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米国政権中枢の“幼児性”を戦争という重大行動を通じて見せつけられて唖然とした日々が続いている。
(侵略軍事行動を「イラクの自由」作戦と命名し、空爆を「衝撃と畏怖」と名づける思考も、“幼児性”の現れである)
過去13年ほどかけて行なってきた「フセイン=悪」のプロパガンダや「イラク国民の経済的疲弊化」を意図した経済制裁が、国際世論やイラク国民を侵略者の側に付けさせると信じて侵略軍事行動に踏み切った“幼児性”が、「イラク侵略戦争」のゆくえを規定しているように思える。
“幼児性”米英政権に追随している“乳児性”日本政府や日本メディアは、“幼児性”が発する言葉や下した判断をそのまま鵜呑みにして、米英侵略国家の正当性や「イラク侵略戦争」の短期処理を信じた言動を続けている。
“幼児性”米英政権は、建前として表明している対イラク攻撃の正当性は戦争遂行の建前的言辞であることくらいはきちんと弁えているが、“乳児性”日本政府や日本メディアがどこまで建前論として正当性を語っているのかは不確かに見える。
TVメディアを中心に「戦争ショー」と「米英プロパガンダ」の伝達にいそしみ、既に4日以上経過している侵略戦争の帰趨さえまともに考えようとしていない。
お金が命の次に大事だと思っているはずの投資(投機)家も、「戦争ショー」と「米英プロパガンダ」を無思慮に受け入れ、侵略軍側の短期勝利を信じた投機活動を行っている。(先週末米欧の株式市場や石油先物市場、そして、今日の東京株式市場)
稼ぎどころを得た軍事評論家がメディアをにぎわしているいるが、彼らの解説も、プラモデルや戦争シミュレーションゲームの範囲であり、知識の補充には役に立つが、「イラク侵略戦争」を語っているとは言えない。
(NHKに出ずっぱりという感じの江畑謙介氏は、昨晩、米軍の統合情報システムをあれこれ解説し、個々の兵士までが、立体的かつネットワーク的に情報統合されており、次にどう動くべきか迅速に指示が出る画期的な体系で戦われているこれまにない戦争だと語った。IT神話信仰者と同じレベルの軍事評論家である。情報の重要性は確かだが、情報が戦闘するのでも情報が領域を支配するわけでもない。統合情報に従って人や物資が必要な場所に移動しなければならないのである。そして、ある情報を判断しどのように行動させるかは、人が組み上げたプログラムや人そのものである。江畑氏が統合情報システムの解説を行なった数時間後に、米軍のパトリオットミサイルが英空軍トルネード攻撃を撃墜したという報道を聞き、統合情報システムを得意げに説明していた彼の顔が浮かんだ(笑))
米国政権の公表内容や伝えられている戦況を冷静に考えれば、「イラク侵略戦争」が、米英政権が考えていた“甘い”シナリオ通りに進んでいないことはすぐにわかるはずである。
南部地域の拠点都市の一つさえ今だ制圧できず、イラク側でただの一つも反乱や蜂起が起きていない。
一方、侵略軍側では、たった一人の反乱だが、その反乱兵士によって10人以上の兵士が負傷する事件が起きている。(反乱兵士はムスリムだと報じられている。ムスリム兵士を現地に派遣したこと自体がおめでたい判断である)
侵略軍がどこまで本気かはわからないが、バグダッド近郊まで部隊を進めれば進めるほど自分たちの墓穴を掘ることになるだろう。
イラク側がとったナシリアでの戦術は、侵略軍先遣部隊(第3歩兵師団)をスルーさせ、その後で防御力が劣った後続補給部隊を叩くというものである。
戦車など重火器で武装している部隊とわざわざ交戦しなくとも、それらの部隊に燃料・弾薬・食糧を補給する部隊を抑え込めば、攻撃部隊も、それほどの日を経ないうちに活動力を喪失する。
負けて欲しいと思っている米英侵略軍だが、伝わってくる戦況を考えると、あまりにも稚拙な作戦に哀れささえ感じる。
政治的プロパガンダではなく軍事的に考えれば、部隊をバクダッドに向け進めるのではなく、初期の作戦失敗を冷静に見直し、作戦の再立案に着手しなければならないのである。
バグダッドを攻略するためには、南部地域を最低でも中立的な状況にしなければならない。反フセイン政権も親米英でもなく、「イラク侵略戦争」の帰趨を中立的に眺めるという状況に南部地域がならない限り、兵站拠点から500Kmを超えるバグダッド攻略戦を成功裏に進めることはできない。
