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(回答先: 米一般教書演説：要旨 ［毎日新聞］ 投稿者 あっしら 日時 2004 年 1 月 21 日 21:26:46)
５４分間に及んだブッシュ米大統領の一般教書演説を２０日、連邦議会の議場で聞いた。単独行動主義の色彩の濃い外交・安全保障政策は相変わらずだが、内容は昨年より抑制気味で「帝国になろうという野心はない」といった弁解も目立つ。一方で、身の回りの内政課題への傾斜が顕著で、道徳や信仰を重視する「ブッシュ的世界」が随所に顔をのぞかせている。全体として１１月の大統領選を意識し、守りを固めに入った印象が強い。
【ワシントン河野俊史】
●「野心はない」
拍手で演説が中断された回数を数えてみた。全部で７２回。４５秒に１度の割合だ。党派を問わない儀礼的なものも多いが、よく観察すると、反応にさまざまな差があることに気付く。
大統領から見て右が民主党、左が共和党。ほぼ半々に割れている。全員が起立し拍手していた議場に変化が表れるのは、大統領がイラク戦争の開始を正当化し、フセイン元大統領の拘束を自賛したときだ。民主党議員の半数は席に腰を下ろしたままで、拍手もまばら。大統領が大量破壊兵器について「計画はあった」と声を強めると、民主党議員の間にはしらけた空気が漂った。
今回の演説では就任３年の実績が強調され、特定の国に対する激しい非難は影を潜めた。逆に、「我々には（世界を）支配したり、帝国になろうという野心はない」という弁解が盛り込まれたほどだ。従来のスタンスは変わらないものの、大統領選を控え、２年前の「悪の枢軸」発言のような強硬姿勢で緊張を高めるより、昨年暮れに大量破壊兵器を自主的に廃棄させることに成功したリビアのような解決を模索した方が当面は得策との判断が働いているようにみえる。
●争点つぶし
民主党席からの拍手がパタリとやみ、議場が二分されるのはテーマが外交・安保から経済に移ってからだ。大統領が失業率改善の実績を強調したり、今後５年間での財政赤字半減に触れても、拍手は共和党だけ。民主党議員は沈黙したままだ。経済をはじめとする内政問題が、イラク戦争やテロを上回る大統領選の対立軸になっていることが実感できる。
ブッシュ大統領は昨年末以来、従来は民主党が得意としてきた公的医療保険（メディケア）改革や移民問題などで、相手のお株を奪うような新政策を発表してきた。民主党側は「いずれも不十分なもので、企業の都合を優先させている」と反発しているが、ブッシュ政権が大統領選を前に「争点つぶし」を図っているとの指摘は根強い。その仕掛け人と目されているのが、ホワイトハウスのカール・ローブ大統領上級顧問（政策・戦略担当）だ。
この日も演説がメディケア問題などに及ぶと、民主党からは冷めた反応が目立った。
●ブッシュ的世界
演説の後半は教育や薬物対策など身近な内政問題に割かれた。大統領は子供たちに「正しい選択」をさせる環境作りを強調し、その中心に道徳的価値観を据えた。非行問題の解決や犯罪者の更生にキリスト教をはじめとする宗教団体の力を借りる政策もその一つ。「信仰に基づくイニシアチブ」と呼ばれる。しかし憲法の政教分離原則に違反する恐れから、民主党内には慎重論が強い。
さらに、大統領は同姓同士の結婚を容認する最近の裁判所の動向を強く非難し、「結婚の尊厳を守らなければならない」と指摘、結婚は男女間に限られるという保守的な価値観を強調した。最後は「我々を導いてくれる偉大な力を信じる」と神の力に言及した。
米国では大統領選の年になると「家族の価値観」が論じられる。道徳や信仰に関する大統領の一連の言動も無関係ではない。民主党議員の中には席を立って、会場をあとにする人も目立った。
［毎日新聞１月２１日］ ( 2004-01-21-19:22 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20040122k0000m030044000c.html
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。