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安倍人脈:次期政権像を探る/1 ブレーン政治
◇合議で「参拝、明言せず」−−「草の根保守」形成狙う
東京・赤坂の全日空ホテルの一室で6月30日、安倍晋三官房長官、側近の下村博文衆院議員に加え4人の学者・有識者がだ円形のテーブルを囲んでいた。伊藤哲夫・日本政策研究センター所長、島田洋一・福井県立大教授、西岡力・東京基督教大教授、八木秀次・高崎経済大教授の4氏。出席者はクッキーをつまみながら、A4の1枚紙に目を凝らした。
「春秋例大祭での参拝を基本とし、終戦記念日の参拝にはこだわらない」「自身の参拝については行く、行かないは明言しない」−−。ペーパーには、安倍氏が首相になった際の、靖国神社参拝に関する対処方針が個条書きされていた。
この日欠席した中西輝政・京大教授を4氏に加えたメンバーは、安倍氏を支えるブレーン「5人組」(関係者)として、今春から安倍氏と数回会合を重ねている。関係者によると、安倍氏は一連の会合で「(75年の)終戦記念日に参拝した三木武夫元首相以前は、首相の参拝は春秋の例大祭に行われていた。『三木首相以前』に戻すべきだ」と主張した。「対処方針」は、安倍氏と5氏らの議論を結実させたものだった。8月4日、安倍氏が4月15日に靖国参拝したことが明らかになった時、安倍氏はこの「言わない」対処方針を忠実に実行した。
保守系シンクタンクを運営する伊藤氏は、安倍氏や中川昭一農相が97年に作った「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の結成に関与するなど、安倍氏と長い親交がある。島田、西岡両氏はともに、北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)の幹部。中西、八木両氏は保守系シンクタンク「日本教育再生機構」設立準備室の代表発起人と代表を務める。
会合で、出席者の一人は、靖国神社境内にある歴史博物館「遊就館」に、「(ルーズベルト米大統領は)資源に乏しい日本を禁輸で追いつめ、開戦を強要。参戦によってアメリカ経済は完全に復興した」と説明した展示物の存在について事実関係に問題があると指摘した。協議した結果、神社側にパイプのあるメンバーを通じ、見直しを働きかけることにした。
参加者の一人は「安倍氏は自分の行動は自分で判断するタイプ。ブレーンなるものは存在しない」と語る。だが、参加者の経歴は異なるものの、外交、教育分野などで安倍氏の政策を側面支援してきた点で、全員は共通している。過去、学者ら識者の意見を活用した首相は、戦前では近衛文麿氏、戦後では大平正芳、中曽根康弘両氏が知られる。特に中曽根氏は「ブレーン政治」と呼ばれるほど、学者を重用した。次期首相就任が確実視される安倍氏が、5氏の意見をどう政策に反映させていくのか。
こうした保守系ブレーンと連動し、安倍氏が探っているのが民間で活動する「草の根の保守」ネットワークの形成だ。
幹事長代理時代の04年秋、自民党本部に保守系地方議員のほか、西尾幹二・電気通信大名誉教授、「救う会」の佐藤勝巳会長ら約25人が集まった。
安倍氏が「手本」として目指したのは、キリスト系宗教団体などとの連携を強め、政権を運営したブッシュ政権の選挙手法「グラスルーツ・コンサバティブ(草の根保守)」の日本版だ。安倍氏はあいさつで、教育分野で安倍氏の政策に近い山谷えり子氏が同年の参院選で上位当選したことにふれ、「自民党にとって画期的だった。自民党の結党理念は憲法改正だ。真の保守と連携していきたい」と述べた。
会合では「自公連立」も俎上(そじょう)に乗り「自民党と保守系地方議員との草の根のネットワークを強めるべきだ。その結果、(自民党を支える)公明党・創価学会票に勝るとも劣らない票が得られれば、自民党も変わる」などの意見も飛び出した。
総裁選で安倍氏を支援する民間団体の「『立ち上がれ!日本』ネットワーク」は29日、東京都内でシンポジウムを開く。「呼びかけ人」に名を連ねるのは伊藤、中西、西岡、八木の4氏だ。来月1日の安倍氏の出馬会見を目前に、水面下で培われた人脈が表舞台に姿を見せることになる。
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「ポスト小泉」レースで次期首相への就任が確実視される安倍官房長官。よりどころとする人脈をさまざまな角度から探った。=つづく
毎日新聞 2006年8月29日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/06sousaisen/archive/news/2006/08/20060829ddm005010075000c.html
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