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(回答先: あっしらさん、お久し振りです 投稿者 リーマン 日時 2004 年 2 月 07 日 02:21:11)
>制度の絵図面としての大日本帝国憲法も、原本はおそらく英語(あえてドイツ語ではなかったといいたい)でドラフトが作成され、それを伊藤がしかめつらしい文語の日本語に翻訳させた、というのが大柄な真実でしょう。現在の日本国憲法と成り立ちの骨格がそっくりです。ただ大日本帝国憲法は、文語体で書いてあるので、元が英語で買いてあったということが現代人には分からないだけなのだと思います。
主観でものをいっている浅学非才の徒の最悪の見本を見た気がする。
第二次大戦終結前までの憲法学、および米国系憲法に継受する法典の改変後の戦後もなお現在に至るまで、「ドイツ憲法学」の影響がどれほど色濃く残っているかは、少なくとも国内の「まともな大学」の法学部における憲法学の講義を受講していれば、その最初の段階で叩き込まれるはずである(少なくとも十数年前、Verfassung「憲法に相当するドイツ語」だの、Recht「権利・法・正義などの意味を包含するドイツ語」だの、Gewalt「権力に相当するドイツ語」だのは、私が卒業した都内W大学法学部での憲法講義では、普通に使われていたものだ)。
法学を修めた者にとっては常識以前の知識ではあるが、イギリスはいわゆる「不文憲法」の国であり、成文憲法主義を採っている大陸系(仏独他)とは憲法学の体系そのものが異なる。憲法に対するとらえかたも、その解釈も異なる国の憲法を参考にしながら、成文にて、厳密な定義の下で、しかも「英語」で大日本帝国憲法の原文を書くことは、概念的に不可能である。ちなみに大日本帝国憲法が参考にしたのは、ドイツのグナイスト、オーストリアのシュタイン他の影響により当時のドイツ帝国憲法であるのは周知の事実(だから上杉慎吉・美濃部達吉をはじめ第二次大戦以前の日本の憲法学者にとっては、ドイツ語は必須の教養であったし多くの憲法学者はドイツへ留学した>また戦前の日本の憲法学に影響を与えたのもゲルバーやラーバントといったドイツの憲法学者であった)。
リーマン氏は失礼ながら、ドイツ帝国憲法およびドイツの憲法学者達が、明治憲法起草責任者(参議)であった伊藤博文に対して与えた影響をあまりに過小評価(というより無視)してはいないか?
私自身、在学中に「少しは」かじった比較憲法学の観点からすれば、リーマン氏の「明治憲法英文原文説」は、到底論証に耐えられるものではない。もう少し、明治憲法とドイツ憲法(および、民法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法に至る第二次大戦以前の日本法に対するドイツ法の圧倒的影響>民法・刑法は現在に至るもドイツ法が基本になっている>対して憲法・刑事訴訟法および民事訴訟法は、条文に関しては程度の差こそあれ米国法の影響が強いが、その「解釈」や「概念把握」については依然、ドイツ法学の影響が残っている)について学ぶことをお勧めする。さもなければ、到底「他人を説得」するだけの論理力を持ち得ない(憲法学や法史学の素養がある人であればあるほど、説得は難しいだろう)。