★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ33 > 853.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
『改革』に揺れる横浜市立大(解説)[五十嵐仁の転成仁語]
http://www.asyura2.com/0401/bd33/msg/853.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 2 月 22 日 02:36:46:dfhdU2/i2Qkk2
 

(回答先: 『改革』に揺れる横浜市立大 [東京新聞] 投稿者 なるほど 日時 2004 年 2 月 22 日 02:23:22)

2月16日(月)
今日の『東京新聞』の「こちら特報部」に横浜市立大学についての記事が出ています。このような記事を出す限り、まだ新聞は大丈夫だと思いました。『東京新聞』は健闘しています。


 この記事には、「逃げ出す教員『隠れFA』も “石原・都立大”と手法同様」という見出しが付いています。中田横浜市長の進めている横浜市立大学の「改革」も、石原都知事が強行しようとしている都立4大学の廃止・新設も、その手法は同じだというわけです。
 どちらも、問答無用のトップダウン方式です。このような、上からのやり方でなければ「改革」は進まないというのが、両者の言い分です。
 元民主党代議士だった中田横浜市長と元自民党代議士だった石原東京都知事が同じ手法だというのは奇異に思われるかもしれませんが、そんなことはありません。小泉首相が登場したとき、その「新自由主義的改革」姿勢に対して民主党の鳩山さんがエールを送っていた姿を思い出していただきたいものです。


 大学の意見を聞いていたら「改革」は進まないというのは、分かったようで分からない理屈です。本来、大学は「改革」を拒否するものだという「思いこみ」があるのではないでしょうか。
 実際には、横市大も都立大も「改革」そのものは拒否していません。それどころか、自主的な改革案を作成中でした。
 それを白紙に戻して一方的に別の案を押しつけるという点で、横浜市と東京都は共通しています。しかも、「思いつき」に基づく一方的な「改革案」を……。


 このようなやり方は、民主主義的ではないという点で、根元的な批判を浴びるでしょう。しかし、緊急の際における「改革」のためには、臨時的一時的に許されるのではないかという意見もあるかもしれません。
 その場合であっても、「改革」の対象が大学であるという点が考慮されなければならないでしょう。いかなる「改革」であっても、それは大学の自治と学問の自由を守り発展させるものでなければならないということです。


 この点がおろそかにされるような「改革」は、大学の「改革」ではなく大学の死滅を意味します。「改革」の後にできあがるものは、もはや大学ではありません。
 つまり、石原都知事が狙っているのは、都立大学の廃止というレベルの問題ではないということになります。彼が廃止しようとしているのは、自治と自由を生命線とする大学という存在そのものにほかなりません。


 都立大学の場合、人文学部と経済学部が合体されて「都市教養学部」ができるそうです。これは一般教養とどのように違うのでしょうか。
 「都市」にのみ必要とされる教養があるというのでしょうか。もしそうだとすると、「農村教養学部」が、どこかに必要だということになるかもしれません。
 「都市教養学部」では、何が、どのように教えられるのでしょうか。どのような科目が、「都市教養」としてラインナップされるのでしょうか。


 石原都知事には「思いつき」の構想はあっても、それを具体化した明確な構想はないようです。その証拠に、改革構想の具体化は予備校の河井塾に丸投げされてしまいました。
 具体的な改革構想がありませんから、今の時点で新大学の詳細な内容は明示されていません。新しい大学で何が教えられるのかはこれからのお楽しみだと、石原さんは言いたいのでしょう。
 でも、今の大学にいる教員は、自分はどうなるのか分からないわけですから、これではたまりません。学生や院生はもっと深刻でしょう。今まで勉強してきた専門や専攻がどうなるのか分からないわけですから……。


 大学側は都に対して、一方的に押しつけるのはやめて協議の場を設けて欲しいと要望しています。当たり前でしょう。それで自分たちの将来が決まるわけですから……。
 押しつけられた「改革案」を唯々諾々と受け入れるのでは、「大学自治」が泣きます。主体性無き改革に追随した教員が、学生に対して自主・自律の精神を教えられるのでしょうか。
 権力の横車に抵抗できなかった大学が、学問の自由を守ることができるのでしょうか。勝手に理事長、学長、大学名、カリキュラム、人事などを決められた大学は、大学の名に値するのでしょうか。


 このような「思いつき」の「改革」は、失敗する公算大です。中田さんや石原さんとしては、一種の実験であるというつもりかもしれません。
 上手くいかなかったら、後で頭でもかいて謝ればいいと思っているのかもしれません。いや、その頃には、お二人とももう市長でも都知事でもないでしょうから、したがって責任を問われることもないでしょう。
 しかし、この失敗の期間でさえ、大学には学ぶ学生がいます。彼らにとってはかけがえのない学生生活であり青春時代です。失敗したからといって、やり直すわけにはいきません。「改革」はできるだけ慎重に、かつ当事者の意見を尊重しながら行わなければならない理由がここにあります。

 新しい大学ができたとして、そこで教える教員、そこで働く職員、そこで学ぶ学生や院生は、全て新しくなるわけではありません。今の大学の施設や教職員、学生や院生もその多くは引き継がれます。
 新設とはいっても、実際には継承です。多くの部分が引き継がれます。そこに一生懸命亀裂や矛盾、軋轢を作り出そうとしているのが、今の石原都知事のやり方です。
 このような亀裂や矛盾を抱えたまま新しい大学が出発しても、果たして上手くいくのでしょうか。新しい学長や理事長が落下傘で降り立ったとしても、周りは敵意に満ちた土地の人たちばかりだということになりかねないのではないでしょうか。

 「戦争が終わった」といってはみても、敵意に満ちたイラクの人々に囲まれて二進も三進もいかなくなっているブッシュ大統領と米軍の悲哀を、新しい大学の中で味わうとすればお気の毒なことです。そうではありませんか、西澤潤一新学長(候補?)。
 今からでも遅くはありません。そうならないためにも、直ちに大学側との協議の場を設定し、大学の自治と自主性・自律性を尊重した真の改革構想の作成に力を尽くすべきではないでしょうか。

 それにしても、時代は変わったものです。かつてであれば、こんな乱暴なやり方が通用するなどとは、石原さんでさえ考えもしなかったでしょうから……。

http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm

 次へ  前へ

Ψ空耳の丘Ψ33掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。