現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ34 > 165.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
(回答先: 「フリッツ・スプリングマイヤーとは誰か?」 E.A.E.C.牧師 ジョン・S・トレル[魔女の鎚 第一撃] 投稿者 乃依 日時 2004 年 3 月 09 日 06:14:05)
http://members.at.infoseek.co.jp/WATCHMAN_ENDTIMES/WATCHMAN_ENDTIMES3.html
魔女の鎚 第三撃
終末時代の監視者からの警告
「陰謀論とは何か?」
http://www.crf-usa.org/bria/bria11_4.html#jefferson
「愛国者よ、目覚めよ! 手遅れにならないうちに!」
(Tシャツの文句より。1995年)
20世紀米国における大きな災厄─1929年の大恐慌、真珠湾攻撃、ケネディ暗殺など─の直後には、決まって奇妙な陰謀論が現れた。陰謀論には共通した特徴があり、少数の邪悪なエリート集団が、世界全体を支配する驚くべき力を握っており、その秘密の陰謀によって、そうした災厄が引き起こされたのだ、というものである。それゆえ、オクラホマシティーでの連邦ビル爆破事件の直後に、多数の陰謀論が噴出したのは、少しも不思議ではない。
陰謀論は、20世紀に始まったものではない。アメリカ合衆国建国当時にまでさかのぼることが可能である。最初の陰謀論は、建国の父トーマス・ジェファーソンを、陰謀の糸を操る張本人だと見なしている。
1800年の大統領選挙の際、ジェファーソンに反対する連邦党は、彼を攻撃する論調を世論に焚きつけようとした。連邦党は、ジェファーソンは新生国家アメリカを恐怖と独裁政治に引きずり込もうとしている、と警告した。また、ジェファーソンはあらゆる宗教に反対し、特に、イエス・キリストを冒涜している、として非難した。
ジェファーソンは、政府、私有財産、キリスト教を破壊しようと目論む世界規模の陰謀に加担している、との流言が広まった。こうした陰謀を真に受ける者たちの間では、ジェファーソンは欧州のエリートによる陰謀団体「イルミナティー」に加入している、とささやかれた。イルミナティーは、ルイ16世の政府に密かに侵入し、血なまぐさいフランス革命を引き起こした、とされていた。ジェファーソンの敵陣営は、彼がフランス革命の前にフランス駐在米国大使であったことを槍玉に上げた。この一事から飛躍して、ジェファーソンはイルミナティーの陰謀に加担しているに違いなく、アメリカの民主主義と宗教を滅ぼす陰謀をめぐらしているのである、という結論が引き出された。
ジェファーソンは、宗教の平等と自由を信条としていたが、だからといって、もちろん、テロリストでもなく、無神論者でもなかった。しかし、ジェファーソンをイルミナティーだと中傷する宣伝活動は、その後のアメリカにおける陰謀論のひとつの定型を作り出した。
陰謀論は、少数の邪悪な集団が、わたしたちの日常生活を破壊しようと目論んでいる、と訴える。陰謀論のほとんどが、類似した特徴を備えている。現実の陰謀と、単なる妄想に過ぎない陰謀とを識別するには、どうしたらよいのだろうか。
陰謀論の母
イルミナティーとして知られる団体は実際に存在したし、また、その構成員は秘密の儀式を行ってもいた。イルミナティーは1776年にドイツの宗教学教授であったアダム・ヴァイスハウプトによって設立された。ヴァイスハウプトの信奉者たちは、自らを真理の光によって啓蒙された者たちとみなし、「イルミナティー」(光に照らされた者)と名乗った。
18世紀の欧州は、啓蒙時代、また、理性の時代、と呼ばれる。多くの思想家たちは、旧来の社会秩序は新しい政治形態と、理性を根拠とする宗教によって、取って代わられるべきだと考えた。イルミナティーは、そうした思想状況に適合していた。イルミナティーは、すべての君主制、私有財産、体制宗教の廃止を主張した。そして、真の平等と福祉を実現するために、結婚制度すら廃止すべきだと唱えた。
1780年代から、イルミナティーは、自分たちの主張を他の結社にも浸透させようとし出した。その一つがフリーメーソンである。フリーメーソンのロッジ(支部)は中世以来、欧州各地、さらにはアメリカにも設立されていた。ベンジャミン・フランクリンやジョージ・ワシントンなどもフリーメーソンであったが、ジェファーソンは、メーソンではなかった。イルミナティーはフリーメーソンへ影響力を広げようとしたが、内部抗争と政府の弾圧のために、1785年にイルミナティーは解散してしまった。
