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(回答先: 都会の死角 自転車事故編 <上> 【東京新聞】 投稿者 愚民党 日時 2005 年 7 月 02 日 01:19:10)
都会の死角 自転車事故編<中>
「自転車が歩道を通行できるのは『自転車通行可』の標識がある場合に限る、ということを知っていますか」
そんな問いかけを含むアンケートを、旧総務庁が一九九八年に行ったことがある。結果は「知らない」が45%、「知っているが、守っていない」も23%に上った。
原則として車道の左端を通行しなければならない自転車。歩道通行時の最も基本的な道交法上のルールについて、三人に二人が知らないか軽視していた。その後も自転車対歩行者の事故は増え続け、自転車のマナーが改善する気配はない。
道交法の規定ではほかにも、自転車通行可の歩道で「車道寄りの部分を徐行しなければならない」ことや、「歩行者の通行を妨げる時は一時停止しなければならない」という歩行者優先のルールが罰則付きである。
しかし、自転車が歩道でベルを鳴らし、歩行者をどかせる風景はいまや日常的だ。
“ルール違反”は歩道に限らない。警察庁によると、〇四年に起きた自転車事故のうち、自転車側にも法令違反があった割合は68%に上った。
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昨年七月二十三日午後五時十分ごろ、東京都大田区上池台一丁目の路上で、区内に住む男性=当時(78)=が、向かってきた自転車のハンドル右端で右手を接触された。男性は転倒し、左太ももの骨を折る二カ月の重傷を負った。自転車はそのまま立ち去った。
現場は、商店街入り口付近の車道と歩道の区別がない道路。道幅が狭いだけに、通行には細心の注意が必要だ。
警視庁田園調布署によると「自転車は電柱を避けようと道路の中央側に寄り、歩行者と接触したようだ」という。電柱と歩行者の間を無理にすり抜けようとしたらしい。同署は目撃者を探したが、「若い男」としか分からなかった。
■車より重い罰で取り締まり困難
なぜ、自転車のマナーは向上しないのか。
法社会学が専門の松村良之・北海道大教授は、警察官が自転車の違法行為を取り締まりにくい法的な問題点があると指摘する。
松村教授は「自転車の道交法違反には(車の違反に適用する行政罰の)反則金制度がなく、一般の刑事罰が科せられる。自転車の違反が、車の同じ違反より重く罰せられる」と説明。車との不均衡さから、自転車に対しては「道交法違反の法執行は事実上なされないことになる」とし、これが「自転車交通のアナーキー(無秩序)化を促している」という。
警察庁によると、自転車を含む軽車両の交通違反取り締まり件数は、〇四年でわずか八十五件。これは全国での数字だ。交通違反全体の取締件数が約八百五十四万件なのに比べ、確かにほとんど摘発されていない。
ただ、近年は自転車の危険・迷惑行為などに対し、警察官が「指導警告票」を手渡しているという。
〇四年は約九十八万件を交付した。地域によっては警告票の交付で事故が減ったとみられる例もあるが、長期的な効果は未知数だ。
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事故増加の原因を自転車のマナーだけに求めても、利用者から反発があるに違いない。都市部を走る自転車にとって、狭い歩道の車道側は街路樹や電柱、バス停などが出っ張り、快適に走行しにくい事情がある。専用道の整備はどうなっているのか。
国土交通省は二〇〇一年、交通量が多い都市部の道路を新設、改築する際に、独立した「自転車道」を設置する方針を決めた。だが、担当者は「都市部では新設、改築自体があまりないし、用地の確保も難しい」と、時間がかかることを認める。
ルール軽視の雰囲気と、整備が進まない走行空間。自転車の交通体系における位置づけがあいまいな中で、事故だけが増え続けている。
◆道路交通法第六三条の四(1) 普通自転車は(略)道路標識等により通行することができることとされている歩道を通行することができる。
同(2) 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(略)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。
=罰則は「二万円以下の罰金または科料」
文・森川清志
http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20050630/mng_____thatu___000.shtml