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私の視点 パレスチナ人帰国許されず 炎天下に2500人 (7月29日)
イスラエルは、自らが占領するガザ地区とエジプトの国境にある検問所を閉鎖、パレスチナ人の往来を止めてしまいました。そのため、“帰国”できないまま閉鎖解除を待つパレスチナ人約2500人が炎天下で放置されており、イスラエルの人権団体などが政府に対して抗議を始めました。
幾つかの団体は28日、イスラエル高等裁判所に対して閉鎖解除を訴える訴状を提出しました。その中の一つ、「PHRーイスラエル(人権のための医師団)」によると、足止めを食らっているパレスチナ人の約20%が医師の手当てを求めているとの事です。中には2週間現場に留め置きされている者やエジプトで手術を受けてきて車椅子や担架に乗せられている者もいるとのことです。エジプト側から水の補給があるとの事ですが、その水も非衛生的で多くの人が下痢で苦しんでいるとPHR-イスラエルの広報担当は言っています。
こんな状況にあってパレスチナ人の代表であるパレスチナ自治政府は何をしているのか、なぜ抗議をしないのか、救出活動に向かわないかと不思議に思われるかもしれませんが、パレスチナ自治政府の長であるアラファト「大統領」でさえイスラエル軍監視下の軟禁状態にあり、政府機能は「死に体」です。パレスチナの民衆は、日常的に行なわれる「外出禁止措置」と数キロごとに設けられているイスラエル軍の検問所、そして万里の長城のごとく立ちはだかる「分離壁」の前で息が詰まりそうな情況ですが誰の庇護も受けていないのです。基本的人権さえ保障されていないのが現状です。話が飛びますが、サッダーム・フセイン元大統領がパレスチナ人に人気があるのは、アラブの指導者で唯一と言っていいほど、パレスチナに手を差し伸べる政治家だったからです。フセイン氏の極悪非道振りを知っていても彼を支持せざるを得ないパレスチナ人の複雑な心境は傍で見ていても気の毒です。
そんな情況から逃げ出したくとも国外への出入りはイスラエルの検問(出入国審査を含めて)なしにはできません。海外で留学したり労働する人も少なくありませんが、イスラエルから出入国許可が取れずに苦しんでいるのが現状です。つまり、境界線を往来する自由もなく、幽閉状態に置かれているのです。また、許可証を持っていても、今回のように突然何の前触れもなく検問所が長期間閉鎖されることも珍しくありません。
イスラエル政府の今回の検問所閉鎖の理由は、「テロリストを通させないため」ということですが、ゲリラは検問所など通らなくても出入りする手段を持っています。そのような理由で閉鎖するのは、住民に対しての嫌がらせのレヴェルです。
こんな非人道的な事がまかりとおるのが被占領下のパレスチナです。本来なら「正義を大上段に振りかざす」世界中のマスコミがこぞってこの非人道的な行為を槍玉に挙げるべきです。しかしながら、この問題を「見て見ぬフリをする」のがマスコミです。これまでイスラエルの一方的な建国宣言から50余年、幾たびこのようなことがあったか、とパレスチナ人はよく言います。私がパレスチナに関わるようになって34年経ちますが、その間にも数え切れない事件や問題がまともに報じられないまま葬り去られてきました。
今回、日本のマスコミを含めて、この問題を扱っているのは、私の眼に触れたという限定付きですが、BBC(英)TVだけです。この国際的な「無視」「無関心」がパレスチナ人の怒りと絶望を誘い、自爆攻撃やハイジャックなどの悲劇的な行為を生むのです。一方的に「テロは許さない」と断じるのではなく、問題の根にあるものに「世界」が真摯に目を向けることが、「テロを根絶」する近道なのです。