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(回答先: 流氷を追って(3) 流氷を生む場所を発見【ホーツク回廊を行く:Yomiuri Online 知床特派員】 投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 2 月 01 日 04:16:53)
■ 外洋潤す循環システム
茶色っぽい、かわいらしい海鳥が、海面いっぱいにあふれていた。5月上旬の知床半島。斜里町ウトロ港から出港する遊漁船長の小田桐清一さん(49)が教えてくれた。
「南半球からわざわざやってきたのさ」
流氷が去ると、知床の海は生き物たちであふれる。その一つ、海鳥のミズナギドリはオーストラリア付近からやってくる。彼らの目的は、オホーツク海のイカナゴなどの魚群だ。
◇
アムール川河口などシベリア大陸北部沿岸で誕生した流氷は、大海流によって南下し、知床へ至る。この流氷には、アイスアルジーと呼ばれる無数の植物プランクトンが付着している。
春の訪れとともに流氷が解けると、アイスアルジーは太陽を浴びて大繁殖。これを動物プランクトンが食べ、さらに小魚、サケマスなどの大型魚、鳥類、海生哺乳(ほにゅう)類、鯨類とつながり、生き物たちの宝庫となる。
しかし、アイスアルジーの大繁殖は、単に流氷が解けるだけで起こるのではない。その裏に、重大な秘密が隠されていた。
◇
北大低温科学研究所の若土正曉教授(59)をリーダーとする日露米の国際研究プロジェクトチームは、オホーツク海の物質循環システムの解明にも取り組んだ。
アムール川河口からサハリン東岸沖にかけてを詳しく調査。その結果わかったのが、アムール川流域の森林(タイガ)にその源があると考えられている栄養物や有機炭素成分が、大陸棚から外洋へ広範囲に広がっていることだった。
プロジェクトの物質循環解析担当となったのは研究所の中塚武・助教授(37)。中塚助教授によると、大陸で生産される有機物の多くは、ふつうの海洋では河口沿岸で溶けてしまう。しかし、オホーツク海は流氷の誕生、中層水形成という独特のプロセスがあるため、多量の有機炭素が極めて効率よく外洋に行きわたる。
「世界でもまれな海だったのです」。中塚助教授は驚きを隠さない。
この特徴的な物質循環システムの源は、どうやらアムール川にありそうだ。プロジェクトチームは、その手がかりをつかんだ。アムール川河口に近づくほど、溶存有機炭素が多量に見つかったのだ。
◇
アムール川の源流部はモンゴル高原北東部。全長は4350キロで世界8位、流域面積は205万1500平方キロで10位という巨大な川だ。
「今回の調査で、オホーツク海の全容をとらえることができた。さらに、その恵みのシステムを解明するためにアムール川へと向かう必要がある」
北大低温科学研究所の本堂武夫所長(56)は、4月に研究所内に発足させる「環オホーツク観測研究センター」を中心に、新たに壮大な研究プロジェクトを始めることを明らかにした。