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(回答先: 『改革』に揺れる横浜市立大（解説）[五十嵐仁の転成仁語] 投稿者 なるほど 日時 2004 年 2 月 22 日 02:36:46)
2004/02/24
近年、国立大学独立行政法人化や、COEを始めとしてた大学間の競争原理の導入など、日本の大学は大きく変えられようとしているが、その中でも悲惨を極めているのが東京都立大学（東京都八王子市）だ。昨年８月１日の東京都知事記者会見で、これまで大学と東京都が協議してきた改革案とは違う、「都立の新しい大学の構想」を突如発表。その後、大学の構成員を排除して一方的に改革案を策定し、学生、教員、都民から抗議の声が多数挙がっている。
都庁内で都立大「改革」を担当しているのは、「大学管理本部」と呼ばれる部局である。石原都政の元で平成１３年７月に設置された比較的新しい部局で、文字通り東京都立大学および他、都立３大学・短大を「管理」するために設置された。現在、大学管理本部を構成する職員の多くは大学行政・教育行政を専門としない職員で、港湾局（臨海副都心開発などを担当する部局）出身者などである。昨年８月１日以降、大学管理本部の暴走ぶりは問題となっているが、今回、突然に都立４大学の教員に新大学就任の「意思確認書」の提出を求め、教育の現場を大きく混乱させている。
「意思確認書」は都立４大学を統合し、新大学に移行するために各教員が提出する正式な「就任承諾書」とは別のものである。しかし、大学管理本部は「意思確認書」を新大学に残留する「意志」があるのかを「確認」する書類であるとし、新大学移行前の「最終の意思確認」としている。すなわち、「意思確認書」の提出を拒否した場合、新大学の就任承諾書の提出を求めず、つまりは新大学に残れなくなるという。２月１１日前後に都立４大学の各専任教員自宅に郵送で届いたと言われているが、提出期限は２月１６日となっている。これだけの重要事項について短時間での判断を求めるということの異常さもさることながら、新大学での労働条件が提示されていない中での労働契約の締結という極めて違法性の高い行為である。
「意思確認書の提出について」という大学管理本部長名義の書類には、平成１６年度開設予定の都立大法科大学院の専任教員予定者４名が抗議辞職したことを受け、このような事態が新大学開設において起こらないよう、専任教員予定者から早期に確実な意思確認を取るように「文部科学省から指導を受けた」を記載されている。このことが教員たちを悩ませた。「都立大改革」における数々の東京都の暴挙を文部科学省が認めるはずがないと思っていたからだ。教育と学問に携わる者としてこの異常な「改革」を認めたくはないが、提出を拒否した場合、担当する学生・大学院生の指導を続けられなくなるという「脅し」に教員たちは苦しんだ。教員たちにとっては「意思確認書」は都庁からの「脅迫状」に見えたに違いない。
ところが、文部科学省は本件に際し、意思確認書を取るように指導した覚えはないとして東京都に修正を求めた。「東京都立大学・短期大学教職員組合」が文部科学省に確認したところ、文部科学省が東京都に指導を行ったのは、「大学としっかりと協議をし、信頼関係を持って」新大学移行の手続きを行うようにいう指導であったことが明らかとなった。
この事態に都立大学の教員は屈しなかった。２月１８日時点で都立大学の６割以上の教員が意思確認書を提出していない。また、提出した都立科学技術大学などの教員の中には、「保留」と書き換えて提出した教員も多いという。「都立４大学廃止・新大学設置」を東京都は謳うが、実際、文部科学省に申請しているのは、都立４大学の「改組・転換」である。「改組・転換」には現行大学との協議が不可欠であるが、これを大学管理本部は各教員の「意志」の拘束を持って乗り切ろうとしている。新大学移行は３月の大学設置審議会で審議される予定であり、審議会の動向が注目される。
これらの異常な「都立大改革」に都民も動き始めている。２月２８日に『東京都の教育・大学「改革」シンポジウム』が日比谷公会堂で開かれる。シンポジウムには多くの都民・市民の参加が期待されている。『ＪＡＮ ＪＡＮ』をご愛読の皆様にも是非ご参加いただきたい。
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(河井相模)
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