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(回答先: 投稿者 日時 2003 年 12 月 07 日 04:38:31)
http://kodansha.cplaza.ne.jp/broadcast/special/2001_04_18_1/content.html
この男はいったい何者なんだ? 総裁候補・小泉純一郎の正体
取材・文:草薙厚子 取材:島田健弘
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■ 盛り上がる小泉優勢ムード
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「枯れ木も山のにぎわい」というべきか、候補者が4人出たことによって自民党総裁選は投票日(4月24日)に向けて活気づいてきた。4人の候補者がスタジオで、街頭演説で、声高に政策らしきものを連呼する姿が連日テレビで報じられている。自民党の目論見通り、相当な宣伝効果だろう。肝心の各都道府県連が行う予備選挙は21日から23日に開票が集中し、23日には地方票の大勢が明らかになる。
候補者4人は秒刻みで行動しており、様々な形で討論が行われているが、どう見ても3(橋本、麻生、亀井)対1(小泉)に分かれている。橋本龍太郎元首相(63)、麻生太郎経済財政担当相(60)、亀井静香自民党政調会長(64)の3氏は「構造改革は後回し」とそろって構造改革を避けているが、小泉純一郎前森派会長(59)はただ一人「構造改革なくして景気回復は有り得ない」と力説しており、構造改革重視の立場を鮮明にしている。さらに、「国債発行を抑えた財政健全化策」を打ち出し、「2、3年内の不良債権処理」、「派閥順送り人事を廃止」、「首相公選制を導入」、「郵政の民営化の推進」などとわかりやすい改革路線を打ち出している。
永田町の論理でいくと、102名という大所帯を抱える橋本派の橋本龍太郎元首相が選ばれるのは確実である。しかし、各紙各テレビ調査では、どこも小泉氏の評価が高く、橋本派幹部が「小泉でもいいかも」と戦術転換を洩らすほど小泉優勢ムードは盛り上がってきている。
森派を離脱し、最も国民受けのよい小泉純一郎元厚生大臣は果たして本当に公約通り“変革”を実践できる人なのか、それとも単なる“変人”なのか、実像が見えてこない小泉氏の正体を探ってみた。
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■ 米副大統領にもガツン
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自民党本部内の小泉選対
まずは応援団の明かすエピソード。
「平成3年にクエール米副大統領が来日した時に、加藤紘一氏、山崎拓氏、石川要三氏、瓦力氏という防衛庁長官経験者と小泉の5人がアメリカ大使館の昼食会に招かれました。クエール副大統領は『在日米軍の駐留経費を日本側が大幅に増やすように』と注文をつけてきた。防衛庁長官を経験した方々は『分かりました』との意向を見せましたが、小泉だけは『冗談じゃない、脅しのセリフとは何なんだ』と突っぱねた。クエール副大統領は『増やさなかったら在日米軍を全員撤退させるぞ、困るのは日本だぞ』とさらに突っ込みました。それに対して、『困りません。日米安保条約はもちろん大事だが、全部引き上げてくれたら日本国民はいかに日米安保が大事かということが身に染みて分かるだろうし、憲法も含めて国防とはなんぞやということも国民が分かる機会になる』と打ち返したのです。クエール副大統領は驚いて、このやり取りは一切口外しないことになりました」(小泉氏の政策秘書・飯島勲氏)
小泉氏は政治家としては3代目である。祖父は又次郎。全身に刺青を彫っていたため「刺青大臣」と言われていたが、横須賀市議と神奈川県議を経て昭和初期の浜口(雄幸)内閣と第2次若槻(礼次郎)内閣で逓信相を歴任。鹿児島県出身の父・純也は又次郎の娘・芳江の婿となり小泉家を継ぐ。純也は日大卒で'45年に初当選。第3次池田改造内閣で防衛庁長官に就任。'42年生まれの小泉純一郎氏は慶応大学経済学部卒業後、'69年8月に父・純也の急死で、ロンドン大学の留学を切り上げて帰国し、同年12月の総選挙に出馬するが落選。'70年3月から福田赳夫氏の秘書となり、政治家見習いの書生生活は'72年12月初当選の30歳の冬まで続いた。
'78年1月にエスエス製薬の創始者、泰道照山氏の孫娘、宮本佳代子さんと福田赳夫元首相の仲人のもと結婚し、2児(孝太郎・進次郎)をもうけたが'83年に離婚している。当時小学生だった二人の子供のいる自宅(横須賀)と議員宿舎(東京)を行ったり来たりで、ダスティン・ホフマン演じた『クレイマー、クレイマー』並みの生活をしていたという。「それからは佳代子さんとは一切会っていない」(前出・飯島氏)という。「失敗を繰り返さないためには再婚しないことだ」(小泉氏)と現在も独身でいる。
初当選以後は後援会の意向を忖度(そんたく)しない頑固ぶりにもかかわらず、10回連続当選。金銭・女性スキャンダルにはほとんど縁がなく、クリーンなイメージで売ってきた。'92年に「代議士たちのアイドル」といわれていた新橋の芸者(当時31歳)が自殺した際、小泉氏との間で「何かあったのでは」と報じられた程度である。今回の総裁選にあたって、様々なアングラ情報が小泉氏を襲っているが、どれも信憑性に欠ける。資産も候補4人のうち最下位の5000万円(昨年12月)。
