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(回答先: ロスチャイルド家 投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 19 日 16:29:17)
アメリカの財閥史を考えた場合、ヴァンダービルトはオランダ系、デュポンはフランス系、ロックフェラーはドイツ系だが、アメリカの産業界を形成した主人公の多くは、モルガン、カーネギー、フォードらが、大英帝国の子孫から誕生した。歴史的にその大英帝国を見れば、イタリアのメディチ家をヨーロッパ金融財閥の始祖として、オランダ東インド会社、イギリス東インド会社、ロイズ保険、イングランド銀行、べアリング商会の誕生をもって、近代的な金融街がロンドンの「シティー地区」に確立されてきた。
ベアリング家とロスチャイルド家のロンドン・シティーが、ニューヨークのウォール街を生み出したのである。
ベアリング財閥は、1763年にベアリング商会が設立されてから、ルスチャイルド家が台頭するまでロンドンの金融界を支配し、以後も両家が覇を競ってきた。1995年に若いディーラーが巨額の欠損を出して倒産し、オランダのINGバンクに買収されたため、すでに過去の存在として忘れられたが、ベアリング・ファミリーが死んだわけではない。これと似たような事件は100年ほど前の1890年秋にも発生し、当時はライバルのロスチャイルド銀行がひそかに救済資金を調達して、ベアリング商会を窮地から救い出し、逆に1839年には、イングランド銀行の危機を救ったのがベアリング商会だったのである。
ベアリング家は、その子孫の数で言えばロスチャイルド家が足元にもおよばないほど膨大で、クローマー伯爵、ノースブルック男爵、レヴァルストーク男爵、アシュバートン男爵、ハウィック・オブ・グレンデール男爵、ベアリング准男爵が、いずれも本名ベアリングの爵位名である。イギリス貴族のタイトルを6つも保有する大家族だ。
1991年に死去した3代目クローマー伯爵ことジョージ・ベアリングは、29歳でベアリング・ブラザーズ社長となったばかりか、その後、43歳で史上最年少のイングランド銀行総裁となり、また国際決済銀行(BIS)理事として全世界の金融機関を動かし、ロスチャイルド財閥のシェル石油で重役をつとめ、ニクソン・ショックの時にはアメリカ大使として金本位制の廃止に立ち会った要人である。ロスチャイルド家の資金でイギリスが買い取ったスエズ運河会社の総裁をつとめたのが、彼の父ローランド・ベアリングである。
18世紀に東インド会社の会長として世界貿易に君臨し、大英帝国の利権を7つの海に広げたヨーロッパ一の商人<tランシス・ベアリングの子孫たちは、イギリス貴族の主だったファミリーと姻戚関係を持ったが、その最も重要な関係が、アメリカのブラウン兄弟ハリマン社のブラウン家との結婚であった。チェース・マンハッタン銀行会長ウォルター・シプリーはこの閨閥に属している。
ブラウン・シプリー〜ブラウン兄弟ハリマン社を創業したブラウン家は、現在もイギリス貴族であり、同時にアメリカでは、レーガン政権の財務長官と国務長官をつとめたジェームズ・ベーカーの親戚である。
これらイギリス産業貿易の中核となっているのが、アイルランドのダブリンに発したギネス財閥のファミリーである。ギネス家は、ジャーディン・マセソンと共に、香港・シンガポールから東南アジア全土にかけて、静かな形で、物流に重要な役割を果している。ギネス・ブック≠フギネス財閥が、すでにビールのギネスではなく、世界的な貿易商社となって金塊の取引きにかかわり、中国経済界に食い込んでいるからである。ギネス家はイーヴァー伯爵とモイン男爵のタイトルを持つ貴族で、この一家からイギリスの大蔵大臣、植民大臣、農業大臣、産業貿易大臣、国防次官、エネルギー省次官を生み出し、ジャーナリズムの世界ではフィナンシャル・タイムズ≠烽アの一族に握られてきた。
さて、まだ説明していない最大の財閥がある。それはイギリス王室である。エリザベス女王は、以上の登場人物すべての頂点に立ってきた。いかにシティーを支配する財閥であっても、一度貴族に列せられれば、彼女には頭が上がらないからである。エリザベス女王は、ファーブス≠ナは少額評価としてわずか4億ドル(480億円)の資産とされるが、これは主に投資などの運用部分だけである。実際には王室が管理している膨大な宝石コレクションなどがあり、98年時価で1兆9200億円の資産をかかえる遺産相続人である。
王室が倒産することは、イギリスの全貴族にとってあってはならない事件であるから、ソロスに運用を託されてきた彼女の資産には、無限大の担保がついている。また彼女より資産が多い貴族が存在してはならないから、大英帝国では常に第一位にランクされている。