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(回答先: 株主資本/自己資本率4%割れ銀行の株主責任 [たこさんへ] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 5 月 20 日 20:33:19)
会社更生などの法的な倒産処理では「100%減資」がよく行われます。これは、「株主責任」と無関係とは申しません。既存株主の会社支配が完全に失われるという実質上の意味もありますが、前のコメントの「株主資本」にそって説明すると、次のようになるでしょう。
会社が債務超過の場合(会社更生などではこれが通例)、株主資本はゼロないしマイナスです。この場合、新株主となるべきスポンサーに新株を割り当てるなら、その理論的な発行価額はゼロ円です。一定金額の出資で、無限大の株数が割り当てられるはずです。そして、既存株主と新株主の持株比率は、前者が有限の株式数に対して、後者は無限大ですから、0%対100%になります。
もちろん、現実には「無限大の株数」はあり得ませんから、前段のような効果(新株主100%)を実現する方法が「100%減資」です。実は、これも便宜上の方法です。法的には、一時的にとはいえ株式が存在しなくなりますから、商法の枠組みではちょっと無理です(株式の存在しない株式会社が許されるか?そして、株主のいない会社で誰が株主総会を開いて増資を決議するか?)。裁判所の監督下にある法的な倒産処理に限って、その法律に基づいてのみ行われ得ます。
100%でない減資、たとえば「99%減資」は通常の減資ですが、「100%減資」は減資ではなく株主の入れ替えです。減資と称するのは便宜上の呼称で、実際には株主資本がゼロという特別の場合に無限大の株数(ゼロ円での新株発行)を避けるための小手先の法的技術です。
「99%減資」と「100%減資」の違いは、「有限」対「無限」で限りなく大きいものです。「株主責任」と「減資」をリンクさせる政府の説明は、ごく初歩的な詐欺と考えております。