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■ 離党→小泉新党で政界再編
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周知の通り、小泉氏を“変人”と名づけたのはあの田中真紀子元科技庁長官である。'98年の総裁選で、立候補した故小渕恵三、故梶山静六、小泉純一郎の3氏を「凡人、軍人、変人」と田中氏が評し、同年の流行語大賞を受賞したほどであった。その田中氏が今回は「私は名づけ親。健康優良児に育てる」と応援に回り、街頭では先陣を切って小泉氏を担ぎ上げている。
小泉氏の本質を明確に言い当てた田中真紀子氏だが、現在はこう語る。
「小泉先生は自民党のなかで一番光っておられるんですよ。なぜか、この先生にはしなやかさがあるんです。感性があるんです。しなやかさと感性は我が自由民主党にないじゃないですか。ですからそれを取り戻すんです。小泉さんは(政策として挙げていることについて)しっかりと決断と実行と責任をとってくださいます。その確約はしっかりと取ってありますし、私が責任を取ります」
残りの候補についてはバッサリ。
「どっかのグループはジュラシックパークですよ。太古の昔みたいに誰が出るの出ないのと大勢で潰しあいをやって、しかも誰も推してないのに出ようってんだから。もう一人はついこの間までの5人組だったんじゃないですか。5人組だった人が急に消費税を下げて、お金をばら撒く。そんなに歯が痛かったら、甘いお砂糖を舐めろみたいなことを言わないでもらいたいですよ。悪い歯は矯正するか抜くかしなきゃダメなんですよ。その覚悟がない人が国民に対して、消費税下げますと。でも選挙が終わったら下げないんですから、そんなことは21世紀は通りません、19世紀20世紀の発想です。もっとひどいのがあります。平安時代ですよ。宮廷政治サロン政治。お金持ちのお坊ちゃんたちが集まってモーツァルトを聴こうと。そんな時代じゃない。そんな人は引っ込んでてもらいたい」
また、ここにきて橋本派の若手議員からも、世論をにらんだところで、今の派閥型選挙に反対する動きが巻き起こってきた。
その一人である新藤義孝代議士(当選2回)はこう語る。
「これは造反ではなくて、単に自由なオープンな総裁選をやろうということです。それから、若手の会を作ることはいたしません。応援した方でなくても、どなたが総裁にお成りになってもその総裁のもとで我々は活動していくわけです。ですから、4人の方それぞれのお考えを自分たちも聞く必要があるのではないかということで派閥を抜きにして、若手が横断した形で各候補者の方々と懇談をする場を設けたということです」
橋本さんを選ばないのかと尋ねると、
「それも言葉が難しくて、橋本さんを選ばないかもしれないということではなくて、橋本さんも含めて4人の方を私は今回きちっと政見を聞かせて頂いて自分の手で一票を入れさせてもらいたいと思って活動しているのです」
「日本の明日を創る会」の平沢勝栄代議士は、今回の総裁選で小泉氏を推した事情を解説する。
「小泉さんはベストではないけれどベターな人。今回勝てる見込みがあるんなら、(若手候補を)出しておく意味はあったと思います。ところがやっぱり若手では今回どう考えても20人集まらないのですよ。それと今この危機的な状況の中では、一番大事なことは政治的な空白を作らないことだと思います。そこでベストではないけれどベターチョイスである小泉さんにある程度思い切ってやってもらう。(田中真紀子効果は)国民投票ならそりゃ圧倒的な効果がでてくるけど、党員投票だから組織とか団体の締め付けでやるから、ある程度効果はあるけど、爆発的な効果はない」
やはり最後は永田町の論理が幅をきかすのだろうか。
自らを小泉派と呼んでいる松島みどり代議士(当選1回)は、小泉氏の人となりを次のように話している。
「勤続25年国会議員をやると、国会に自分の肖像画が掲げられる。また月に30万円の交通費を支給されます。でも小泉さんはその2つを返上したんですよ。地方の選挙応援でも秘書を連れずに一人ですいすい行ってしまう。あれぐらいの議員になると普通、議員会館と地元の事務所以外に別の事務所を構えるのですが、それも持っていない。まあ、お金集めをしない人だから」
実際、小泉氏の選挙対策本部は、他の候補者とちがい自民党本部の中の508号室。飯島秘書が「皆、手弁当」というように、人はいるが質素な感じを漂わせている。
マスコミには「記者泣かせ」と言われ、「今日どうですか」と聞くとぽつりぽつりと話し、会話が少ない。元気がないように見えるが実は「パフォーマンスが下手というか、オクテというか、引っ込み思案で、人見知りする人です」(飯島氏)。 とはいえ、YKKトリオの加藤紘一氏や山崎拓氏との10年来の付き合いはもちろん、趣味である歌舞伎やオペラ鑑賞の世界にも知り合いは多い。日本で最初のソムリエ協会を作っており、フランス政府からは名誉ソムリエの騎士称号をもらっている。
総裁選の結果がどうあれ、小泉純一郎氏の去就が自民党解体、政界再編の起爆剤になっていることは間違いない。小泉側近は総裁選で敗れた場合、「離党することも視野に入れている」という。小泉新党が出来れば、選挙を控えた議員たちが大量に流入してくることも考えられる。また、手を組むであろう民主党からもなだれを打って入党してくる可能性もある。自民党が破滅への道をひた走りつつある現在、「破壊者」としての小泉純一郎氏にに寄せる国民の期待は大きく重い。
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