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『石油熱』のアフリカへの到来(レベリオン誌:全訳)
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投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2004 年 10 月 04 日 04:58:03:SO0fHq1bYvRzo
 

『石油熱』のアフリカへの到来(レベリオン誌:全訳)


スペインの電網誌レベリオン(10月2日)の記事からです。著者はセネガルの経済学者でアフリカ開発銀行に所属しています。

この記事では米英石油資本にむしられ荒廃するアフリカの姿と同時に、アフリカ人としての立場から、それに対してなすすべを知らぬ『無関心と惰性に捕らえられているアフリカ人社会』を嘆いています。「なすすべを知らぬ」というよりも「なす気が無い」「なすすべを知ろうともしない」と言った方が良いかもしれない、そのような内容の文章です。

こちらでアフリカ関係の文章を読んでいますと、よく「黒い金(oro negro)」という表現に出くわします。もちろん石油のことで、さらにこの文章では「石油の呪い"maldición del petróleo"」という表現が見られます。この表現を通して、著者は、アフリカの資源を巻き上げていく国際石油資本と欧米諸国だけでなく、その「呪い」にかかって自らをますます惨めにしていくアフリカの「業」を嘆いているかのようです。

なお、文章中の『奴隷証人にその被支配者を売り渡したアフリカの弱小国』という箇所ですが、ご存知の方も多いでしょうが、スペイン、イギリス、オランダなどの奴隷商人たちは、いわゆる「三角貿易」の中で、アフリカ沿岸部に住む有力種族のボスに金品を渡し、そのボスどもが他の弱小種族の黒人たちを「狩って」奴隷として引き渡していた、という歴史について述べているわけです。アフリカの一部の諸族の中には昔から被支配種族を奴隷として使う風習があったわけですが(現在でも一部でそれが続いている事はご存知の方が多いでしょう)、著者はそのような自分たちの歴史を見つめようともしない貧しいアフリカ人たちの無気力さに地団太を踏んでいるように見えます。

もっとも私は、『現実のこの惨めな種族は、これらの指導者たちの、同胞を裏切り続ける才能の下にある。』という箇所を見たとき、思わず日本のことを思い浮かべましたが。


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『石油熱』のアフリカへの到来               レベリオン(10月2日)

サノウ・ムバィエ
www.elcorresponsal.com


世界の支配者たちがアフリカを支配するためには欧米への石油の輸出が脅かされる必要があった。そしてその石油備蓄も、である。しかしこの熱病は一般のアフリカ市民にとってありがたいものではない。彼らは、腐敗、紛争、環境破壊といったその「呪い」に、また、石油資本が貧困を癒すのではなく確実に激化させていることに、気がついている。この傾向は数値的にもますます明白になるだけだろう。しかし国際資本と同様にアフリカの政治家たちも、それを覆い隠すための大きな動機を持っている。


世界の支配者がアフリカを占領するために石油の輸出が脅かされるように思えることが必要である。政治家たちはアフリカを無視することに慣れている。しかし最近アフリカを訪れるようになった。米国の大統領たち、中国やブラジル、そしてドイツの首相なども。いつものことだが、彼らは公式発表ではこの大陸の発展、平和、エイズとの闘いなどについて語る。しかし全員が石油のことを考えている。

「黒い金」熱が大流行しつつある。あらゆる先進諸国の国家防衛は石油の安定した輸入によっている。そしてサハラ以南のアフリカには現在分かっている世界の石油埋蔵量の8%が存在する。2002年には、日産で(単位バレル)、ナイジェリアが210万、アンゴラ90万、コンゴ28万3千、赤道ギニア26万5千、ガボン24万7千、スーダン22万7千、カメルーン7万5千、南アフリカ2万8千、コンゴ民主共和国(旧ザイール)2万5千、そしてマルフィルが1万1千バレルであった。

米国は西アフリカから毎日150万バレルを輸入する。これはサウジアラビアからと同し量である。エネルギー省の推計によると、2010年の以前にアフリカ原油の輸入が年間7億7千万バレルに達するだろう。この増加は、一部ではギニア湾岸一体での試掘を増やす、という手段で、そして他方では、米国がスーダン、アンゴラなどの戦争で荒れる産油国を平和にさせ、石油生産を守るための戦略基地を確立する、という手段で実現されようとしている。

こうして次の10年以内で、西アフリカの石油生産は約2千億ドルの利益をもたらすだろう。これは、西側諸国がこの地域での「産業への援助」として計上する年間合計の10倍にも上るだろう、ということを意味している。

