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社説:
北朝鮮問題と絡めて対米カードに活用せよ
「米国は『日本への攻撃は自国への攻撃とみなす』と明言しているただ一つの国だ」。昨年3月、小泉純一郎首相は米国のイラク開戦を支持するにあたり、日米同盟を重視する理由をこう語った。
北朝鮮の脅威を念頭に、「いざという時、日本を守ってくれるのは米国だけ」との意味である。自衛隊派遣も同じ「身近な脅威論」が底流で貫かれた。ならば派遣延長も北朝鮮問題がどうなったかを絡めて吟味する必要がある。
現時点で言えば、マイナスにこそならなかったが、米国から大きな恩恵も受けなかったというところではなかろうか。「いざという事態」こそ回避されてきたが、拉致問題の解決には程遠く、北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる6カ国協議も枠組みを維持するのに精いっぱいなのが実情だからだ。
もちろん責任は北朝鮮側にある。ただ、小泉首相も解決の遅れを気にしているはずだ。先の日米首脳会談で6カ国協議の進展をうながしたのはそのためだったろうし、ブッシュ大統領も今回、関係国の結束をアピールした。
だが、2期目を迎え穏健派の多くが去るブッシュ政権は今後、北朝鮮が核計画放棄に応じない場合、しびれを切らし、強硬策に転じるとの見方は根強い。北朝鮮への武力行使は現状では考えにくいとはいえ、米国が自国への脅威を感じれば先制攻撃を辞さない国であることはイラク戦争が実証している。追いつめられた北朝鮮が暴発する可能性もゼロではない。
確認したいのは、拉致問題の解決を願う国民の多くは、朝鮮半島で地上戦が勃発(ぼっぱつ)し、ミサイルが日本に向けて飛んでくるような「いざという時」を望んでいないということだ。緊張が高まれば拉致の解決は遅れ、北朝鮮が生存している行方不明者に危害を加える事態さえあり得る。
問題はここからだ。今は制裁に慎重な小泉首相だが、仮に米国が強硬策に転じた場合、それでも押しとどめようとするだろうか。結局は米国に追従するままで、強硬策を望まない韓国などとも対立する事態に進まないか。そこが、何ともおぼつかないのだ。
北朝鮮の暴走も、米国の暴走も食い止めて平和的に解決する。日本の役割はそこにあると思う。米国にとって日本の自衛隊派遣は国際的孤立を和らげる重い支援になっている。とすれば派遣延長は北朝鮮問題で米国に物申す際の貴重なカードとなる。そんなしたたかさがないと割が合わない。
日米間に大きな亀裂を生じさせかねない即時撤退論より、むしろ対米カードをより有効なものとするためにも、今回の延長期間は、例えば当面3カ月とし、その後随時、北朝鮮情勢と合わせて見直していくというのが妥当と考える。日本が米国との協調を確認して延長を決めるたびに、北朝鮮への無言の圧力が加わることにもなる。
毎日新聞 2004年11月25日 0時07分
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20041125k0000m070154000c.html