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ワイマールモデルを妄想する:今回も戦乱の扉が開かれる
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投稿者 すみちゃん 日時 2003 年 4 月 08 日 18:48:33:xnvpUXgHxuDw6

(回答先: 「超大国」と「戦乱の扉」 投稿者 たこ 日時 2003 年 4 月 08 日 17:17:59)

  ワイマールモデルの有効性:今回も戦乱の扉が開かれる
   たこさん。 こんにちわ。

    (とりあえずの「平和の敵」であるネオコンおよび忠犬内閣から目をそらすこともできません。 Sara氏の視点のように、特定の個人を戦争犯罪として指弾することで、国家の行動を抑止することも有効と思っております。)
      なるほど。 その通りですね。

   (比喩的に申し上げると、アメリカ優位のワイマール体制と、それに抗すべきファシズム諸政権でしょう。彼らは、イラクへの対応でも、米英の主張にヒトラーへの融和政策を反省する口調があることに注目すべきです。さらに、国連が機能しないことを、往時の国際連盟の無力にたとえています。彼らは、「戦乱の扉」を閉じたと考えています。)

      アメリカ側のこの手の主張には、私も注目していました。  たこさんは鋭いなあと感心致しております(こういう言い方は失礼かしら?)。

       私見ではこのアナロジーに違和感を感じていました。 今日は少し時間があるので試しに書いてみますね。

       まず前提を確認します。
       ナチスドイツがワイマール体制の軛を断ち切ろうとして、ルール地方、再占領、オーストリア併合、ズデーデン地方併合を行ったとき、欧州には大規模な反戦運動が巻き起こりました。 このため、国際連盟、欧州列強は、ナチスドイツの侵略戦争に対して有効な行動をとることができませんでした。 これによってドイツが調子付き、第二次世界大戦の扉を開いてしまったということですね。
      
       このナチスドイツの立場にイラクを当てはめると、まさに現状に当たるというのがアメリカの主張です。
       このアナロジーが正しいのであれば、米国の行動は、イラク発の大戦争を未然に防いだ予防行為であり、国際連合は機能不全であり、平和運動は大戦争を招き寄せねない危険行動ということになります。
       そして、アメリカの行動が戦乱の時代の扉を閉じたことになります。

        私は、このアナロジーは変だと考えてきました。
        確かにクウェート侵略時なら、アメリカの言うことも一理あります。
        しかし、現時点では、イラクは特に隣国に侵攻するつもりはなさそうです。 そんなことができそうな状況ではないですね。 それに大量殺戮兵器の生産に励んでいるとか、大規模テロ行為を行っているという証拠はなさそうですね(この点で安保理の説得に失敗したと理解しています)。

        すると、イラク侵攻の時点においては、イラク側の侵略行為とかテロ行為の証拠がなかったわけです。
        従って、イラクをナチスドイツにあてはめるのは無理があります。

        次に侵略行動について。
        ナチスドイツのチェコ等への侵略は、当時、国際法違反だったんではないでしょうか?
        今回、米国のイラク侵攻は、既存の国際法に違反しているか、少なくとも牽強付会的解釈という意見が強いようです。
        つまり、ナチスドイツに類比できるのは、むしろ米国ということになります。

        次は国際連盟について。
        国際連盟は、ナチスドイツの侵略戦争に対して、有効な制裁を行うことができなかったようです。  一種の機能不全という理解は誤りではありません。
        この結果、国際連盟は実質的意味を失い、大戦乱の時代が始まりました。

        今回、国際連合は、イラクに対して有効な制裁を行うことができなかったんでしょうか?  私の理解では、イラク政権の軍事力を縮減し、ミサイル等もかなり廃棄したはずです。  また国連の制裁はかなり厳しいもので国民生活に困窮をもたらす水準であったと理解しています。
        つまり、国際連合は、クウェート侵略に対して有効な制裁を行っています。
        だいたいイラクは大国ではなく、覇権を狙えるような国でもないわけですから、厳格な制裁を簡単に賦課できたわけです。
        イラクが何か戦争を起こそうと本気で策謀し、例えばイランにまた侵攻すれば、あっという間に息の根を止められることは明らかです。
        
        今回、国際連合は、アメリカのイラク侵攻を止めることができませんでした。  つまり、国際連合の機能不全は、米国の侵攻を停止できなかった点にあります。  
        この点でも、ドイツ+国際連盟がアメリカ+国際連合に類比されると考えるのが妥当です。

        次に、ドイツは、領土的野心を隠しておらず、ズデーデン併合以降も侵略を行いそうなことは明らかでした。
        アメリカも同様でして、シリア、イラン等への侵攻が取り沙汰されております。
        つまり、ドミノ的侵略の蓋然性という点で、ドイツに類比可能なのはアメリカです。

        最後に反戦(平和)運動について。
        前大戦前の反戦運動は、侵略を行ったドイツに対する、イギリスやフランス(および国際連盟)の戦争に対して行われました。
        この反戦運動がイギリス等の手を縛り、ドイツの侵略を促進したと批判されています。
        この反戦運動は、侵略行為に反対する運動ではなく、侵略行為へと軍事的対応をとることに対する反対運動でした。 これでは侵略行為を結果的に是認することになるという批判は、確かに妥当なのかもしれません。
        この反戦運動によってドイツの侵略を止めることはできませんでした。
        
        今回の反戦運動は、侵略行為に反対する運動です。
        そして、この反戦運動によって、アメリカの侵略を止めることはできませんでした。

        ちょっと真面目に書きすぎたんで、ここから飛躍しまーす(読者は妄想を期待していますよね)。
        
        反戦運動の盛り上がりには、人間の動物としての勘が働いているように思います。  戦乱の時代が始まりそうな予感がするからこそ、人々は反戦運動に足を運ぶのです。 
        強国が国際法を破って侵略行為を行ったとき(そして次々と侵略をやりそうなとき)、戦乱の時代の予感から、人々は反戦運動に走るのです。
        この法則は、今回もきっちりと当てはまっています。
        次々と侵略を行い、戦乱の時代を開くのはアメリカである可能性が高いという結論が出てしまいました。  げっ。

         

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