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人生並びに生活経済の相談心理学に関する研究(2) 九州科学技術研究所
http://www.asyura2.com/0411/hasan38/msg/914.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 2 月 14 日 03:31:40: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: 人生並びに生活経済の相談心理学に関する研究(1) 九州科学技術研究所 投稿者 愚民党 日時 2005 年 2 月 14 日 03:25:34)

人生並びに生活経済の相談心理学に関する研究(2)


http://www3.ocn.ne.jp/~saigouha/paper03/jinseinarabini02.html
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●時効の援用

 1960年、高度成長を背景に、大阪で始まった消費者金融第一号は「団地金融」であった。こうして始まった10兆円産業といわれ、例えばサラ金大手の武富士は、自己資本だけで1兆円を所有するといわれている。

 こうした数字を延ばす背景には、これまでの苛酷な取立と、それを利用した債務者の無知が上げられる。
 これは都市銀行を使用する債務者の不良債権より極めて少なく、回収率も高いという業績を上げている。それは何故ならば、利用者の無知につけ込んで、巧妙で精神的なプレッシャーのかかる、法律スレスレの心理作戦を用いて取立行為を行っているからである。

 例えば最近増え始めたのは、大手サラ金などが曾ての利用者の、既に期限の利益を喪失して10年以上経過した「商事消滅時効」が完成している者に対し、回答書や内容証明を送り付けるケースである。悪質なものは、裁判所(90万円未満のものは簡易裁判所、90万円以上のものは地方裁判所)の支払督促の特別送達を遣い、仮差押手続きを取ることである。こういう状態になった場合、被告は特別送達を受け取った日から、裁判所に2週間以内に異議申立を行わなければならない。そして仮執行宣言(通常訴訟)へと移行する。

 因みに時効は、金銭の貸借において個人の貸し借りでは民法167条2項にある通りに10年、営業における個人並びに、サラ金会社や商工ローン会社などの法人では商法522条に5年と定められている。期限の利益を喪失した日、あるいは支払いの最終年月日より換算して個人的使用の場合は10年、商事行為は5年が経過することによって「消滅時効」が成立するのである。

 したがって曾ての利用者も「時効の援用」を申し出ればすむことであるが、民法に無知であるため、支払わずに済むものを再び支払い命令を受けて四苦八苦し、挙句の果てに人生を棒に振るという悲劇が起こっている。そしてこうした無知は、契約社会の「自己主張の権利」を知らないために起こる、極めて愚かな「無知」から出発しているのである。

 そしてサラ金取立では、「弁済期である最終約定弁済期(予定完済時)から時効は進行するので期限の利益喪失からではない」などと言って、債務者に混乱と誤解を招く言動を平気でいい、民法上と商法上の誤解釈を使い、請求を迫るケースも少なくない。無知は何処までも搾取されるのが資本主義社会の掟であり、法は無知を救済しない悪法であっても、法は法なのである。

 これはこうした金融業者が時効の完成は「援用」がなければ完成しないことを知っているためである。ある意味で、貧困と無知はイコールなのだ。
 従って、援用なき者は消滅時効が完成しないのである。このような学術的な法律解釈が良いか悪いかは別にして、法治国家は法律に従わなければならない。法治国家は、法に従っている限り、善人も、極貧も、無力な小市民も、お人好しも、正直者も、また極悪人も、大金持ちも、法の下では平等なのである。

 さて、事項を完成させる為には「援用」が必要である。援用とは、自己の主張の補助として、他の文献や事実や慣例などを引用することで、これを用いる事で「時効の援用」は完成する。



▲時効の援用の書式(内容証明で送達する場合は内容証明の升目書式に従い、字数を縦20字×横26字の内容証明用紙に記載し、カーボン紙で三枚複写する。本紙は郵便物特殊取扱で、郵便局において、郵便物にした文書の内容を謄本で証明する)/回答書

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 時効の援用は「貸金の消滅時効」が発生した場合、商法502条8項が適用される事によって「時効の援用」が適用される。借入先が個人の金融業者や、銀行やサラクレ会社であっても営業の為の場合は商法522条により事項が成立し、例え個人間の貸借でも10年であり、金利をとっての貸借は利息制限法違反となる。

 さて「時効の援用」を申し立てするには、消滅時効が完成されていなければ、援用の完成もない。そして時効の利益を得る場合は、それを主張して初めて完成するものである。


▲時効の援用の書式(時効の援用を申し立てる被告が、裁判所へ提出する督促異議申立書の形式)
 支払督促に対し、当事者の表示は請求の主旨・原因は別紙に記載されて送達され、債務者は請求の主旨を記載して金額を債権者に支払えと迫る。
 この時、債務者はこの支払督促送達の2週間以内に異議申し立てをしないと、債権者の申し立てによって仮執行が宣言される。





