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国民が重大な刑事裁判の審理に参加する裁判員制度の5年後の施行に向け、最高裁は、裁判長として担当する可能性のある裁判官を中心に欧米諸国へ派遣し、評議や審理の進め方などを学ばせる方針を固めた。
派遣数は計100人前後に上るとみられ、今秋にも第1陣を派遣する。裁判員とのコミュニケーションや、迅速で分かりやすい訴訟指揮が課題とされる日本の刑事裁判官に、国民参加の長い伝統を持つ各国の裁判を調査、体感させ、意識を変えていくのが狙いだ。
最高裁によると、地裁の裁判長として裁判員制度による裁判を担当するのは、少なくとも約100人に上る見通しで、それに近い人数を制度施行までに2週間―3か月間ずつ、派遣したいという。制度改革に伴う裁判官の海外派遣としては過去最大規模。派遣先は、ドイツやフランスなど参審制を採用している欧州各国と、米国、カナダなど陪審制の国。
裁判員制度は、裁判官と裁判員が対等という点で参審制に近く、審理の進め方などは主に参審制の国で学ぶ。ドイツでは、有罪・無罪や量刑を決める非公開の評議の見学を他国の裁判官に認めており、最高裁は、一つの事件の審理に初公判から判決まで立ち会わせることを検討している。
一方、陪審制の国では、裁判員と同様、無作為抽出で選んだ陪審員候補者から、不公平な裁判をする恐れのある不適格者などを除く選任手続きがあり、その手続きを中心に調べる。
最高裁が特に重視するのは、裁判官と裁判員の意思疎通。今春、最高裁が実施した模擬裁判では、担当した裁判官から「最初は評議で裁判員からほとんど質問が出ず、コミュニケーション能力が必要と感じた」との感想も出た。このため、活発に意見を出し合える評議の雰囲気をどう実現しているかを、裁判官自身の目で確かめさせたいという。
帰国後は、所属する地裁などで他の裁判官らに調査結果を報告し、体験を話す。その報告内容は、全国の裁判所や司法研修所での研修や、制度の細かい規則づくりに活用する。
最高裁刑事局は「国民参加が定着している国の法廷の空気を肌で感じることで、裁判員制度を自分たちが担っていくという意識を高めてほしい」としている。
◆参審と陪審=参審員をモデルにした裁判員は、裁判官とともに有罪・無罪、量刑を決定するが、事件ごとに無作為抽出で選ばれた候補者の中から任命される点では、任期制で複数の事件をこなす参審員と異なる。陪審員は裁判員と同様の任命方法だが、評議に裁判官は加わらず、有罪・無罪だけを決める。
[9月14日3時29分更新]