このすべてはアフリカ人にはありがたくない。彼らは「石油の呪い」と呼ばれるものを与えられていることにはっきりと気づいているからである。たとえば、政治腐敗、紛争、環境破壊、そしてひどく無神経な精神性である。最近25年間に石油はおよそ3千億ドルの利益をもたらしたはずだ。にもかかわらず、一人当たりの収入は日額1ドルを下回り続けている。理由は簡単だ。金の大部分がスイス銀行の口座の数字になっていくからである。(ナイジェリアの独裁者サニ・アバチャは、すでに死亡したが、1口座を持っていた。)

ブリティッシュ・ペトロリアムはアンゴラ政府に「契約にサインするボーナス」として1億1100万ドルを支払わなければならなかったことを明らかにした。しかしこれは、この10年間にアフリカ諸国の政府の金庫に、石油収入の45億ドルが吸い取られたことに比べれば、小さなものである。

買収と強奪だけが問題なのではない。鳴り物入りで作られているチャドからカメルーンへ続くパイプラインは水を汚染し、ピグミーたちの狩場を荒廃させ、農業を破壊し、エイズを流行らせた。この最後のものは恐らく、自分の家から数千キロも離れたところからやってきて売春婦とひと時を過ごした無知な出稼ぎ労働者の存在の、必然的な結果であろう。このご立派な計画によれば、この工事はシェブロン、エクソン、ペトロナスなどの企業、また世界銀行や欧州投資銀行などの出資者に47億ドルもの利益をもたらすだろう。チャドはせいぜい6200万ドル、カメルーンは1860万ドルに過ぎない。

したがって、サハラ以南のアフリカでは石油企業は貧困を無くすどころか悪化させている。この傾向は明らかな数値になるばかりだろう。「資源産業からの資金の透明化」事業団(EITI)はこの点に注目し、各国政府に多国籍石油企業が支払う資金の公表は義務となるべきである、と要求した。残念ながら、多国籍企業と同様にアフリカの政治家たちも、「透明化」を避ける多くの動機を持っていたし、今も持っている。彼らはこのEITIの要求と計画を突っぱねて無力化してしまった。

このひどい状況からどんな教訓を引き出せるだろうか。この明らかな搾取に苦しむ人々について言及する人もいるだろう。同様の搾取に対して反逆した人々は、実際には、アフリカ人ではなく、EITI、Global Witness、米国の援助団体Catholic Relief Servicesや他の欧米の組織の善意の人々だった。

アフリカ人の知識人や芸術家たちは、人権擁護者たちでさえも、同胞たちと連帯しなければならない、また被抑圧者たちの人権を守らねばならない、という考えは持っていない。アフリカの社会は無関心と惰性に捕らえられている、と言えるだろう。

他の教訓はアフリカの政治的なリーダーシップの不在についてである。この欠陥はいつも奴隷制度と植民地化に結び付けられる。しかしこの否定できないつながりを認識することは、奴隷証人にその被支配者を売り渡したアフリカの弱小国にとっては言い訳にならない。

少し前に、アフリカの多くの宗教指導者たちが、セネガルにあるゴレエ島で会議を開き、その信者たちに奴隷貿易に対する彼ら自身の責任を明らかにすることを説得した。しかし誰もそれを意に介さなかった。

これは恥ずべきことだった。なぜならそれは、我々の苦しみに満ちた歴史の中でアフリカ諸国政府の大多数が持つ欠陥を外に表すためのチャンスだったからだ。現実のこの惨めな種族は、これらの指導者たちの、同胞を裏切り続ける才能の下にある。その無能力と無謀な無責任ぶりは、アフリカ人たちが踊ったり互いに殺しあったり物乞いをしたりする以外のことには従事しないような、世界の多くの場所で幅を利かせているのだ。石油企業の富がこの皮肉な馬鹿馬鹿しさを延長させるだけに終わるのは簡単な道なのである。

もしもその富が石油輸入国に取り上げられるはずのものなら、きっとそうだろうが、彼らにとってより良い政府をアフリカに作り上げるのに都合が良い。結局は、中東諸国の様々な階層の人々が汚れと失望に浸って生きる長い期間に、今まで許してきた高い金を払っている。一方でその中東諸国の支配者たちは石油企業の金の中で泳いできたのだ。誰もこの過ちを繰り返す贅沢をすることはできない。貧しいアフリカ人を除いては。


【著者はアフリカ開発銀行で働くセネガルの経済学者である。この記事はProject Syndicateからのものであり、La Nación (ブエノスアイレス)のためにZoraida J. Valcárcelによって翻訳されたものである。】

http://www.rebelion.org/noticia.php?id=5510

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