現在地 HOME > 掲示板 > 議論10 > 523.html ★阿修羅♪ |
|
たこさんの『形式的には増減資の順序より増資引受け価格』( http://www.asyura.com/0304/dispute10/msg/501.html )へのレスです。
-----------------------------------------------------------------------------------------
たこさん、レスありがとうございます。
● 減資問題
たこさんの想定:
1.「(前段の例)株主資本が5千億円として、そのうち90%の4500億円を損失補填に使い、投入公的資金のうち4500億円を普通株式にする」
2.「(後段の例)保有株式が確定したあとに減資という手続きを行なう」
1の場合、資本金や準備金が5000億円としても4500億円の損失があれば、実際の株主資本は500億円です(この方が「株主資本」の語の通常の用例と思います)。1の例では、「減資」は損失と資本金または法定準備金とを相殺するだけなので、1株あたりの株主資本は変わりません。簡単のために発行済普通株を10億株とすると、1株あたりの株主資本は減資の前後を通じて50円です。株主の利害は、その後に行われるべき国庫出資による増資の引受価格の問題です。(上記の50円に近い発行価額で4500億円の増資を行えば、国庫の持ち株は90億株でその比率は90%になる。)
一方、2の場合でも、50円に近い発行価額なら、4500億円の増資を行えば、やはり国庫の持ち株は90億株でその比率は90%になリます。
なお、仮に株式の併合によって株数が減少しても、既存株主が保有する株数に相当する株主資本は不変ですから、上記の説明ではこれを無視しています。(株式併合、たとえば10株を1株に併合した後に増資を行えば、発行価額の理論値は10倍の500円になりますが、それでも国庫の持ち株比率は90%で変わりません。)
====================================================================================
1と2が同じだという説明は納得できません。
まず、株主資本の取り扱いに齟齬があるようです。
>1の場合、資本金や準備金が5000億円としても4500億円の損失があれば、実際の株主
>資本は500億円です(この方が「株主資本」の語の通常の用例と思います)。1の例で
>は、「減資」は損失と資本金または法定準備金とを相殺するだけなので、1株あたり
>の株主資本は変わりません。
B/Sで資本の部が5000億円であれば、株主資本は5000億円です。
損失を補填するために資本を減らすこと(減資)で、初めて500億円になります。
これが、「株主資本」の語の通常の用例だと思います。
普通株式10億株・払込済み資本金5千億円で資本の部が構成されているとします。
1の場合、損失補填で90%の減資を行ない、株式が1億株になり払込済み資本金は500億円になったあとで9億株・4500億円の増資を行ないます。
減資前の株主をAとし、増資に応えた株主をBだとすると、Aは10%、Bは90%の部分所有権を持つことになります。
2の場合、9億株・4500億円の増資を行ない、その後で4500億円の減資を行なうことになります。(約47%の減資になります)
株主Aは53%、株主Bは47%の部分所有権を持つことになります。
このように、1であるか2であるかによって、旧株主と増資対応株主で持分比率が変わります。
● 株主責任論
たこさんの立論:
立法論としても、行政措置としても、株主の利害に正面からかかわる措置は困難と思います。
今回の特殊な問題は、会社更生や民事再生などの通例の倒産処理と異なり、タテマエでは「株主資本」がゼロまたはマイナス(債務超過)でない会社を対象としていることでしょう。会社更生法なども、条文の上ではこのような事態を予想した規定がありますが、実際の適用例では、ほとんど全例で債務超過なので、株主の利害を無視することができます(ダイエーは法的な整理でない)。
そのために、増資の発行価格の根拠ともなるべき、「株主資本」の算出過程に注目せざるを得ません(金融庁は事前の資産査定をしないと発表)。もちろん、これは清算価値と同じではありませんから、政策的なサジ加減が大きく作用します。
======================================================================================
銀行は、個別法で設立・営業の免許が与えられる特殊な会社です。
「りそな」は国内業務は可能な自己資本率4%を割ったことで公的資金による増資を受けることになりました。
これは、銀行として存続できない状況に陥ったことで、一般企業の“債務超過を超えた状況”を意味します。(一般事業会社であれば、債権者や裁判所の判断で事業が継続できます)
98年・99年の予防的注入や国際業務も行なえる自己資本比率8%を割り込んだことで公的資金の注入を受けることとは別次元の公的資金注入です。
銀行として存続できない状況に陥った「りそな」の株主に責任を求めることは、異論や反論はあるとしても、立法論や行政措置として困難だとは思っていません。
100%の減資はともかく、95%の減資でも株主にとっては度を超えたありがたい話です。
(銀行という特定の業種に限定して公的資金を注入するほうが、政治論的には通用しても、立法論としては困難だと思っています(笑))
金融庁も、「減資」を銀行に求めない理由を、法的根拠ではなく、銀行株の保有者の不安を払拭し、株式市場の動揺を防ぐことにおいています。