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(回答先: Re: 続・あれやこれや 投稿者 バルタン星人 日時 2004 年 6 月 16 日 23:29:56)
バルタン星人さん、どうもです。
バルタン星人さんの「Re: 主ー客とは、価値において、対立していて、世界観の面では、合一している。(乃依」( http://www.asyura2.com/0403/bd35/msg/1034.html )を読ませていただき、“本物”の柄谷行人さんがやってきたのかと思っていました。(笑:「思想」記述モノマネという新ジャンル芸能ができた?・・・・いやいや、それはアカデミズムの日常でした)
「あれやこれや」からは離脱してとも思いましたが、今回はそれをやめて、まずは一点のみをレスさせていただきます。
>>「近代経済システム」も、もっとも貧困で欧州の“離れ諸島”である英国で
>>確立されたという押さえが必要です。
>恥ずかしくなるくらい凡庸な質問ですが先行する重商主義と「原的蓄積」の問題はど
>う考えられますか?
いえいえ、もっともで重要な問題提起です。
共産主義革命は、マルクス「資本論」からも先進資本主義国で起きるものと考えられ、遅れた資本主義帝国ロシアで起きたボルシェヴィキ革命は、不正常なものとして異質視されました。
マルクス主義唯物史観は約めると「単線歴史決定論」と言えますから、資本主義も、発展した封建制で国(地域)で起きたと考えるのがオーソドックスです。
(ある生産様式で社会が発展すると、その生産様式が生産活動(力)の桎梏になる(矛盾するようになる)ため新しい生産様式に移っていく。そして、それは世界史レベルの普遍的な法則というもの)
そこから、英国で近代資本主義が勃興したのは、英国が歴史の最先端を走っていたからだという“思い込み”が生じるわけです。(産業革命前の英国は経済においてもっとも進んでいたという理解)
私は、資本主義=「近代経済システム」は、「重商主義+中央銀行制度+(賃金奴隷に依拠した)機械制大工場」という特性で語れると思っています。
重商主義:外部共同体(国家)から貨幣的富を稼ぐことを目的とする経済活動
中央銀行制度:共同体(国家)内の貨幣を単一の銀行が貸し出しを通じて流通させる制度
機械制大工場:近代的産業様式そのもの
そして、「近代経済システム」の特性序列は、記述順に、「重商主義→中央銀行制度→機械制大工場」だと考えています。
資本主義は、近代的産業にその特質があると考えられがちですが、近代的産業は“手段”でしかないという見方です。(これが個々の産業資本家が総資本の立場に立ち得ない理由でもあります)
重商主義は国策の一つとして考えられることが多いのですが、実態は、国際商人の貨幣的富の増大を国家がその力をもって後押しすることです。
そして、国際商人は、歴史をみればわかるように国際金融家でもあるわけです。
英国は、封建的生産様式がその発展のなかで桎梏となったことで「近代」(資本主義)に移行したのではなく、英国の国際商人=国際金融家が、国家を支援を受け、海洋交易の覇権をめぐるスペイン、ポルトガルそしてオランダとの争いに勝利したことで、英国に「近代」がつくられることになった、と考えています。
英国とオランダの国際商人=国際金融家は、名誉革命に象徴されるように、“連合”を組むようになります。
(ウェバーのプロテスタンティズム云々は神話や物語でしかありません)
「原始的蓄積」は、南北アメリカから略奪しヨーロッパに流れ込んだ金銀の貨幣的富です。
英蘭の国際商人=国際金融家は、その貨幣的富で当時の最先進地域であったインドや中国から財を買い入れ、ヨーロッパの王族や貴族などに販売することを通じて貨幣的富の集中(蓄積)を進めました。(これが英国における「資本の原始的蓄積」過程です)
しかし、これだけで「近代資本主義」に移行するわけではありません。
英蘭の国際商人=国際金融家が進めた貨幣的富の蓄積は、とんでもない未来を予感させるものでした。
それは、国際商人=国際金融家の貨幣的富は増大するが、ヨーロッパ全体の貨幣的富は減少していくという事実に基づくものです。
