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(回答先: 読め!と無理矢理渡されてもねぇ… 投稿者 最初は誰でも初心者 日時 2004 年 3 月 05 日 23:27:42)
>「正当な理由」があるから入れるのです。
>どこまで入り込むのが郵便配達の正当な業務といえるかは、良識ある市民なら容易に
>判断できることです。
「良識ある市民」という定義しにくい存在を持ち出しても意味がありません。
法律の制定は多数派の良識や非常識をある程度は基礎にしているとは言え、制定された法律の規定はそれらを超えたものです。
(「悪法も法」という言葉を持ち出すまでもないでしょうし、常識と法律の規定や判例が食い違っていることが少なからずあることなどからわかるように、良識ある市民でも容易に判断できるわけではないものです)
自衛官宿舎にビラを撒いた人たちも、そのビラを配布するためにポスト設置場所に立ち入ることに「正当な理由」があると、「良識ある市民」として考えたかもしれません。
彼らが、現実として広く容認されている営業用のチラシを配布するためより、反戦ビラを配布するためにポスト設置場所に入り込むことのほうに「正当な理由」があると考えても、何ら不思議ではありません。
刑法130条が、「正当な理由がないのに」という曖昧な条件しか提示していないのですから、人々は、「正当な理由」を刑法130条の適用状況から類推することになります。
営業用のチラシを配布するために集合住宅のポスト設置場所などに入り込む行為が容認されているのは事実ですから、それも「正当な理由」になると判断してもおかしくはありません。
営業用チラシはOKで反戦的チラシはダメというのは法理論的に誤りです。
>「通報される」とは、住居権者の意思に反するということです。それが解ってるとい
>うことは、住居権者の意思に反して侵入する意思があると言うこと、つまり住居侵入
>罪の故意あり。
>通報されると知りつつ侵入し、現に通報されて捕まったのなら、故意ある不法な行為
>以外の何物でもありません。一体、どこが意味不明なんですか?
今回のケースでは、「読んではもらえないかもしれないが配布した」とか、「ひょっとしたら警察が動くかも」という思いはあったかもしれないが、違法性の認識はないようですから、「通報されると知りつつ侵入」したとは判断できないでしょう。
「通報されると知りつつ侵入した」と判断できる材料は何ですか?
「現に通報されて捕まったのなら、故意ある不法な行為」という論理はメチャクチャです。
通報や逮捕がなくても不法行為は不法行為です。
逆に、逮捕されたからといって、不法行為をなしたと言えるわけではありません。(それだったら、裁判しかも三審制の裁判は無用の長物ということになります)
故意というのが「住居権者の意思に反して」という意味で書かれているのなら、それが「住居不法侵入罪」の成立を左右するわけではありませんが、今回の自衛官宿舎に対するビラ配布ではそうは言えない可能性が高いでしょう。(居住者たちの意思は不明のままというものでしょう)
なぜなら、あの宿舎の自衛官家族たちがイラク派兵を考え直そうといった趣旨のビラ配布に対して明確な拒絶の意思表示をしていたという事実は伝わっていないからです。
チラシ配布者も、自衛官宿舎のみなが配布したビラに憎悪すると判断していたら無駄な配布行為はしなかったはずです。
自衛官という環境のために情報が偏っているからチラシを読んだら新しい考えをするようになるかもしれない、内容は受け入れられないけどチラシを読んでみて損ではなかったと思ってくれるかもしれない、ひょっとしたら一人くらいチラシに共鳴するかもしれないという“願望”があったからこそチラシを配布したと推測することができます。
逮捕について言えば、権力機構が身体の自由を奪うことを認める逮捕令状を警察の求めに応じて裁判所が出しすぎています。
逮捕は、逃亡や証拠隠滅の恐れがあるときに限定して行われるもので、今回のケースでそれが必要だったのかはなはだ疑問です。(証拠のチラシは配布相手(自衛官家族)から証言付きで回収しているだろうし、1ヶ月後にスムーズに逮捕できたのですから逃亡を企てた形跡すらないはずです)
>刑法35条は「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」と定めており、郵便配
>達は郵便法及び日本郵政公社法に基づく行為であることから、その職務に必要な限り
>において刑法130条の「正当な理由」があるものとされます。
>そもそも郵便配達人の場合、配達しないこと自体が刑罰の対象です(郵便法79条1
>項)から、ビラ配りとは根本的に違います。
問題にしているのは、「法令又は正当な業務による行為は罰しない」から郵便配達人の“住居不法侵入”という違法性が阻却されるのか、郵便配達人の郵便受けへの配達行為は“住居不法侵入”に当たらないのかということです。
私は、後者の郵便配達人の郵便受けへの配達行為は“住居不法侵入”に当たらないという見方です。
刑法130条の現実の適用状況に照らせば、ビラやチラシを配布するために集合住宅のポスト設置場所にアクセスしても「住居不法侵入罪」は成立しないと解釈するのが妥当です。
「ビラやチラシはお断り」と明示している相手にビラやチラシを配布する行為は、別の法律をもって対処すべき問題だと考えています。
刑法35条の規定は、刑法130条についてなら、逮捕令状や家宅捜査令状を持っていれば住居不法侵入の違法性は阻却されるという趣旨です。(殺人も死刑執行者はその違法性が阻却されます)
公務中の警察官であっても、令状なく他人の住居に入り込めば「住居不法侵入罪」が成立します。
書留などを個別の住居占有スペースまで届けるためであっても、玄関を勝手に開けて中に入り込めば「住居不法侵入罪」が成立します。
>確かに拡声器よりはビラの方がマシだとはいえますが、「だからビラ位いいじゃない
>か」いう主張には同意できません。
>ビラを押し付けていいのはせいぜい街頭で配る場合。パブリックな空間ならその程度
>は是認していいし、いらないならすぐ返すなり捨てるなりすればいい。しかし、知ら
>ぬ間にビラを投函されたのでは付き返すこともできません。
>「これ位いいだろう」という感覚で自らの表現の自由を押し付ける無神経さほど腹立
>たしいものはありません。それが私には許せないのです。
ビラやチラシの戸別配布は違法であるとする法律を制定するかどうかという問題であり、その法律が違憲でないかどうかという問題です。
あなたが許せないかどうかや、ある種のチラシはOKである種のチラシはダメという恣意的なものでなく、明確に法によって規定されていなければならないということです。
チラシ配布を取り締まるために「住居不法侵入罪」を適用している現状では、集合住宅の居住者はその利益を享受できるが、公道に面して郵便受けが設置されている一戸建て住宅の居住者はチラシの害を避けることができないというとんでもない不平等が生じます。
人によって違いがあるでしょうが、見たくなかったり聞きたくない屋外広告や屋外“主張”もあります。
「表現の自由」や「営業の自由」のある発現形態を、「住居不法侵入罪」で取り締まろうとすることが根本的におかしいのです。