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Re: 日本敗戦宣言後のGHQ支配に反撃した日本人はいなかったのだろうか…
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/174.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 10 月 20 日 23:59:07:Mo7ApAlflbQ6s

(回答先: 日本敗戦宣言後のGHQ支配に反撃した日本人はいなかったのだろうか… 投稿者 イラクの子供はもうパレスチナの子供のように米に投石 日時 2003 年 10 月 18 日 16:57:00)


「イラクの子供はもうパレスチナの子供のように米に投石」さん、こんばんわ。


● 旧支配層の処遇と「近代」の受容度

占領された日本で武力抵抗が起きなかった要因として、嫌味な言い方をすれば、それまで国民を規定(束縛)していた国体論や皇国史観が底の浅いもので、支配層が総論的な利益を維持拡大するための言い訳(理論的支え)や国民を国策遂行に動員するためのプロパガンダでしかなかったことの現われということになりますが、それは脇に置いておきます。

また、宗教共同体の自存を絶対命題とし価値観が個人化しているイスラムが多数派で、部族・個人レベルの武装が常態化しているイラクで武力抵抗が起きるのは火を見るより明らかという観点もここでは考慮外とします。


米軍占領支配における日本とイラクの根底的な違いは、旧支配層の処遇です。

イラクは降伏を受け入れる主体がなくなり直接占領支配となりましたが、日本は、旧支配機構が降伏を受け入れ、軍機構を除けばそのまま占領支配の実働部隊となりました。

旧支配層のなかで、軍は解体され、華族制度は消滅し、不在地主は土地を取り上げられましたが、国体そのものとされた天皇(皇室)は存続し、統治機構(官僚組織)は維持されました。(財閥解体も、財閥支配が排除さればらばらにされただけで、企業の資産や活動は維持されました)

GHQが天皇制をなくす動きを見せていたら、ゲリラ的な武力抵抗が起きたかも知れませんが、それも散発的で短期に制圧されただろうと推測します。

占領軍に武力で抵抗するとしたら、軍・民間国粋主義団体・憂国諸個人だったでしょう

(有閑享楽の輩が多かった華族や不在地主が自分の命をかけて抵抗運動に走るというのは想定できませんし、唾を引っ掛けたいとは思っても華族や不在地主のために己を犠牲にするという奇特な人もいなかったはずです)

軍は天皇大権に直属する組織であり、天皇と幕僚(参謀本部・軍令部)が降伏を受け入れた段階で組織的な抵抗はあり得ず、師団や連隊レベルの“反乱”しか残されていません。
しかし、軍の実働部隊は、職業軍人や志願兵ではなく徴兵された人たちですから、兵役から解放される喜びのほうが高く、上官の価値観に従ってことを起こすという状況にはありませんでした。(2・26事件ほどの“反乱”も起こり得ないということです)
また、まともな軍人であれば正規戦で占領軍に対抗できないことはすぐにわかりますから、部隊を動かすという愚は犯さないはずです。


民間国粋主義団体も武力抵抗に動きませんでしたが、これも、天皇制の形式的存続がはかられたことが大きな要因だと思っていますが、4年近く続いた対米戦争で疲弊困窮した状況で我が身を維持することに汲々とせざるを得なかったことも関わっているはずです。(戦争による疲弊困窮は抵抗する気力を大きく喪失させたはずです。彼らの信念の底の浅さはことさら言いません)

そして、占領軍の政策が一般国民に対して悪辣非道ではなかったことが、戦前吹き荒れた憂国諸個人のテロを再現させることがなかった原因だと思っています。
(これは、戦前の支配層が如何に愚劣だったかを物語るものです。占領軍に武力抵抗を行う可能性がもっとも高かったのはこの層だと思っています)

何より、国民のほとんどが占領政策は悪いものではないと認識したことが、抵抗運動が生じなかった最大の要因ということになります。
(A級戦犯として禁固刑を受けた岸信介氏も、日本が戦勝国だったら、かように穏便な処罰では済まなかったはずだということを語り、米国の寛大さに感動しています)


占領日本が占領軍を受け入れた基礎には、日本が「近代国家」であり、「近代」の価値観を高いレベルで受容していたことがあります。

国体論+皇国史観+統制国家という戦前・戦中の日本を思い浮かべるときに典型になっている姿は、1932年(満州事変)から1945年までの短い期間に現れた“特殊なもの”で、治安維持法などはありながらも、民権論や自由主義が広く受容されていたというのが常態です。
(米国には今でも治安維持法があります)

このような意識状況から、自らの手で解決できなかった不在地主=小作貧農問題や華族制度問題や思想統制問題を解消しようとした占領軍は、“解放者”や“善導者”のように見えたのでしょう。

イラクは、フセイン流の近代化さえそれほどは受容されなかったのですから、米英占領軍が打ち出す近代化政策は忌避されても、受け入れられるものではありません。
(反フセインの動きは、反近代化=イスラム擁護と重なる部分が多でした)


※ 参照書き込み

『日本やドイツで成功した占領政策が通用せず、勝利できない戦争に足を突っ込むのは愚か − 米国に勝手にやらせればいい −』
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/405.html


● 学生運動

戦後の左翼学生運動は、「アメリカ占領以後の混乱の流れの中で起こった」というわけではなく、占領軍の共産主義開放政策と革命現実性意識が結合するかたちで盛んになりました。

戦前から左翼的学生はそれなりにいましたから、国家的圧力がなくなれば高揚する条件はありました。
(戦前の右翼として有名な北一輝や大川周明などもマルクス主義を学んだ上で日本的社会主義になっています。近衛文麿や木戸幸一も、マルクス主義の洗礼を受けています)

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