しかし、侵略軍は、クムカスルやバスラも制圧できず、バグダッドへの進軍・補給の要衝であるナシリアも制圧できていない。
南部地域を、バグダッド攻略戦を維持するレベルの面で抑えられないどころか、点レベルでも抑えられていないのである。
ブッシュ政権は、フセイン政権の統治力が劣化しているといったプロパガンダを行なっている。
しかし、フセイン政権の統治力が落ちているのに、最南端でも、反侵略軍の戦いが継続し、いわゆる造反・寝返り・反乱の動きがないことのほうが深刻なのである。
それは、イラク国民が、親フセイン政権で固まっているのではなく、反侵略軍で団結していることを現している。
言いかえれば、フセイン政権が崩壊しても、イラク側の侵略軍に対する戦いは継続するということである。
(「ABCニュース」がレポートしたイラク南部のサフワンの状況がそれを象徴している。市民が熱烈に歓迎する姿が報じられたサフワンの取材で、ABC記者が市民に取り囲まれ米国に対する激しい憎悪をぶつけられたというレポートを放送した)
政治を捨象すれば、核兵器や大量殺戮兵器を多数保有する米英侵略軍は、イラクで大量虐殺や徹底破壊を行なって焦土化することはできる。
しかし、そのような軍事作戦は、イラク占領支配=「イラクの解放」という戦争目的が達成できないことを意味するのみならず、米英国内世論や国際世論の猛反発を受け継戦すらあやうくするものである。
(軍事評論家や軍事好きは軍事力のみで戦争の帰趨を判断しがちだが、戦争は、単純に虐殺と破壊を競うものではない)
米英侵略軍が、政治的プロパガンダのためにバグダッドへの進撃を進めていけば、数万という部隊が立ち往生するという事態の発生も考えられる。
イラク側が意図的に侵略軍部隊をバグダッド(内陸部深く)まで引き寄せる戦術をとったのなら、それが起きる確率はけっこう高いと予測する。
重装備やハイテク装備であればあるほど、補給が継戦能力を決する。
侵略軍司令官が部下たちの生命を重視するのなら、そのような状況で部隊が壊滅する悲劇を避けるために、イラク側と安全な撤兵に向けた政治交渉を行なわなければならない。
チェイニー副大統領・パール議長・ラムズフェールド国防長官を中心とした“幼児性”知性の持ち主たちが踏み切った愚昧な「イラク侵略作戦」は、完敗に終わる危機的状況にあるという認識が重要である。
傲慢で愚かな人たちは、イラク人のほうが物事を合理的に考えていることさえ思い至らないようである。
米英侵略軍が、バグダッド攻略をいったんあきらめ南部地域の“中立”化にいそしまない限り、敗北必至と予測する。
※ たけ(tk)さんの『最初から「パレスチナ化」を狙っている。』( http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/301.html )に対する簡単なレスです。
>アメリカの当面の戦争目標はイラクのパレスチナ化でしょう。
>石油ビジネスに必要な入植地の安全さえ確保できればよい。その入手で、必要に応じ
>たイラクの各勢力の武装解除=テロ対策のためのミサイル攻撃=のための軍事費がま
>かなえれば、アメリカとしては収支が黒字になる。
>チョンボではありません。
>その間に親米クーデターを担う「国軍」を育成しておく。準備が整ったら、選挙を行
>い、それによって成立した民主政権を「親米国軍」のクーデターで倒す。アメリカは
>「非民主的な悪い国軍」を口先で非難する。というのがアメリカのいつもの戦略です。
幸か不幸か、ブッシュ&ブレア政権は、「イラク侵略戦争」で大チョンボをしでかしたようです。
米国政権の戦争目標は、イラク親米政権を拠点として中東全域を「パレスチナ化」し、その混乱を収拾するかたちで中東全域を「近代化」することです。
形式的占領支配と親米武装勢力の確立ができなければ、「石油ビジネスに必要な入植地の安全さえ確保」したとしても、石油ビジネスさえスムーズにできません。
近代的世俗主義国家のイラクだったらそれが可能で、イラクの地理的特性からサウジアラビアやイランといった大産油国にもそれを波及できると勝手に考えたからこそ、今回の「イラク侵略戦争」に踏み出したと推察しています。
現在までの推移を見ている限り、イラクを占領支配することは絶望です。
反フセイン意識を持つ勢力までが反侵略軍でまとまってしまったイラクで戦争目的を達成することはできませんし、イラクで様々な勢力が割拠して武装闘争を繰り広げるという混乱化も期待できません。