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綱領改定についての報告・第1章(しんぶん赤旗) −「赤旗」に不破報告の全文が掲載されましたので、転載します。
http://www.asyura2.com/0401/senkyo2/msg/171.html
投稿者 シジミ 日時 2004 年 1 月 16 日 08:21:29:eWn45SEFYZ1R.
 

(回答先: 未来社会論、参院選勝利、党建設 確信、新鮮な決意…(しんぶん赤旗) −「決意」だの「確信」だのと内輪で盛上る、今までどおりの共産党大会。 投稿者 シジミ 日時 2004 年 1 月 16 日 08:05:48)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-01-15/00_03.html

日本共産党第二十三回大会の一日目(十三日)に、不破哲三議長がおこなった「綱領改定についての報告」は、つぎのとおりです。

代議員、評議員のみなさん、全国の党員のみなさん、党中央委員会を代表して綱領改定についての報告をおこなうものであります。

 七中総以来、総選挙の時期をはさみ、約七カ月にわたって活発な全党討論がおこなわれてきました。支部会議、地区党会議、県党会議での討論の状況は、九回にわたって各都道府県委員会から報告がよせられました。一人ひとりの党員の個別の意見についても、討論誌への応募意見が五百六十七通にのぼったのをはじめ、全体で二千通近い意見、感想が党中央委員会によせられました。

 今回提案した改定案は、理論的な新しい観点ももりこんだ全面改定でありましたが、全国的な討論の流れは、この改定案に賛成の意見でありました。

 よせられた意見、注文を見ますと、綱領の性格をはっきりさせたら解決すると思われるものもかなり多く見受けられました。そこで報告は、綱領とはなにかという問題から始めたいと思います。


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党の綱領とはなにか
 党の綱領は、党活動の目標、および根本方針を明らかにするものであります。日本共産党の最終目標は、党規約に明記されているように、日本の社会を「真に平等で自由な人間関係からなる共同社会」、いいかえれば、社会主義・共産主義の社会に発展させることにあります。日本が、社会の発展のどんな段階をへて、また道筋に沿って前進し、未来社会の道をどのように切り開いてゆくかは、日本独自のものであって、これを明らかにするところに、日本共産党の綱領のなによりの役割があります。

 とくに、いまの日本社会がどういう状態にあり、社会としてどんな課題に直面しているのか、それをどのように解決するのが法則的で発展的な方向であるのか、これらの解明は、綱領の中心問題であります。そこでは、当面の情勢のもとでの方針だけでなく、さきざきまで展望して、日本と世界の諸問題にのぞむ基本的な考え方や目標が明らかにされなければなりません。党の発展と活動の途上には、前進もあれば後退もあり、いろいろなことが起きることが予想されますが、そのなかでも太く貫いてゆく方針を示すのが、党綱領であります。私たちが、綱領の改定にあたっては、“長い目で歴史の試練に耐える”ことが重要だと強調しているのは、その意味であります。

 日本がすすむ社会発展の段階やそこでの目標、課題などの問題は、私たちの主観的な願望で決まるものではありません。日本と世界の情勢を科学的に分析することによって、はじめて的確に見定めることができるものであります。その意味では、ここには、私たちの世界観、科学的社会主義の世界観がこめられます。正確な綱領を持とうと思ったら、この世界観を深め、発展させ、現代的にみがきあげる不断の研究が不可欠であります。そして、その綱領の中身では、私たちが今日の日本と世界の情勢をどれだけ的確につかんでいるかだけでなく、科学的社会主義の世界観をどれだけ深く自分のものにしているかの、私たちの理論的な力も試されるのであります。

 また、綱領が日本共産党の根本方針だということは、党内だけで通用すればよい、ということではありません。科学的社会主義の事業の先輩たちは、党の綱領とは「公然と掲げられた旗」であって、「世間の人々はそれによって党を判断する」(エンゲルス)、こう語ったことがあります。

 もともと日本の社会の発展の方向を決めるのは、日本の国民であります。どんな方針も国民の多数者の理解と支持を得てこそ、はじめて社会を動かす力を発揮するものです。私たちが、今回の綱領改定にあたって、“国民により分かりやすく”ということに力を入れたのもそのためであります。

 党の綱領の基本的な性格は以上のような諸点にあります。

 意見ではいろいろな政策的な要望が出されました。しかし、綱領は、要求の総まとめでも政策の集大成でもありません。国民的な要求との関連について言いますと、国民諸階級・諸階層の多様な要求を実現するためにどんな改革が必要であるかを確定するのが、綱領の任務であります。政策は、綱領のその路線をふまえて、各分野で、またその時々の情勢に照らして、要求実現の方向を具体化してゆくのが任務であります。党綱領が当面する改革の大きな方向を打ち出していることは、わが党の政策活動が一貫性を持ち、体系性を持つことの保障となるものであります。綱領と政策などのこういう関係をよくつかんでいただきたいと思います。


