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ロックフェラー家
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投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 18 日 22:11:02:ieVyGVASbNhvI

(回答先: 金融政策を打ち出す公的な組織 投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 18 日 16:23:52)


こいつも続きです。


今を去る130年ほど前の1870年、ジョン・デイヴィソン・ロックフェラーという男が、次弟ウィリアム、末弟フランクリンと共に、オハイオ州クリーヴランドにスタンダード石油という精油会社を創業し、自ら初代社長の座についた。末弟フランクリンは途中から牧場経営者となって、二人の兄とは別の道を歩んだ。

ジョンとウィリアムのロックフェラー兄弟は、次々と精油業者を口説いて談合シンジケートをつくりあげると、9年後に、全米の石油の95パーセントをスタンダード石油の精油タンクの中に握っていた。他人に5パーセントしか残さないとは、驚くべき独占であった。

その手口は、こうである。創業からわずか8年後に全米の精油額3500万ドルのうち3300万ドルを掌握して、1882年にスタンダード石油の全財産をニューヨークに結集するという方法で、アメリカで最初のトラストを結成し、ジョン・D・ロックフェラーは早くも5大富豪の一人に数えられた。そのため90年にアンチトラスト法が成立し、92年には彼らの牙城であるスタンダード石油オハイオの解体が命ぜられたが、ニュージャージー・スタンダード石油をトラストの牙城として、ますます独占を広げた。

トラストとは、独占を目的に同業者が手を組んで価格を操作するシンジケートである。彼らは、大きな油田を掘り当てたのではない。石油を掘り当てて一躍長者になった者たちの利権を、ごっそり全部乗っ取ったのである。ロックフェラーは石油を輸送する鉄道を支配することによって、鉄道王ヴァンダービルトと組んで全米の製油所を次々と買収した。


ジョン・D・ロックフェラーは他人の裏をかく天才であった。貴重な石油をこれほど独占すれば反感も大きかったが、彼はその反感を利用し、手先を相手側に送りこんで「打倒ロックフェラー!」をその連中に叫ばせた。そして一帯の石油会社を糾合させてから、そっくりいただくという方法をとったのである。彼が思いついたこの方法は、現在までアメリカの軍隊と諜報機関に受け継がれ、しばしば軍事クーデターに活かされてきた。

しかしセオドア・ルーズベルト大統領のもと、1911年に持ち株会社ジャージー・スタンダード傘下のトラストが完全解体され、ついにこのこのジャイアンツも34社に分解される運命にあった。その時ロックフェラーは打撃を受けるどころか、トラスト解体という大事件によって、ウォール街ではこの会社がどれほど巨大であるかが再確認されて射幸心があおられ、今までより投機熱が燃えあがった。逆に、小さく分割された新会社のスタンダード石油株が30パーセントも値上がりして、ロックフェラー家は黙っていても資産を3割増やすという恩恵に浴した。トラスト解体2年後の1913年に、ジョン・Dの資産が9億ドルに達したことから、それは明らかである。

その結果、現代までよく知られる石油メジャーとして、以下の会社が、さまざまな形で生き続けてきた。

◇スタンダード石油ニュージャージー→社名変更エクソン→1999年モービルと合併→世界最大の石油会社エクソン・モービル誕生〔エクソンの子会社がエッソ〕

◇スタンダード石油ニューヨーク→社名変更ソコニー・ヴァキューム→社名変更モービル→1999年エクソンと合併→エクソン・モービル誕生

◇スタンダード石油カリフォルニア→社名変更ソーカル→1984年社名変更シェブロン→同年ガルフ石油買収〔1936年テキサコと合併でカルテックス設立〕

◇スタンダード石油オハイオ→社名変更ソハイオ→1970年BPが吸収合併

◇スタンダード石油インディアナ→アモコを吸収→社名変更アモコ→1998年BPと合併→BPアモコ誕生→99年アトランティック・リッチフィールドを買収して世界2位の石油会社となる

◇アトランティック精製→アトランティック・リッチフィールド→1999年アモコが吸収合併


100年前の1899年にスタンダード石油トラストの資産はちょうど1億ドルだったが、それから50年後には、ここに記した6社だけで1998年時価で2312億ドル、28兆円までふくれあがった。それからさらに50年後の現在は売上総額3335億ドル40兆円に達し、石油会社というより一国家を成すに至った。かくして石油業界は、スタンダード石油系のエクソン・モービルとシェブロン、米英合併のBPアモコ、そしてヨーロッパ・ロスチャイルド財閥のロイヤル・ダッチ・シェルへと再編され、モルガン系のテキサコは脱落した。

ウォール街景気をもたらしたダウ工業株30種は、エクソンとモービルとシェブロンのほか、農業機械の大手メーカーであるナヴィスター・インターナショナルと、原子力・核兵器産業の総本山ウェスティングハウスなどのロックフェラー株に支えられてきた。


