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山教組問題 県政連会長ら3人告発 教育関係有志5人「報告書に虚偽記載」
山梨県教職員組合(山教組)と政治団体の県民主教育政治連盟(県政連)が民主党の輿石東参院幹事長支援のため、教員から組織的に選挙資金を集めていた問題で、教育関係者の有志グループが七日、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で、県政連会長ら三人を山梨県警に告発し、受理された。有志グループは同日、東京地検にも告発状を提出した。
告発したのは、元拓殖大総長の小田村四郎氏▽狭山ケ丘高校校長の小川義男氏▽元参院議員で神奈川県教組委員長経験者の小林正氏▽全国教育問題協議会常務理事の山本豊氏▽皇学館大助教授の松浦光修氏−の五人。
告発されたのは県政連の広瀬智徳会長、会計責任者の高見沢静佳氏、事務担当者の清水美生氏。
告発状によると、県政連は平成十五年に、教員からカンパ名目で少なくとも一億円の寄付金を集めたが、高見沢氏は清水氏と共謀、同年の政治資金収支報告書に個人からの寄付金がなかったと虚偽記載し、県選管に提出。広瀬氏は、高見沢氏の選任・監督に注意を怠ったとしている。
告発について、広瀬会長は、「十五年分の収支報告について疑義が持たれているが、十六年分の収支報告書に記載するつもりだ」とのコメントを発表。輿石氏は取材に「コメントする立場にない」としている。
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■「政治とカネ」深刻な影響
■教育正常化、他県にも波及か
山教組と政治団体の県政連による選挙資金集め問題は七日、県政連幹部が刑事告発を受ける事態に発展し、実態解明は司法の手に委ねられた。教員による違法な選挙活動は、「政治とカネ」の問題が教育現場にも深刻な影を落としてきたことを物語っている。
◆問題解明の入り口
県政連は毎年夏冬のボーナス時に合計で校長一万円、教頭七千円、一般教員五千円のカンパを半強制的に徴収。民主党の輿石東参院幹事長の選挙を控えた十五年十二月には校長三万円、教頭二万円、一般教員一万円の臨時カンパを集めた。こうしたカンパの使途は教員にも知らされていない。
しかし、これは「山教組問題解明の入り口」(自民党議員)。輿石氏支援のための教員による(1)政治団体入会カード集め(2)選対支部などでの電話作戦(3)ポスター張り替えや国政報告会への動員(4)学校施設内での選対会議−など、公職選挙法や教育公務員特例法への抵触も指摘される。
小泉純一郎首相は二日の衆院予算委で「教員も公務員だ。法律をきちっと守ってもらわないと困る」と述べたが、「公正中立であるべき教育現場と一定の政治勢力が近すぎる」(教育専門家)現状が問われている。
◆労組の「県政支配」
山教組の組織率は約95%で構成員は約四千六百人。劣勢を三日でひっくり返す「山教組の三日選挙」との言葉もある実力組織だ。民主党だけでなく一部の自民党候補や山本栄彦県知事の選挙も支援し、選挙を通じて影響力を保持してきた。
また、教員に対しては「人事権」を行使。「一般教員の人事は支部書記長の采配(さいはい)で決まる」(元山教組幹部)といわれる。山梨大の榊原禎宏助教授は「山教組役員の経験とよりよい昇進との間に相関関係がある」と語る。
昨年十二月の県教委人事では、山教組支部役員を歴任した人物が委員長職務代理者という要職に就任。甲府市でも労働界出身で輿石氏の選対幹部経験者が教育委員長を務めるなど、県政界と教育界の要所を押さえた山教組が県政に大きな影響力を行使している。
◆今後の展開
輿石氏は、日教組の政治団体、日本民主教育政治連盟(日政連)の会長。日政連は昨年の参院選で五人の組織内候補を当選させたが、そのうちの民主党の那谷屋正義氏(比例代表)の選挙では、地元の神奈川県教組委員長、川崎市教組委員長らが公選法違反(買収)で逮捕されている。
また、民主党の岡田克也代表のおひざ元の三重県で、組織率98%を誇る三重県教組は過去、機関紙で「岡田克也さんを衆議院へ」などと呼びかけ、候補者との政策協定を示した記事を掲載した事例もある。
告発者の小田村四郎氏は七日の記者会見で、「『教育現場を正す会』といったものをつくり、活動を続けたい」と語ったが、教育正常化を求める動きは今後、他県にも波及しそうだ。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/08pol003.htm