数年後、フランス革命が始まると、それをイルミナティーとフリーメーソンによる邪悪な陰謀工作であると唱える者たちがいた。実際には、革命勃発直後にイルミナティーの元指導者たちが短期間パリを訪れて、わが秘密結社は今なお世界秩序を覆すために陰謀活動を実行している、との情報を流したに過ぎなかった。
1797年に、スコットランドの哲学教授、ジョン・ロビンソンが、『全宗教、全欧州政府に対する陰謀論の証拠─秘密結社フリーメーソンの集会及び出版物に見る事実』と題する著書を出版した。秘密結社は、イルミナティーの思想から陰謀を受け継ぎ、フリーメーソンによって陰謀が実行に移され、フランスがついに膝を屈し、さらに全世界が引き裂かれようとしている、として、「敵はわれわれの中にいる」と警告した。
ロビンソンは多数の「証拠」を挙げてはいるものの、それらの事実から、彼が言うような大がかりな陰謀を引き出すには、読者の豊かな想像力と、「論理の飛躍」を必要としていた。実際に、そうした陰謀団体の幾つかは存在していたが、欧州の強権的な政府によって、いずれも地下潜伏活動を余儀なくされていた。しかし、ロビンソンは陰謀論を固く信じて疑わず、彼の妄想の中では、陰謀は社会のあらゆる場所に密かに浸透しているのだった。
アメリカに、イルミナティー陰謀論を最初にもたらしたのは、ロビンソンの本であると考えられる。1798年には、ニューイングランドの牧師が、無神論のイルミナティーがすでに欧州を席巻し、次はアメリカ合衆国を狙いに定めて計画を進めている、との説教をしている。その二年後の、1800年の大統領選挙で、連邦党はジェファーソンをイルミナティー陰謀論に結び付けようとした。しかし、ジェファーソンは大統領に当選を果たし、二期にわたって職務を遂行し、陰謀論者が妄想を抱いていたような独裁政治が出現することなどなかった。
共通する特徴
ジェファーソン時代のイルミナティー陰謀論は、その後の米国史に現れた様々な陰謀論のひとつの原型となった。アメリカに対して陰謀をめぐらしているとされる集団は、時代と共に次々に変ったが、陰謀の特徴は、変ることなくずっと同じである。
1820年代には、フリーメーソンが陰謀論の標的にされた。イルミナティーとフリーメーソンを一緒にして考えていた人々の頭の中では、フリーメーソンもまた、アメリカの民主主義を破壊する、不穏の秘密結社とされたのである。少しして、アメリカのプロテスタントの多くは、カトリック教会が合衆国を乗っ取り、ローマ教皇に引き渡そうとしている、と信じるようになった。1920年代には、自動車王ヘンリー・フォードその他が『シオン長老の議定書』を出版したことによって、ユダヤ人が陰謀の標的になった。完全な捏造書である『シオン長老の議定書』は、ユダヤ人による世界支配の青写真である、とされた。
冷戦初期の時代には、共産主義者がハリウッドの映画産業から連邦政府に至るまであらゆる場所にひそかに侵入し、不穏な勢力を作っている、と恐れられた。共産党はアメリカでも活発に活動していたが、陰謀論者たちは共産党の活動を大げさに論じ立てた。例えば、ジョセフ・マッカーサー上院議員は、連邦政府の中において「赤狩り」を実行した。彼は当時、このように述べている。
「連邦政府の高官たちが、われわれに大いなる災厄をもたらそうとしていると、われわれは確信している以上、どう現状を説明すべきであろうか。われわれは、人類史上ほかのいかなる陰謀もちっぽけにしか見えないほどの、巨大な、恐るべき陰謀に直面しているのである。」
1991年には、テレビ伝道者で、大統領選候補者でもあったパット・ロバートソンが『新世界秩序』と題する本を出版した。ロバートソンは、イルミナティーにまで陰謀をさかのぼり、今日、ウォールストリートと世界銀行が共謀し、ジミー・カーターやジョージ・ブッシュら政治家と手を組んで、国連を操り、アメリカからキリスト教と自由を葬り去ろうとしている、と主張した。ロバートソンは、「全体主義的世界政府」を出現させるために、ソビエト崩壊や湾岸戦争が仕組まれたのだ、と論じている。
オクラホマシティーの連邦ビル爆破事件後、「ミリシア」と呼ばれる私兵団がマスコミから注目を浴びるようになった。ミリシアのメンバーの多くは、国連や外国政府が、合衆国政府自身の手引きを受けて、国内への侵入を企てている、と本気で信じていた。ミリシアのメンバーの考えでは、合衆国政府が加担しているゆえに、ミリシアが銃火器を所有する権利を政府は取り上げようとするのだ、とされた。
