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ピノチェトは経済を回復させなかった [ パワーポリティックス非公式情報 ]
http://plaza.rakuten.co.jp/31sakura/diary/200612120000/
クーデターで権力を握ってから17年間、独裁者としてチリに君臨したオーグスト・ピノチェトが12月10日に91歳で死亡した。
1973年9月11日、チリで軍事クーデターがあり、選挙で勝利して誕生したサルバドール・アジェンデ政権が倒された。クーデター軍はアジェンデ大統領を殺害、彼の支持者3000名以上を虐殺している。民主的に選ばれた政権をピノチェとは倒したのである。この辺の事情を「社会主義政権を倒した」と表現して誤魔化しているマスコミもあるようだが。
クーデターの黒幕はヘンリー・キッシンジャーだった。当時、ウォーターゲート事件で身動きのとれなかったリチャード・ニクソン大統領に代わり、アメリカ政府を動かしていたのがキッシンジャー。CIA内部でも存在が隠されていた秘密グループを使ってクーデターを実行したのだが、その際に「護憲派」だったチリのレネ・シュネイデル参謀総長を暗殺している。シュネイデル将軍の次の参謀総長カルロス・プラット将軍も護憲派だったが、クーデター後に亡命先のアルゼンチンでチリの情報機関によって暗殺されている。
1976年9月には、アメリカの首都ワシントンDCでアジェンデ政権の閣僚を務めたオルランド・レテリエルが車に仕掛けられた爆弾によって殺された。この件もチリの情報機関の犯行。南アメリカの軍事政権はその頃、反体制派を暗殺する秘密の共同プロジェクト「コンドル」を始動させていた。レテリエルもその犠牲者。自分の縄張りで暗殺を許す形になったCIAの面目は丸つぶれのように見えるのだが、事前に情報を入手していた可能性が高いと言われている。その時の長官はジョージ・H・W・ブッシュ(現大統領の父親)だ。
クーデターの前、アメリカ政府はチリを不安定化するために経済戦争を仕掛け、労働組合を使ってアジェンデ政権に揺さぶった。労働組合には少なからぬCIA協力者がいたと言われている。つまり、アメリカが経済戦争をやめるだけでもチリの経済は「回復」する。1980年代にはイラクへクラスター爆弾や化学兵器を売って儲けている。
ところが、ピノチェトはミルトン・フリードマンの「自由市場原理」を導入したため、「公営企業の民営化」と「債務の社会化」、つまり儲かるのは一部の大企業や富豪、借金を返すのは一般国民という構図の中で貧富の差が拡大してしまう。富が集中した一部の人たちが買う贅沢品がブームになるものの、国民の45パーセントが「極度に貧困」か「貧困」という状態にだった。一部の富裕層にしてみれば「景気の回復」であり、「経済を立て直した」ということになるのだろうが、多くの国民にとっては生活の破壊にほかならない。
ちなみに、ソ連の解体で重要な役割を果たしたボリス・エリツィンも「民営化」を積極的に推進したが、その結果は権力と犯罪組織が渾然一体となる破滅的な状況を生み出し、国民生活は破壊されてしまった。富を一部の特権階級に集中させ、大多数の国民を貧困状態に追い込むのが「新自由主義経済」なのである。この事実を日本の国民も早晩気づく。その前にファシズム化を進め、締め付けを厳しくしなければならず、監視システムの充実と改憲を急ぐ必要もあるのだろう。