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小泉首相の自衛隊派遣は何を意味するか?
まず、今回の米英イラク攻撃と占領とは何かをしっかり理解しておく必要がある。
米英は国連常任理事国のフランス、ロシア、中国と常任理事国ではないがドイツ、さらに90%以上の国連加盟国の反対を押し切ってイラクに先制攻撃を行った。これは国連無視、国際世論無視の独断行為である。今回の米英イラク攻撃はブッシュ自身"Invasion"(侵略)と公言しているように、「米英のイラク侵略」が正しい認識である。日本は率先して米英の侵略を支持し、いまや自衛隊を派遣することで侵略国の仲間入りをした。この事実はイラク戦後の復興・再建の責任問題に大きな影響を及ぼす。
イラク侵略者には復興・再建の責任があり、侵略反対者には責任は無い。「米英は我々の反対を押し切ってイラクを滅茶苦茶にしておいて、その後始末に金を出せ、軍隊を出せは無いだろう」という非侵略者の主張には誰も反論出来ない。だからアメリカは政治を超越する「人道」に訴える手に出たのである。この作戦は9・11でテロの凄まじさを見せつけておいて、世界をアメリカの「テロに対する戦い」に引き込んだのと同じ手口である。
日本がイラク復興・再建支援に破格の資金と自衛隊の年内派遣を早々に打ち出したことで10月16日には米国提出の決議案(1511号)が安保理事会で採択され、国連多国籍軍イラク派遣と復興・再建支援の国際協力が決まった。これを受けて10月23日マドリード(スペイン)でイラク復興支援国会議が開かれ、日米をはじめ主な支援国の援助金が決まった。米国2.2兆円、日本5500億円(プラス1.5兆円の原油代)、EU900億円、サウジ1100億円、クウェート550億円、等々で総額3.6兆円(世銀の復興予算の試算では6.1兆円)。フランス、ロシア、ドイツは米英のCPA(連合国暫定機構)がイラク主権をイラク国民に移譲し、国連が監督することが目に見えるようになるまで、一切資金援助も軍隊も出さないと表明している。アメリカの侵略下のイラクを支援し、軍隊を送ることは自らが侵略者になるばかりか、石油と復興事業の利権はアメリカに独占されてしまうからだ。
今イラクで米軍をターゲットにテロが続行しているが、彼らはすべてシリア、サウジ、イラン、パキスタン等から越境して来たテロリスト集団である。アメリカは国境の警備を故意に手薄にしてテロリストが自由にイラクへ侵入できるように便宜をはかっているといってもいい。ちょうど日本の真珠湾攻撃を知っていながら知らぬ顔をして日本に攻撃をさせたのと同じこと。アメリカは今後イラクで自衛隊が大量に殺傷されることを期待しているようである。
何故なら、自衛隊が毎日殺傷されればそれだけアメリカ兵の被害者数が減るし、憲法9条で戦うことが禁じられている自衛隊が殺傷されるほうがアメリカ兵がやられるよりはるかにセンセーショナルだから。世界世論の批判はテロが送られて来たシリア、サウジ、イランに集中し、アメリカ軍がそれらの国に「監視活動」と称して侵攻する口実を与える。すでにビン・ラーディンは日本を敵と名指ししているから自衛隊は「飛んで火にいる夏の虫」である。おかげでアメリカはアラブ諸国に軍を進めることが出来る。小泉首相が自衛隊のイラク派遣を急ぐことによってアメリカの中東戦争が加速される結果になる。
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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)
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