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(回答先: 藤井氏が示唆した「権力の秘密」 −朝日新聞 投稿者 怪傑 日時 2003 年 10 月 15 日 14:26:23)
「(不正を公にしたら)死人が出る」。道路公団の藤井治芳総裁が石原伸晃国土交通相に突きつけた言葉だ。道路建設策定の中心に居続けた人物だけに、自民党・道路族の“闇”は知り尽くしているという“脅し”にはすごみもある。小泉政権が迫る解任への反抗材料にする思惑だろう。総裁はどこまで道路族の恥部を握っているのか−。
「藤井さんは自分の方が(道路行政の)ドンなんだ、と石原さんに言ったということでしょう」
ある建設業界関係者は、総裁と政治家の関係に触れながら、内実を明かす。
「やっぱり政治家は恐れるでしょう。地方の首長は公団の支社長に会って、いかに発注するか、工区をどうするかを話す。補正予算のころには、そこに地元選出の国会議員たちが入ってくる。予算をつけるのは政治家です。だが工区をどう割るか、予算をどうするか、それをやってきたのが藤井さんだ。やりとりの中で、藤井さんはいろんなことを知り得る立場だ」
道路公団が国会に提出した資料「会議開催伺(うかがい)」をみると、この建設業界関係者の話を裏付けるような一端がかいま見えてくる。公団が国会議員や秘書を相手にした会議費の負担額は昨年度までの五年間で計九十八件、総額約九百万円に上る。
■議員を接待漬け「情報全部持つ」
資料には、「道路族」議員の名前がずらずらと出てくる。与党の高速道路建設推進議員連盟のメンバーのうち、会長ら六人の自民党国会議員の名があった。同党の高速道路のあり方に関する検討委員会は、委員長経験者ら役員数人の名前が、公団の“接待”の相手として名前が判明している。藤井総裁自ら“接待”に出席するケースもあった。
会合の名目は、各議員の地元の高速道路建設だ。
当然、藤井氏は、こうした“接待”を含め、個別の高速道路建設にまつわる議員と公団、役所の深い関係を知っていてもおかしくない立場だ。公団幹部も「事務次官まで上り詰めた人。あらゆる情報を持っているでしょう」と話す。
藤井氏が二代にわたる道路一家であることはよく知られる。父・真透氏は戦前の土木官僚の重鎮で、妻の父親も建設事務次官だった。自身も東京大大学院で土木工学を修め、一九六二年建設省に入省、道路局有料道路課長、道路局長など、一貫して道路畑を歩んだ。
公団幹部は「政治面では父親とは違う強さを持っている」と指摘する。そんな「政治力」の強さを示す例は建設省時代からある。
国交省幹部によると、一九八九年、藤井氏は中部地方建設局長となるが、「担当区域外の政治家もしょっちゅう顔を見せ、あいさつしていった。言っちゃ何だが、“たかが地方建設局長”に来るのは不思議なほどの“大政治家”まで顔を見せていた」という。
第二東名建設をめぐる「力技」は今でも語り草だ。政令では時速百二十キロまでの規定となっているが、建設省道路局長時代の藤井氏は、局長通達で百四十キロの設計にすることを決めた。「省内でも藤井氏と議論できる人はいなかっただろう。藤井氏が、こうと言えばそのまま」と当時を知る関係者が明かす。
一兆五千億円近くの事業費をかけながら、巨額の赤字を出し続けている東京湾アクアライン建設事業にも藤井氏はかかわった。道路関係四公団民営化推進委員で作家の猪瀬直樹氏は言う。「要するに自分の描いたものをどんどん実現させる。コストは度外視。負担は国民。そして、建設会社は潤う。その結果、道路族の国会議員も潤うんです」
前出の公団幹部は「本当なら若築建設の事件のときに辞めているはずだ。よく辞めずにいたと思うが、藤井氏は周囲に『辞めさせられない政治グループに属している』と話していたということを聞く」と明かす。
「若築事件」は三年前に起きた中尾栄一元建設相の受託収賄事件だ。ヤミ社会の大物フィクサーが登場した事件に関連して、贈賄側から藤井氏の個人口座に六百万円が振り込まれたり、高額絵画を贈られていたことが当時、明るみに出た。藤井氏は、金や絵画を返済したとして、罪に問われることはなかった。
総裁着任直後に出た醜聞だったが、それをものともせず公団総裁の座にとどまり続けてきた。
■「故金丸氏媒介今も後ろ盾が」
公団幹部は、「藤井さんは、故金丸信自民党副総裁を媒介にして、経世会の議員たちと知り合い、そうした議員の後ろ盾はあったと思う。今も後ろ盾の議員はいるようだ」と推測する。
前出の猪瀬氏は、「一昨年、年間三千億円の国費を公団に投入しないことが決まったあと、公団は島根県内の山陰道トンネル工事など十三件の発注を見送った。あれこそ藤井総裁の力を示したものだ。おれが言えば止まると。そして、その後、さまざまな道路族の政治家が、受注予定の業者などの要請から早期工事開始を求めて、公団側に要請してきた。藤井総裁はそうしたさまざまなものを見ているはずだ」と話す。
このときの山陰道トンネル発注見送りで、誰より激怒したのが自民党の青木幹雄参院幹事長だ。以降の対青木戦術が藤井総裁の政治力のしたたかさを物語っている。公団OBは「藤井総裁寄りの幹部は青木氏ら道路族を封じ込めようと、公団内にコンプライアンス(法令順守)本部をつくった。別名『青木対策本部』だ」と指摘する。
表向きにはコンプライアンス本部は公団で起きた問題などへの対応について、公平で公正な視点から指導を受けるために昨年三月に設置された。元名古屋高検検事長で初代金融庁長官を務めた日野正晴氏を本部長に、元大阪高裁長官で青山学院大学法学部教授の岡田良雄氏、元警察庁刑事局長の垣見隆氏の両氏を本部員に構成されている。
公団OBは明かす。
「藤井総裁は青木氏の地元・島根県の建設業者を使って青木氏との関係を独自に調べ上げる一方で、日野元長官の検察ルートを使って地検情報を、垣見氏を使って警察情報をあげて青木氏と地元ゼネコンとの癒着情報(金絡みの情報)を調べ上げた。そこで藤井総裁は表になってはマズイ情報を握って青木氏に脅しを掛けたといわれている」
■国交相へ「聴聞」公開を申し入れ
今月十七日には、解任手続きの一環として、藤井氏の抗弁を国交省が聞く「聴聞」が行われる。十四日、藤井氏は代理人を通じ、非公開で行われるはずだった「聴聞」を公開にするよう石原国交相に申し入れた。「死人が出る」ほどの疑惑を公開の場でさらす「脅し」にも聞こえるが…。
そんな聴聞の見どころを猪瀬氏に聞くと「よほど自信があるのだろうが、話を聞くのが政策総括官とかでしょ。事務次官までやった藤井氏にとっては、ぺーぺーの役人。きっと、時間いっぱい、自説をとうとうとしゃべり続けますよ。裁定できないぐらい…」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20031015/mng_____tokuho__000.shtml