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(回答先: 週刊文春今週号のことなど 投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 27 日 03:46:04)
大変失礼ながら、あっしらさんは、ご自身の思考プロセスに法学のバックグラウンドがあるとも思われず、とくに裁判所の考え方や憲法論に詳しいとは思われないのに、にもかかわらず、非常に安定したバランス感覚をお持ちだと感じます。先のご意見には異論はありません。
次に、
>※ 文春の編集部記事には、田中真紀子さんの長女の政治的な活動が触れられていました。こちらのほうをきちんと精査したほうが政治家族論を抽象的に言い募るより有効だと思うんですが...>あっしらさん
井上ひさし氏の見解あるいは櫻井よしこ氏の見解も同様ですが、政治家の子息はグレーゾーンである、という前提にたったうえで、グレーゾーンの扱いは、プライバシーを放棄した言論人や芸能人政治家に準ずる、という主張が読み取れます。
多くの論者は、準じ方の程度の差はあれ、ともかく、一般人とは一線を画す扱いをする必要がある旨を述べる。
しかし、グレーゾーンというものを人権論のなかに取り込むのは、難しいのではないかと思います。
とりわけそれは憲法第14条との関連で問題になる。
同女性は、確かに、政治家の家族としての利益を得ている。
しかし、それは、本人の意思決定によるものなのか、という視点からみると、
詳細な分析が当然必要だけれども、さしあたって、
本人の意思との関連が低いと仮定するならば、その利益を受ける地位というのは、
たまたま恵まれた家庭に育ったという地位にすぎないようにも思える。
そうすると、要するに、たまたま政治家の家族に生まれついたことによって
プライバシーの放棄という重大な不利益を被らなければならない理由はどこにあるか
を検討しなければならない。
それは機会の平等という点でも、実質的な平等という点でも、
生まれによる差別を認められるのは、天皇家に限られるのではないか
という疑問が生じる。
また角度を変えていえば、犯罪者の育て親がメディアによって断罪される傾向も、
【犯罪者の心理や犯罪の原因を分析するうえで、家族との関係を知ることは極めて重要である】という理解に基づく。
佐野眞一氏は
【「真紀子」という人間を理解するためには、家族との関係を知ることが極めて重要です。】と述べていることからわかるように、カッコ内をどのように入れ替えても成り立つ構文は、カッコ内の言葉である必然性がないことを意味する。
にもかかわらず、この構文を頼りに同女性の社会的身分を差別的に取り扱う論理を展開するのは、説得力に欠ける。合理的な区別の根拠とはなりえない。
有名税というものは、
・同等のメディアで反論の機会をもつ言論人
・自らメディアに露出し、いわば私生活を切りうりすることによって利益を受ける人物(芸能人の類)
・その人の社会的評価が問われる人物
などについて妥当性があるとはいえても、【本人の意思とは無関係の生まれながらの有名人】とまでいうと、私は真っ先に14条が浮かんでくるんですが、この点について指摘した論者はいない。
つまり、文春特集では、このことを踏まえたうえで、
グレーゾーンをどう取り扱うかについて明確な答えを出しているひとはいない。
あっしらさんのご見解を伺わせてください。