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余分なCO2 地下に貯留[読売新聞]長岡市の実験施設、中越地震にも耐える!
http://www.asyura2.com/0411/bd38/msg/131.html
投稿者 傍らで観る者 日時 2004 年 12 月 11 日 17:31:21:ayjHlPlEsGXTU
 

(回答先: 水素エネルギーの限界と二酸化炭素地中貯留プロジェクト[ヴィニッチの科学書] 投稿者 傍らで観る者 日時 2004 年 12 月 11 日 15:54:24)

(11月30日付読売新聞朝刊)より転載:


 二酸化炭素(CO2)を地中に埋め戻す地下貯留技術の開発が急速に進んでいる。CO2のもととなる化石燃料があった所に、CO2を戻すという発想で、地球温暖化問題の切り札になると期待されている。温暖化問題では、環境税のような規制的な方法を取るべきだとの声もある。これに対し、地下貯留は技術革新によって温暖化問題を解決していこうという前向きの対策であり、経済と環境の両立が図れるとして、世界的にも注目が集まっている。
解説部 三浦 潤一

■ 経済・環境 両立が可能

 CO2の地下貯留は、日本では地球環境産業技術研究機構(RITE)などが中心となり、新潟県長岡市で試験が行われている。深度千百メートルの、地下水を含んだ帯水層まで垂直なパイプを敷設し、そこに液状化したCO2を圧入し、貯留している。圧入量は今年九月末現在、九千トン近くに達している。

 帯水層は気体が地上に漏れ出すことのない「キャップロック」と呼ばれる硬い地層の下にあるため、CO2が漏れることはない。十月には試験場近くを震源地とする中越地震が起きたが、観測井などによる調査でも、CO2の移動は確認されなかった。水はCO2を吸収する能力があるため、長期的には帯水層内の水が、CO2を分解することを期待している。

 来年度は、総圧入量十万トン急の施設を新設し、より大規模な実用試験を進める方針で、RITEなどではなるべく早期の実用化を目指している。日本国内では九百十五億トン分のCO2を貯留できる帯水層があるとされるが、日本のCO2排出量は年間十二・三億トンであるため、約七十年分のCO2貯留が可能となる。七十年後には水素エネルギーを中心とする社会の到来が期待されるが、CO2の帯水層貯留は、それまでの絶好のつなぎになり得る。

 CO2の地下貯留は、アメリカなどを中心に世界的にも取り組まれている。昨年六月にはアメリカで「炭素隔離リーダーシップフォーラム」が開かれ、日、米、欧州連合(EU)などの先進国だけでなく、中国、インドなども参加した。今年はオーストラリアで第二回会合が開かれたが、参加国の合計のCO2排出量は世界全体の65%にのぼり、京都議定書批准国の30%よりはるかに多い。これはCO2の地下貯留が経済発展と整合的であるため、規則的な義務を負わされる可能性のある京都議定書よりも受け入れやすいと、多くの国が判断したためだ。すでにオーストラリア、アルジェリア、アメリカ、オランダなどで年間五百万トン級の地下貯留計画が進められている。


■ 日本企業も商機うかがう

 日本企業の中からもビジネスとして地下貯留に取り組むところが出ている。

 石川島播磨重工は、財団法人・石炭利用総合センターや、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などと協力して、オーストラリアでCO2を地下貯留する計画を進めている。クインズランド州にある電力会社CSエナジー社のカライド発電所で、三万キロワットの石炭火力発電施設を改修し、日量約六百トンのCO2を地下の帯水層に貯蔵する。石炭火力発電所でCO2を地下貯留するのは世界で初めて。

 同社が採用しているのは、酸素濃度を80%程度に高めたボイラーに送ることで、燃焼効率を高め、CO2の回収を用意にする酸素燃焼法という技術だ。40〜50億円程度でシステムを回収した上で、2006年ごろからの実用化を目指す。酸素燃焼法は、もう一つの有力なCO2回収技術である科学吸収剤を使ったやり方に比べ、コストが安いなどの利点がある。
 
 同社では「実用性が確認できれば、有力なビジネスとして規模を拡大していきたい」(エネルギー・プラント事業本部)としており、すでに多くの社から照会があるという。

 温暖化問題が過去の環境問題と違うのは、特定の企業が加害者になるのではなく、地球上のすべての人が加害者になる点だ。このため、温暖化問題の解決には、すべての人が、化石燃料を使う限り、永続的に、CO2の大気中への排出を削減する努力を続けることが必要となる。そうした努力を引き出すには、経済や市民生活を萎縮させるような規制的な手段では絶対に長続きしない。「我慢する」のではなく、「喜んでやる」仕組みをつくることが不可欠だ。

 CO2の地下貯留や水素エネルギーの開発など、科学の発展や、経済の成長に整合的な温暖化対策はたくさんある。規制ではなく、社会が喜んで取り組める、前向きな対策を選択することが求められている。


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