インドや中国との交易は、ヨーロッパから売るものはほとんどなかったのでずっと入超(赤字)でした。それは、貨幣的富の流出を意味します。
(オランダや英国は羊毛製品は生産していましたが、それは暖かいインドや南部中国ではそれほど好まれるものではありませんでした)
国際商人=国際金融家の貨幣的富は増大しているので、アジアから輸入することに問題はありませんが、輸入した財を買ってくれる人々の貨幣的富は、国際商人=国際金融家に移ったために減少しており、それほど買ってもらえない状況になっています。
南北アメリカから略奪した金銀でヨーロッパで繰り返される“饗宴”の結末が見えてきたわけです。
それでめげないところが国際商人=国際金融家の凄まじさです。
“彼ら”は、「それなら、インドや中国で売れるものを持ち込めばいい」と考えました。
インドの綿織物機を改良しつつ自動で動かすようにし、インドよりも安価な綿織物を売り込む策をとりました。
(英国の産業革命を実働部隊として支えたのは、先進地域ドイツの人たちです。これは当然インドの人々の生活を破壊することになるので抵抗を受け、結局は、軍事力に頼って植民地化してその条件を確保しました)
アダム・スミスが「諸国民の富」で“労働価値”と、ヒトラーの“労働こそが自由への道”に近い言説を書いた背景には、そのような理由があったのだろうと推測しています。
ご存知の通り、中国にはインドなどで採取した阿片を売り込む策を選びました。
インドから輸入する綿花だけでは足りないために米国で綿花栽培を広げ、機械の導入が石炭・鉄鋼・鉄道・機械工業など新しい産業を生み出し、国費で行われる軍事力の増強がそれにさらに拍車をかけるという“好循環”が先進国を“豊か”にしていきます。
抜け目のない国際商人=国際金融家は、機械設備を伴う産業を興すために必要な貨幣的富を産業資本家に「貸し出し」したり、軍事増強に追われる国家に「貸し出し」することで、利息収入でも大いに稼ぐことになります。
このように、「近代資本主義」(「近代経済システム」)は、国際商人=国際金融家の貨幣的富の増大を国家が支える「重商主義」の“一変形”だと考えています。
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★ 概略的世界史認識
世界史を概略的に語るとしたら、「過酷な生存様式におかれた種族(共同体)が安定して豊かな生存様式の種族(共同体)を優勢な軍事力で支配する関係性の繰り返し」になるのではと思っています。
「失うものが少ない人々が軍事優先で力をつけ、失うものが多い人々を襲い略奪したり支配すること」が繰り返されながら“進歩”してきたというものです。
国際商人=国際金融家は元をたどれば遊牧民で、(遠隔地)商人の起源も遊牧民です。
「遊牧・騎馬民が豊かな生活をめざし定住農耕民を襲ったことが歴史の動因」なのかもしれないと思っています。
それでは和解に支障があるので、「これまでの世界史は、遊牧・騎馬民と農耕民の“交流史”」と言ったほうがいいのかもしれません(笑)
「カソリックの「二重構造」についての概要」( http://www.asyura2.com/0403/bd35/msg/931.html )で書いたものですが、
【文明化後の世界史概要】
定着農耕文明の確立:メソポタミア・インダス・エジプト・黄河流域中国
↓
遊牧民による農耕国家の征服支配(これが遊牧民支配を新しい遊牧民が征服するというかたちで重層的に繰り返された)
↓
宗教的観念体系による支配の安定化:征服者の宗教
↓
大帝国の確立
↓
世界(脱地域・部族)的宗教の成立:ゾロアスター教・儒教・ヒンドゥー・カソリックキリスト教・イスラム
↓
騎馬民による大帝国の征服支配:中国・イスラム(征服者が被征服者の宗教観念に“支配”される新状況)
↓
海洋国際商人(金融家)主導の土地収奪や植民地支配
↓
プロテスタントや「近代」思想による「近代国家」的支配の安定化
↓
国際金融家による人格が隠された制度的経済支配
↓
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