 23:33:11 JST
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坂井貴司です。
私は、チベットはパレスチナやイラクと同様に中国に占領されていると思っています。チベット人に対する拷問や脅迫、不当逮捕、処刑を憂慮しています。今、日本のマスコミは「チベット暴動」と言っていますけれど、私に言わせれば、中国の国内植民地に置かれていることへのチベット人の怒りが爆発した民衆蜂起です。
ただ、チベット独立に関しては私は慎重な態度を取るべきと思います。チベット人が固有の領土と考えている地域は、チベット「自治区」よりもはるかに広い領域です。その領域には、パキスタンとインドが領有を争っているカシミール地方も含まれています。チベット独立を望まない国は中国だけではありません。
そしてチベット人は「自治区」以外に四川省や甘粛省などに大勢住んでいます。もし独立となると、旧ユーゴスラビアとは比較にならないほどの民族浄化が予想されます。さらにチベット独立を認めれば、ウィグル人やモンゴル人などの諸民族も同様の要求をすることは間違いありません。そうなれば日本もただではすみません。
さて、河内謙作さん[AML:18703]は書きました。
「あの穏健なダライラマが」
私は以前ダライ・ラマ14世を、愛と非暴力で中国の侵略と戦う高徳の宗教的指導者として尊敬していました。あの穏やかなほほえみが大好きでした。彼がノーベル平和賞を受賞した時は本当にうれしく思いました。
しかし、その思いは次の写真で完全に変わりました。
中国に関する論争がAMLで交わされた時、[AML:2763]で紹介された写真です。
http://www.american-buddha.com/asecretwar53a.jpg
彼が、インド軍の将校と一緒にジープに乗って、秘密チベット人部隊(SFF)兵士を閲兵している写真です。愛と平和を語るあの穏やかな笑顔と同じ顔で、武装したチベット人兵士たちをうれしそうに見ています。
中国がチベットに軍事侵攻したためインドに逃れたダライ・ラマ14世は、「敵の敵は味方」の論理に従い、1950年代半ばから1970年代半ばまで、中国と対立していたアメリカの軍事援助を受けて、対中武装闘争を指揮していました。
彼の命をうけて多くの亡命チベット人がアメリカで軍事訓練を受け、チベットに潜入し、中国軍と戦いました。
秘密チベット人部隊の記念撮影
http://www.american-buddha.com/asecretwar50a.jpg
彼らはアメリカ製の武器と軍服に身を固めています。
こんな子どもまでもが軍事訓練を受けて、中国軍と戦いました。
http://www.american-buddha.com/secretwar3rd-2.jpg
中国政府から見れば、ダライ・ラマ14世は、オサマ・ビンラディンと同様の「テロリスト」に他なりません。
この武装闘争はアメリカが期待したほどの効果を収めることはできませんでした。結局、キッシンジャー国務長官の反対とニクソン訪中で、ダライ・ラマ14世に対する軍事援助は打ち切られ、対中武装闘争は中止されました。
この武装闘争に関して、ダライ・ラマ14世やチベット亡命政府(ペマ・ギャルポ氏など)は一切語っていません。彼の本(例えば(中公文庫「チベットわが祖国」) や、
チベット亡命政府のHP
http://www.tibethouse.jp/cta/
にも一つも書いてありません。
武装闘争を指揮したという過去を封印して、彼はチベット独立運動や平和、宗教運動を行っています。
私はダライ・ラマ14世のあの穏やかな笑顔に隠されたもう一つの顔を知って以来、彼を無条件で支持できなくなりました。
坂井貴司
福岡県
E-Mail:donko at ac.csf.ne.jp