陰謀論に共通する点はなんであろうか。陰謀論者はよく、アメリカ市民の日常生活が危機に瀕している、と説く。海外でも国内でも、無数の凶悪な事件が起きている、と言う。そして、それらすべてを、ひとつの陰謀によって説明することが可能である、と固く信じている。陰謀論の多くにおいては、ごく少数の識別可能な集団が秘密活動を行っている、とされる。陰謀は、厳しい規律に従う、強固な信念を持った、全能の力を持つ、ごく少数のグループによってめぐらされる。そうしたグループは、想像を絶するほど邪悪であり、善良な多数者であるわれわれとは完全に対極に位置している。危機の時は近づいており、今こそアメリカの愛国者は立ちあがって、われわれの内なる敵を殲滅すべきである、と陰謀論者は警告する。
なににもまして、陰謀論に共通する特徴は、予告されたことが実現したためしが一度もない、ということである。ジェファーソン大統領は宗教を廃止したりしなかった。ローマ教皇がアメリカ合衆国の支配を狙うこともなかった。共産主義者が連邦政府を乗っ取ることも起きなかった。他もまた同様である。
本当の陰謀と妄想の陰謀
世界では陰謀が現実に行われている。少数の犯罪者組織やテロリスト・グループが殺人や、銀行強盗、ハイジャック、ビル爆破などを計画もし、実行もしている。政治やビジネスの世界でさえ、秘密の会合が行われ、秘密の戦略が練られている。そうしたものすべてを、「陰謀」とみなすことは、確かに可能である。しかし、「世界を征服する」というイルミナティー、ユダヤ人、国際銀行資本、その他もろもろの陰謀論は、ただ、それを信じたいと思う人だけが、信じることが出来るのである。
社会学者のディーター・グローは、歴史とは、複雑に入り組んだものであり、ひとつの陰謀グループが操ることなど不可能である、と論じている。歴史は、計画不可能なものであり、すべてが「計画通り」だとする妄想的陰謀論者の言とは矛盾する。
厳密な証拠主義による合理的説明に基づいて、犯罪者による陰謀を証明しなければならない検察官とは異なり、陰謀論者は、すぐ結論に飛びつこうとする。歴史学者リチャード・ホフシュタッターによれば、陰謀論者は一連の事実から、想像力によって飛躍し、少数の邪悪な集団が活動しているとの結論にうまくあてはまるよう、事実を組み立ててしまう。例えば、イルミナティーは平等を信条としていた(これは事実である)。ジェファーソンは平等を信条としていた(これも事実である)。それゆえ、ジェファーソンは、イルミナティーの世界支配の陰謀に加担している(普通ならそうは考えないが)、という思考をするのである。
こうした「論理の飛躍」は、しばしば古典的とも言える論理の誤りに基づいている。陰謀論によく見られる論理は「〜である。それゆえ、〜である」というものである。ここでの論理的誤りは、「XはYの原因である。なぜなら、XはYの前に起きたからである」としてしまう点にある。「ジャックが転んで腕を折る一分前に、黒猫がジャックの目の前を通り過ぎた。それゆえ、黒猫がジャックに不運をもたらした」という論理展開である。陰謀論の著作物は、この手の迷信的思考方法に満ちている。例えば、「四つの銀行が会議を行った四日後、株式市場が200ポイント急落した。銀行は、株価が急落するよう操作し、それによって、莫大な利益を得た」などである。
陰謀論に共通して見られるもう一つの論理的誤りは、「徐々に降る坂道」の論理である。この論法では、単純な事実を寄せ集めて、大災厄を予告することが出来る。ひとつの事柄が、次の事柄を導き出し、最終的に、大災厄に結びつけようとする。例えば、「政府が自動車の登録をやるようになったら、それは、政府による世界支配の陰謀の第一歩である。次には、旅行する際にも登録が必要になるだろう。さらには、人間のあらゆる行動を監視するために、それぞれの額にマイクロチップが埋め込まれるようになるだろう。」 このように、ひとつの不可避的な事実を示し、そこから次へ、さらに次へ、と導いて行くのである。
あらゆる出来事の背後に陰謀を見出すようになった人には、もはや、普通の論理や常識などどうでもよいように思われる。歴史学者ホフシュタッターは、これを、「アメリカ政治における統合失調症」と呼んでいる。彼はこう述べている。「われわれはみな、ある意味で、歴史の犠牲者である。しかし、陰謀論者は、二重の意味で、歴史の犠牲者である。現実の世界から苦しめられるばかりではない。妄想の世界から、そして、自分以外のすべての人間から、苦しみを受けるからである。」
コンスティテューショナル・ライト・ファウンデーション
Constitutional Rights Foundation
601 South Kingsley Drive, Los Angeles, CA 90005
(213) 487-5590, Fax (213) 386-0459
http://www.crf-usa.org/