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http://www.asahi.com/science/news/TKY200506070244.html
2005年06月07日
「生命の誕生や進化の背景には知的な計画があった」という「Intelligent Design(知的計画=ID)」説を学校で教えようという主張が、米国で頭をもたげている。米国では、旧約聖書の創世記に基づき、天地と人類は神がつくったとするキリスト教右派が勢力を保つ。そうした宗教右派の「進化論を学校で教えるな」という主張とは表向き一線を画しているのがID推進派の特徴だ。
米東部ペンシルベニア州ドーバーで5月17日、日本の教育委員会にあたる学校区の公選委員の予備選挙があり、争点はIDの扱いをどうするかになった。なぜ生命は誕生したのか、生物がいかにしていまの形を得たかは、進化論だけでは説明しきれず、そこに知的な計画が働いているというのがIDの主張だ。「神がつくった」とは言わない。
米国では州や学校区に教育内容を決める権限がゆだねられ、委員の構成で教育内容が左右される。ドーバーの学校区は昨年、高校の科学でIDに触れられるようになった。今のところ全米唯一とされる。予備選では7人の委員の枠に18人が名乗りを上げた。ID推進派7人と、反対派7人が残り、11月の本選挙に決着は持ち越された。
カンザス州教育委員会でも5月、科学教育のカリキュラム見直し提案が議論された。IDを科学の授業で教えるべきだと主張する同州に全米本部を置く非営利組織「IDネットワーク」が提案した。同州では99年に進化論がカリキュラムから外れ、委員の構成が変わった01年に復活するなど、進化論教育は政治的綱引きの標的となってきた。
IDネットのジョン・カルバート共同代表は「進化は事実だとしても、推し進める何らかの仕組みがあるはず。それがIDだ。特に地球誕生や生命誕生は、進化論では説明できず、現在の自然界を見ても、知的な計画の存在を多くの科学者が認めている」と言う。進化論を教えるな、とは主張しない。
これに対し、進化論教育の維持を訴える非営利組織「全米科学教育センター」のユージニー・スコット代表は「憲法の政教分離原則によって公立学校で天地創造説を教えられないため、宗教色を薄めたIDを持ち出しただけ。科学で説明できない『穴』があると、それを『神』で説明しようとする、天地創造説を唱える人たちの手段だ」と話す。
CBSテレビが昨年11月に行った世論調査によると、米国人の55%は、神が人間をつくったと信じ、27%は進化の過程に神が関与したとし、全く神がかかわっていないとする人は13%にとどまった。