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流氷を追って(3) 流氷を生む場所を発見【ホーツク回廊を行く:Yomiuri Online 知床特派員】
http://www.asyura2.com/0311/ishihara7/msg/306.html
投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 2 月 01 日 04:16:53:SoCnfA7pPD5s2
 

(回答先: 流氷を追って(2) 幻の大海流【ホーツク回廊を行く:Yomiuri Online 知床特派員】 投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 1 月 30 日 13:16:02)

■ 地球環境支える“心臓”

 怒とうのように、白い帯が次々と降り注いでいる。16ミリ撮影機のレンズの向こうで、光のシャワーが繰り広げられていた。
 海水の中の真水が凍る。すると、高塩分の重い水が、帯状になって海底に沈み込んでいく。これが地球規模の海洋大循環をもたらす。

 「初めてみたんだ。流氷誕生の瞬間を……」。北大低温科学研究所の若土正曉助手(現教授)(59)は、歓喜に包まれて身震いした。1974年夏。氷点下30度の研究所実験室で、流氷生成メカニズムを肉眼でみた人類初の人間となったのだ。

                 ◇

 その半年前、若土助手は海水を入れた水槽を低温実験室に置いた。工学部教授に頭を下げ、高価な光学装置も借りた。光の屈折を利用し、海氷誕生がもたらす海中の変化を映像にとらえるのが狙いだった。
 しかし、5か月を過ぎても撮影できない。屈折させる凹面鏡の位置などを何度変えても、失敗する日々が続く。約束した光学装置の返却日は、1週間先に迫っていた。

 そんな時、奇跡は起きた。この報告は論文となり、世界中に発信されたが、あくまでも実験室での出来事に過ぎない。オホーツク海での実証は、冷戦崩壊という時間が必要だった。

                 ◇

流氷を生む場が、オホーツク海のどこかにあるはずだ。97年からの国際プロジェクトで、調査船は若土教授が実験室で見たシャワーを探し求め、オホーツク海を航海して回った。
 「緊張の連続でした」。測定器系の操作を担当した北大低温科学研究所の深町康助手(40)は、荒れる海での調査の日々を振り返る。

 シャワー誕生の場所を発見したのは、東カラフト海流域を北上し、アムール川河口より北側のシベリア大陸沿岸に達した時だった。

 この沿岸は、冬季には氷点下40度にも下がる強烈なシベリア寒風が吹き付ける。アムール川からの淡水を含んだ塩分の薄い海面は、あっという間に凍る。

 あまりの強風に、氷はそのまま沖に運ばれ、東カラフト海流に乗って知床半島へとたどり着く。

                 ◇


 一方、淡水分の凍結で高塩分となった重い水は、海底に沈下し、千島列島中部を抜けて北太平洋に達する。高塩分と言っても、アムール川の淡水の影響で北太平洋の深層水より塩分が薄い流れは、水深300―800メートルに浮上。「中層水」となって、北は米・アラスカ、南はフィリピン沿岸にまで至る。
 これまで、この「北太平洋中層水」の存在は知られていたが、それがどこでどのようにして生まれるのかは謎だった。今回のプロジェクトが、この誕生の場を発見した。

                 ◇

 中層水は、酸素濃度の高いことで知られていた。その秘密は、厳冬期に大寒気にさらされ続けるシベリア大陸沿岸沖にあった。そこでは海が強烈に冷やされ、激しい対流が果てしなく続く。その結果、大気中の酸素を大量に取り込み、さらに二酸化炭素も効率よく溶けていく。
 「流氷を誕生させるこの場は、同時に酸素や二酸化炭素を海中へと送り込み、穏やかな地球環境を支える重要な場となっている」(若土教授)

 広大な太平洋からみれば、汽水湖のようなオホーツク海。しかし、その役割は太平洋そして地球環境を支える心臓部だったのだ。

[2004年1月30日]

流氷を追って(3) 歓喜のシャワー

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