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今回の綱領改定の性格
 綱領改定の内容に入ります。

 現在の党綱領は、二つの党大会にわたる全党討論をへて、一九六一年に採択されたものであります。

 その路線の中心は、

 ――社会の段階的な発展という見地に立って、当面する日本の変革を、独立の任務をふくむ民主主義革命と規定したこと、

 ――多数者革命の路線にもとづき、日本の社会のどんな変革も、議会の安定多数を得て実現するという方針を明確にしたこと、

 ――社会発展の全過程で、統一戦線と連合政権の立場を貫いていること、

 などにありました。

 綱領路線のこれらの点の正確さ、的確さは、それ以後四十年を超える情勢の進展とわが党の活動のなかで実証されてきました。

 今回の綱領改定は、七中総の報告・結語で明らかにしたように、この基本を引き継ぎながら、つぎのような点で、綱領路線を大きく前進させたものであります。

 第一に、民主主義革命の理論と方針を、日本の進歩的な変革の指針として、より現実的かつ合理的に仕上げたこと。

 第二に、二〇世紀に人類が経験した世界史的な変化を分析し、二一世紀をむかえた世界情勢の新しい特徴および発展の展望を明らかにしたこと。

 第三に、科学的社会主義の理論的な立場をより深く究明しながら、とくに未来社会論では、過去の誤った遺産についてもその総決算をおこない、私たちの終極目標である社会主義・共産主義の展望が持つ人類史的な意義をあらためて解明したこと。

 これらであります。

 すでに綱領の内容の基本点は、七中総の提案報告で詳しく解明いたしました。そのことを前提に、以下、章ごとに重点的な報告をおこないたいと思います。


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戦前の日本社会と日本共産党(第一章)
 まず「第一章 戦前の日本社会と日本共産党」についてであります。この章は、基本は現行の綱領の文章を引き継いでおりますが、表現をより分かりやすくする努力をおこなうとともに、日本がおこなった侵略戦争について、戦争の開始と拡大、敗戦にいたる基本的な経過、それが引き起こした惨害などが、的確に分かるように筆を加えました。

 この章については、なぜ党の綱領が戦前からはじまるのか、なぜ戦前の日本社会とそこでの闘争についてのべるのか、こういう質問や意見がいくつかありましたので、その意味を解明しておきます。

 戦前の歴史は、日本共産党の活動にとって原点ともいうべきものであります。それは世界の資本主義諸国のなかでも、もっとも野蛮な抑圧のもとにあった戦前の日本社会で、いかなる搾取も抑圧もない未来社会の建設をめざし、天皇制国家の専制支配と侵略戦争に反対して、平和と民主主義のために勇敢にたたかいぬいた不屈の記録であります。言語に絶するそのたたかいの犠牲者のなかには、党中央の指導者たちとともに、二十歳代の若い生命をこの事業にささげた青年たちなど多くの人々の名前が刻まれています。

 いかなる苦難の情勢に直面しても、「国民が主人公」の信条をつらぬき、平和と民主主義の日本、そして人間解放の未来社会をめざす党の旗を掲げつづけた先輩たちの精神は、今日の新しい情勢のもとでもかたく受けつがれなければならないものであります。

 そこに、党綱領が、まず党創立以後二十余年にわたる戦前のたたかいについてのべている第一の意味があります。

 第二に強調したいのは、戦前の問題は、現在の情勢、現在の党の任務を理解するうえでも欠かすことのできないものだという点であります。

 なぜ日本は「ルールなき資本主義」か、この問題をとってみましょう。これは、日本が一九四五年まで、国民が無権利状態に置かれていた社会だったという歴史を抜きにしては、理解できない現実であります。たとえば一九三〇年代をふりかえってみてほしいと思います。この時代は、ヨーロッパでは、人民戦線運動が大きな発展をとげた時代で、労働運動でも、フランスでは、一九三六年の大運動で、賃金・労働時間・有給休暇から団体協約の権利にいたる画期的な改革がかちとられた時期でした。ところが、同じ時期の日本は、中国の東北地域への侵略から全面侵略に移行する時期であって、明治以来の無権利状態に加え、労働者など国民をさらに過酷に抑圧する戦時体制が、年ごとに強まりつつあるさなかでした。こういう違いの積み重ねが、今日のルールなき社会の現実に現れているわけであります。

 また、日本の軍備増強や海外派兵がなぜ特別に問題になり、アジア諸国の強い拒否反応を引き起こすのか。これも日本の侵略戦争の歴史を認識して、はじめて理解できることであります。

 改定案が、新しい日本の平和外交の方針の冒頭に、「日本が過去におこなった侵略戦争と植民地支配の反省を踏まえ、アジア諸国との友好・交流を重視する」と明記しているのも、その歴史を真剣に踏まえているからこそのことであります。

 なぜ日本が世界でただひとつ憲法の平和条項を持っているのか、なぜ日本共産党がその擁護を中心任務として掲げるのか。そしてまた、日本共産党の野党外交になぜ多くの国ぐにの信頼と共感がよせられるのか。今日の政治のこれらの中心問題も、この歴史の認識に裏付けられてこそ正面からとらえることができるものであります。

 日本の未来を開く先頭に立つものは、過去の日本が侵略戦争と植民地支配によってアジアと世界に大きな損害を与えたことをはじめ、戦前の日本社会がへてきた歴史について、深い認識を持つ必要があるのであります。

 第一章が、綱領の冒頭に掲げられてある意味を、この精神でぜひ読み取ってほしいと思います。

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