▲時効の援用の書式(裁判所への異議申立に附随する被告の請求に対する答弁と主張に関する書類の形式)/答弁書

拡大表示(督促異議申立書と答弁書)


 援用の場所は、裁判の内外を問わず主張出来、裁判以外で援用をする場合は内容証明か配達証明付きの郵便で主張出来、また、裁判で援用する場合は口答弁論終結にまで時効の援用を出すようにっている。
 ただし時効の中断が発生する場合があり、消滅時効が完成していても、援用をせずに債権者の要求に応じて一円以上の金額を支払った場合、時効の利益を得る事は出来なくなる。そして多くの借主は、法に関して無知であり、自己の権利を主張していく術(すべ)を知らないというところに、様々な現世の悲劇が存在している。
 一方貸金業者は、あらゆる手段を講じて債権回収に廻ると言う、ここには資本主義の縮図のような宿痾(しゅくあ)が存在している。

 さて、時効の起算点は、民法166条1項によれば消滅時効は「権利ヲ行使スルコトヲ得ル時」から進行すると述べられている。
 債券の消滅時効の期間は、原則として10年(民法167条1項)であるが、これには例外が多く、とりわけ民法724条と商法522条が重要である。
 特に商法522条には、商行為に基づいて成立した債権の時効はその期間を5年と定めており、これを商事短期消滅時効といい、短い期間のもので「短期消滅時効」と総称されている。

 しかし一方で「時効の中断」というものがある。時効期間が進行の途上で法に定める一定の事由が生じた場合、既に経過した時効期間の意味を失い、新しく時効期間の計算を始めるとされるもので、これを時効の中断と言う。
 更に「時効の停止」というものがあり、大きな災害(民法161条)などの158条以下に定める事由がある場合、時効期間満期時ではなく、それより遲い一定の時期に時効が完成するとする扱いをするのを時効の停止と言う。つまり時効の見性を一定の時期まで猶予するものである。

●資本主義の契約社会が生み出した金融経済の申し児

 契約社会で重要視される事は「返済の履行」である。
 法学的には、対立する複数の意思表示の合致によって成立する法律行為が契約社会の原則となる。その例は、贈与・売買・交換・貸借・請負・雇用・委任・寄託などがこれである。

 また宗教的には、キリスト教における、神が救いの業(わざ)をなしとげるために、人間と結ぶ「恵みの関係」であり、イスラエル民族に対してモーセを通じて結ばれた関係が旧約(旧い契約)で、後にイエス・キリストによって結ばれた関係が新約(新しい契約)である。
 そしてこうした「契約」がマクス・ウェーバー(Max Weber/ドイツの社会学者・経済学者1864〜1920)の『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の論証とするところになる。
 ウェーバーはリッケルトらの影響を受け、経済行為や宗教現象の社会学的理論の分野を開拓し、「理念型論」を提唱して、学界に大きな影響を与えた人物として知られる。

 また政治については、心情倫理と区別された責任倫理を説き。その著書『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は社会学上の資本主義と民主主義が結合し、その成立の根本において不可分である事を論証している。
 資本主義の精神は、その根底に流れるものが労働側の心構えとして、勤勉・正直・素直・忍従・沈黙・約束の履行・刻苦勉励・勤倹貯蓄・向学心旺盛の条件が揃う時、このシステムは順調に作動する行動様式を持っている。
 そして資本主義の精神に決定的な役割を演じるのが、アメリカの禁欲的プロテスタントに接近したものが日本では、二宮尊徳(1787〜1856)であった。

 二宮尊徳は一般には金次郎の名で知られ、相模の人で、江戸末期の篤農家の出身者であった。
 徹底した実践主義者で、神・儒・仏の思想をとった報徳教(道徳と経済とを併せ説いた二宮尊徳の教え)を創め、自ら陰徳・積善・節倹を力行し、殖産の事を説いた。そしてこれこそが、近代資本主義を決定する重要な役割を演じる事になるのである。

 二宮尊徳こそアメリカ精神の守護神であり、明治維新を達成して日本が西洋列強に肩を並べんとした時、学校教育では「二宮金次郎の銅像」を日本各地の小学校に建立したのではなかったか。二宮金次郎こそ、当時の日本資本主義を代表する、まさに守護神的な存在であったのである。その二宮金次郎における、禁欲的プロテスタントこそ、契約社会における必須条件であり、信用という別名が「契約の履行」であり、これは金銭の貸借関係の「返済」という、借りたものは返すの、日本人特有の返済感覚であった。その返済感覚が、アメリカ人には見られない深刻なサラ・クレ地獄を作り上げているのである。


http://www3.ocn.ne.jp/~saigouha/paper03/jinseinarabini02.html

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