石油帝国を築いたロックフェラー個人は、ニューヨーク州のポカチンコに200万ドルで大邸宅をつくり、そこに350人の雇い人が働いて年間50万ドルで邸宅を維持してきた。そもほか三つの巨大な屋敷を所有し、98年の時価1896億ドル、22兆8000億円、我が国の99年度国家予算の四分の一以上という途方もない資産が次のように一族に継承されてきた。

ジョン・Dの弟ウィリアム・ロックフェラーは兄に先立つ22年に死亡し、遺産は1億200万ドル(98年時価1兆3200億円)で、遺産相続税が1860万ドルに達した(最近のフォーブス≠ノよれば、遺産はその4倍を超える5億ドル以上だったという)。この遺産は1セントも慈善事業などに残されず、すべて4人の子供に平等に分配されるようにと遺言があり、息子のパーシー・ロックフェラーは51の大企業で重役となった。まだ生まれていないロックフェラー家の子孫たちのために5000万ドルの信託財産が別に取り分けてあり、直系の孫28人を数えた37年には、それが6371万ドルに増えたが、すでにその前に4人の子供と14人の孫には951万ドルが渡っていた。元本にはまったく手を付けずに、わずか15年で2322万ドルが生まれた勘定になる。戦後の50年には、相続人たちが7500万ドルを分け合って、全員が百万長者になっていたのである。

二代目ジョン・D・ロックフェラーJrが60年に死去した時、アメリカ人が驚いたことに、彼の資産はわずか1億5000万ドルしかなかった。ところが彼はその日に備えて、別に巨額の信託基金を設立しておき、6人の子供がこの基金の収入≠受け取り、22人の孫が元本≠受け継ぐようにしてあったため、大富豪が一挙に28人も誕生した。一家の資産は、ロックフェラー兄弟社に移し替えられて税を免れてきたのである。

スタンダード石油が生み出した富は、ロックフェラー一族の資産だけではなかった。
ロックフェラーと手を組んだスタンダード石油幹部のうち、ヘンリー・ペインは、1880年と84年に民主党大統領選に出馬し、息子オリヴァー・ペインはスタンダード石油トラストを動かす本部で監査役となったあと、ニューヨークで利権を拡張し、もうひとつの巨大トラストであるアメリカン・タバコの独占利権者十人のうちの一人に数えられた。オリヴァーの兄ネイサンは、ロックフェラー地元のクリーヴランドの市長となってスタンダード石油の利権を擁護する政治家となり、妹フローラが海軍長官ウィリアム・ホイットニーと結婚し、ホイットニー・ヴァンダービルト財閥の中枢ファミリーとなったのである。
格付け会社のスタンダード&プアーズという社名は、ロックフェラーと日本人を比べて格付けする「スタンダード石油と貧乏人(プアーズ)」という意味ではないかと思われるほどだ。


初代ジョン・D・ロックフェラーの孫ネルソン・ロックフェラーが、共和党フォード政権で副大統領となり、その弟ウィンスロップ・ロックフェラーがアーカンソー州知事、その息子ウィンスロップJrが99年アーカンソー州副知事となっている。この州のロックフェラー家は共和党だが、一方でネルソンの弟デヴィッド・ロックフェラーが資金を提供する民主党では、ビル・クリントンをアーカンソー州知事としてから、ホワイトハウスに送り込み、ウェストヴァージニア州知事となったジョン・D・ロックフェラー4世は、民主党のカーター大統領の時代に、ホワイトハウスで数々の委員会を主宰してきた。

こうした両政党にまたがる政治的活動は、ロックフェラー・ファミリーと呼ばれる人脈において枚挙にいとまがない。とりわけスタンダード石油カリフォルニア重役のカーラ・ヒルズが、ブッシュ政権時代に日本経済界に不当な圧力をかけた通商代表であった。ブッシュ本人は、テキサス州でロックフェラー財閥に利権を売っていた石油採掘業者であり、ネルソン・ロックフェラー副大統領によってCIA長官から大統領に栄進したからである。

ロックフェラー一族はすでに60年代に、エクソンなどの重役室から姿を消したが、それ以後も今日まで、スタンダード石油系企業の経営は重要な決定について、すべて最大株主であるロックフェラー一族の判断を仰いできた。方針を決定してきたのは、長男ジョン・D三世、次男ネルソン、三男ローランス、四男ウィンスロップ、五男デヴィッドの3代目5人兄弟が経営したロックフェラー兄弟社である。ホワイトハウスの閣僚は、同社の掌中にあった。スタンダード石油一族は、莫大な金額の遺産相続人であると同時に、自ら国際政治を決定する要人でもある。


☆思わず関心してしまいます。
この壁を壊すことは可能なんかな?


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