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明治時代の「三国干渉」の意味するもの
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投稿者 リーマン 日時 2003 年 12 月 16 日 00:25:40:FagqpUDXKcu9o

コントロールリスク社に関するレスを空耳に書いているうちに、是非書きたくなったことがあるので、こちらに書きます。
夏頃に投稿した、「すみちゃんの誰も書かない戦前の歴史補講その2」です。

テーマは、「三国干渉とは何だったのか」ということです。

実は、明治維新は、イギリスが背後から薩長の下級武士を使って起こしたクーデターであり、その後設立された明治政府は、イギリスの傀儡政権的な要素を多分に持っていた、という事実を前提に置きます。

上記のことを理解すると、台湾出兵、日清戦争等もシナリオを書いたのは実はイギリス(より詳しくいえば上海に本店を置いていたジャーディンマセソン)であり、明治政府は、そのシナリオに沿って動いていただけだった、ということもすんなりと理解できます。(あるイギリスの極東アジア専門の女性の経済学者が、日英交流のパーティで「朝鮮や台湾を日本に取らせてあげたのも、実はジャーディンマセソンよ。」と小声で教えてくれたことを思い出します。)

私がこれまで分からなかったのは、
「イギリスの前面的なバックアップのもとで将来ロシアと戦う為に育てられた子分(犬?)としての日本が、日清戦争後の三国干渉において山東半島をロシアから返せといわれたときになぜイギリスは黙っていたのだろう?日本を育て、ロシアに対抗させるためならば、三国対日本の場面において、日本を守る立場に立つことがイギリスの国益にも沿う行動だったのではないだろうか?」という点でした。

従来、仮説として立てた考えは、「イギリスは、山東半島の返却交渉について、何も異議をとなえない変わりに、ヨーロッパにおいて、何らかの見返りとしての利権を裏交渉によってロシアから得たのではないか?」、ということでした。
しかし、私の乏しい世界史知識及び資料では、日清戦争終了当時イギリスとロシアとの間で何らかの利権交渉があったとの事実を見つけることができませんでした。

ところが、日本をイギリスから眺めているうちに、ストンとイギリスの当時の意図が了解できてしまいました。(いつもの私の言葉で言えば、ピーンときちゃった、とでもいうのでしょうか。)

答えを先に申し上げますと。「朝鮮半島・台湾等を日本に与え、「他国と戦争すればおいしい思いが味わえるんだヨ」、ということを日本(番犬?)にまず教え込む。と同時にもう一つおいしい獲物(山東半島)にありつけると思わせながら理不尽な理由でオアズケを食わせ、次なる戦争への空腹感を感じさせるとともに、ロシアへの憎しみを(イギリス自身が手を下すことなく)日本人にかき立たせる。」という点に目的があったということです。

勿論、イギリスはロシアに対し裏から「三国干渉をして日本をいじめて、山東半島を取り上げてやってください」と頼んだわけではないでしょう。
イギリスは、山東半島を日本に取らせれば、ロシアが黙っているはずはない、ということを読み筋にいれていたものと思われます。


この部分は、イギリス(人)が謀略をしかける際にたいへん重要な部分だと思っています。
事実の因果が、A〜B〜C〜Dと続く場合を想定してみましょう。
A〜BとC〜Dは、キチンとシナリオを練って役者をそろえて演技するものの、B〜Cの部分については、Bの性格や状況から判断してCに対してこれこれのように働きかけるに違いない、と考える一方で、それを受け止めたCもそのような状況下ではこれこれのように反応するだろう、と予測を立て、その上でAをシナリオに沿って動かす、といったような技を使います。

このような技を使った場合、不確実性が混じるため、それだけAからDを導き出すことが出来なくなる可能性がデメリットとして生じますが、一方で、AからDまでの因果の流れが、他人から見てきわめてスムーズに見え、AからDまでの因果の流れが誰かの意図によって作り出されたものであるという事実が見破られにくい、というメリットがあります。

BからCへの因果の流れにコントロールを加えないため、この部分に関しては、思うような結果が得られるよう、その周囲にいる人間(例えば諜報員や工作員)がしっかりと事態の推移を観察する必要が生じますし、万が一思うように事態が推移しなかった場合は、少々あらっぽい手が必要になるかもしれません。

明治時代に話を戻しますと、このB〜Cに当たる部分が三国干渉に該当するといえます。
山東半島を日本に与える振りをすることがロシアと日本にどのような効果を与えるかをしっかりとイギリスは読み筋にいれていたのでしょう。或いは、事前のロシアからの確認に対しては、イギリスは「当国の関知するとことろではない」といった事実上のお墨付きぐらいは与えていたかもしれません。

また、三国干渉の日本に対する効果として、日本の世論(臥薪嘗胆等の主戦論)を盛り上げる為、裏で色々と工作をしたことでしょう。(例えば、東大七教授の主戦論などの背後には、調べてみると臭い事実が出てくるかもしれません。)

ここで、以下のような疑問をもたれる方がいらっしゃるかもしれません。
「明治政府が事実上イギリスの傀儡政権だったとリーマンは主張しているようだが、もしそうであれば当時のイギリスの手下達に命じて「ロシアと戦争せよ」と命じるだけでよかったんじゃないの?」
〜と。

でもこれではイギリスにとって不十分なんです。
ロシアと戦わせるためには、日本人の一人一人が「ロシアと戦わなければならない」と本気で信じ、命を投げ出して戦うように仕向けなければ、例え、イギリスが全面的に日本に援助を与えたとしても、勝ちはおぼつきません。

そもそもかしこい人間は、他人を使うに際しては、使われる側が「自分は他人に使われている」、ということを自覚させない形で使いこなすものです。この場合でいえば、日本人に対して「日露戦争は、自らが主体的に選び取った国家の選択だ」と思い込ませることが必要だったのです。

山東半島は、日本という番犬のおなかをすかせ、次の戦いにスムーズに赴かしめる為の「餌」だったのです。

上記イギリス人のトリックに気が付いている日本人は今でもほとんどいないのではないでしょうか? 意地悪な言い方をすれば、未だに騙されつづけているのです。
一方で、イギリスから日本の支配権を戦後譲り受けたアメリカは、このトリックに十分気付いています。


以下妄想です。
MI6のOBからこの話を聞いたCIAの現役日本管理担当職員は、こういいました。
「この手を使ってもう一回日本をてんぷらに揚げることはそれほど難しくないようですね。」

明治の歴史が、現在と近未来の日本とに密接に結びついている、と主張する一例として、以上ご紹介させていただきました。

それにしてもコントロールリルク社ジャパンの社長がテレビに出てくるような時代になったということは「日本をてんぷらに揚げる準備」は思ったより以上に急ピッチで進んでいるということですね。


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