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奥野東大教授の非論理的発言批判について
(http://www.asyura.com/0306/hasan27/msg/567.html
投稿者 あっしら ):
についてのコメントです。
最初に上記投稿の要旨を引用し、最後に私見を述べます。
あっしらさん勝手にこちらに持ってきてすいません。破産板は流れが早くて分からなくなるので。
(国債格付けについて)
奥野説 (当然、その結果、税収は不足していますから、国債を増発せざるを得ない。そうすると、いますでに起こりつつありますが、国債格付けがどんどん低下していく。
あっしら説 (総体的な国民経済の力やファイナンス構造から言えば、日本国債だけではなく、米国債も同じように国債格付けがどんどん低下していくはずだがそうはなっていない。だから、国債格付けの低下は、説明している論理で起きるわけではない。)
経済論理としてはあっしらさんが正しいです。
米国債の格付けが高いのは政治力です。
しかし、日本は政治力の不足から、国債増発が格付け低下を投資家に納得させ易いという構造があるのではないですか? 従って奥野の言明は現実的だと思います。
(国債の市場消化について)
奥野説 (そうすると、国債利子率が増えますので、利払費が増加する。そうすると、財政赤字がさらに増大する。ということは、基本的にはもう国債がどんどん格付けが下がっていって、ジャンクボンド化していくということで、国債の市場消化が不可能になる可能性が事実上近い将来に起こり得る可能性がある。)
あっしら説 (そうならないのは、10年国債の利回りが0.3%台まで低下した日本国債の現状を見ればわかることである。 日本の国債状況は、GDP的連関に通貨が循環しにくい経済状況にあれば、中央銀行が銀行にじゃぶじゃぶ貸し出しを行なえば、奥野東大教授の言うような現実は起きないことを示唆している。
中央銀行が銀行に0%金利でじゃぶじゃぶ貸し出しを行なえば、国債の市場消化が不可能になることは避けられるのである。
そして、中央銀行のベースマネーが利払いや借換債の消化に使われるのであれば、銀行の収益と国債サイクルの維持に資するだけで、インフレ圧力にさえならない)
奥野説 (途上国ではこういうことが比較的頻繁に行われ、アルゼンチンなどはそうですが、そういう場合には、基本的には国債を中央銀行引受けせざるを得ないだろうという、いま日銀は拒否をしていますが、そこまでいけば引き受けざるを得なくなるでしょうから、そうなると、基本的には日銀が日銀券を刷って財政の赤字を引き受けるという形になって、ハイパーインフレーションになる。)
あっしら説 (経常収支赤字構造で外国からドル建てで借り入れしている国家と日本を同じ地平で論じることはできない。発展途上国は、国内供給力が大きく不足しているから赤字財政支出の拡大がインフレにつながり、インフレが財政支出に依存する国民の窮状を悪化させるため政治的判断で赤字財政支出がさらに拡大するという悪循環でハイパーインフレに陥るのである。
日銀が今のような銀行を媒介とした国債引き受けではなく、直接の引き受けをしてもハイパーインフレになるわけではない。)
国内供給力の徹底的削減が起こった後でなければ、ハイパーインフレなどありえないことは自明ですね。
奥野氏の言説はまるで新聞記者のレベルです。
奥野説 (そうすると、為替が暴落して、資本逃避が起こるというようなことになる。)
あっしら説 (対象国よりもインフレ率が高く推移すればその国との為替レートは安くなるから、群を抜いたハイパーインフレになれば、為替が暴落することは確かである。
その暴落が継続するとしたら、金利との兼ね合いで余裕資金が外国通貨建て資産に向かうことも確かである。(将来日本円が必要になるとしても、それまでのあいだ外国通貨建てにしているほうがその時点での手取り円額が大きくなるから)
しかし、それを金利政策で防ぐこともできる。予想為替下落率+外国通貨金利に等しいか大きい金利を日本円に適用すれば、資本逃避=キャピタルフライトは“不安感”以外を要因としては起きない。
何よりの難点は、資本逃避=キャピタルフライトが起きてどういう問題が起きるかが明確にされていないことである。
預金の取り崩しでキャピタルフライトが起きるとしても、それは銀行の債務が減少することだから、払い戻しができる日銀券があれば済むことであり、それによって銀行の貸し出し資金が不足するというのなら、現在のように日銀がじゃぶじゃぶ貸し出しを行なえばいいことである。(債券類の売却であれば、市場論理で処理される
現物資産を売却するかたちでキャピタルフライトが起きるとしても、基本的に債券類の売却と同じである。)
以下は感想と疑問です。
ここ数年の現実を見る限り、奥野説が現実とまったく異なることは明らかです。
現時点において、既に日銀は国債買いオペで実質的に国債を引き受けています。
また、財務省と日銀がタッグを組んで、国債の価格維持オペレーション(国債PKO)をあらゆる角度から実行しています。
国債価格は、奥野氏的な危惧にかかわらず、継続的に上昇してきました。
これはPKOだけでなく、デフレーションによって国債の名目金利が低下しても、実質金利が上昇し続けているからに違いありません。
つまり、民間の貨幣回転が減速し、価格が低下している状況下では、国債の実質金利は上がる一方ですから、その市中消化を心配することはナンセンスです。
私が考えるのに、奥野氏が権威者として心配すべきなのは、国債市中消化の頓挫やハイパーインフレーションではありません。 権威者がそんな狼少年みたいなことを言っていては仕方がない。 処方箋を出して欲しいですね。
真の問題点は「資金循環構造の歪み」だと思います。
公的部門の資金調達の容易化と民間部門の資金調達の困難化とが同時進行している現状に、強い危惧を覚えています。
国債サイクル維持PKO政策の真の問題点はここにあると考えます。
この結果として、非生産的な公的部門ばかりが資金調達の容易化によって肥大し、生産性の高い産業部門が資金調達の困難化によって撤退縮小を続けています。 この結果としてデフレーションが一層進行しています。
このプロセスは、最終的に「国内供給力の縮小、削減」を招きます。 ここが問題点です。
国債について心配するべきであるのは、市中消化の問題よりも、急激な価格低下(暴落)でしょう。 ジャンクボンドだって値段はつくものです。
デフレーションがストップするか、少なくとも減速してくると、国債の実質利回りが急低下するので、国債価格が暴落する可能性があります。
国債価格維持PKO政策をしなければ、もっと早期に暴落していますし、円レートも早期に低下していたと思われます。 早期に国債価格が落ちていれば、その時点では国内供給力の低減は小さいですから、インフレーションが生ずる可能性はなく、早期に景気、円レートも回復できたと思うのです。
しかし,国債PKO政策によって国債価格をつり上げてきた結果、暴落の幅も大きくなるはずです。 また、暴落時点における国内供給力の低下も、年々増大していきます。
その結果、回復に至るまでの経済混乱が極度に増幅される可能性があります(永久に国債PKO政策をとることはできません)。
国債PKO政策なんかとらずに、民間の資金調達の促進、そして民間購買力の拡大を促す政策をとるべきだと考えます。
これによって民間部門の資金循環を拡張するべきでした。