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(回答先: Re: 経済事象を通じて観察できない価値観を問題にしています 投稿者 たこ 日時 2003 年 4 月 28 日 14:55:45)
たこさん、レスありがとうございます。
説明が不十分なのかもしれませんが、少しずれたご理解をされているのようなので補足させてもらいます
>あっしら氏は、現状(世界各国)をデフレないしデフレ危機と規定し、その原因を貨
>幣退蔵(これは私の言葉です)としておられるようです。
デフレ傾向が起きる根源的要因は先進諸国における“利潤”の喪失であり、“利潤”がなくなる要因は国際取引余剰(経常収支黒字)の喪失です。
日本は10兆円を越える経常収支黒字国ですから、経済主体が“利潤”を獲得する余地があり、それが実現されないばかりかデフレ・スパイラルに陥っているのは、経済活動に使われない“余剰通貨”(貨幣退蔵)の増大が原因です。
10兆円もの国際余剰(利潤源泉)がありながら、デフレ・スパイラルに陥っているほど経済活動に使われない“余剰通貨”(貨幣退蔵)があることを問題にしています。
>一方、国民経済としての利潤獲得の困難化を前提としつつ(日本だけの議論か?)、
>利潤獲得が個々の経済主体(ここでは産業資本ないし企業)の動機とならなくなるこ
>とをデフレ進行の論拠とするとともに、「近代経済システム」の死滅を予想しておら
>れるようです。
日本は経済主体が利潤を獲得する機会に恵まれた唯一とも言える先進国です。
「利潤獲得が個々の経済主体(ここでは産業資本ないし企業)の動機とならなくなるこ
とをデフレ進行の論拠」としてはいません。
デフレ進行の論拠は、“余剰通貨”(貨幣退蔵)の増大であり、デフレはそれ自身がさらなるデフレを誘発するという経済論理にあります。
問題にしているのは、利潤獲得ができない経済状況にありながら、個々の経済主体は、利潤を獲得しようとして経済活動に励むということです。
“余剰通貨”(貨幣退蔵)の増大により国民経済的にはない利潤を得ようとすることで、国民経済全体が破壊されていくということです。
また、「近代経済システム」の死滅も予想していません。
経済事象が自然現象的に見えるとしても、現実は生身の人々の思惑のぶつかり合いで形成される事象です。
「近代経済システム」に利益があると考える人たちは、現在の米英政権のように、なんとかして「近代経済システム」を維持しようとします。
先進諸国が生存維持及び心地よい生活条件を実現するために有効であった「近代経済システム」が歴史的変化のなかで無効になっても、勝手に死滅することはありません。
だからこそ、新しい経済システムを構築するために、価値観という問題が重要になります。
>なお、前のコメントで「経済」ないし「経済現象」は、近代経済システム(資本主義
>的生産様式)に限定せずに用いております。仮に近代経済システムに限定して用いる
>なら、「価値観」と称するかは別論として、経済論理とは異なる次元の問題の考察が
>必要なことは理解します。
「近代」と前近代を通底している「経済」ないし「経済現象」とはどのようなものでしょうか?
いわゆる「経済学」は、中央銀行制度と資本制的生産様式が結合し貨幣経済が普遍化した「近代」にのみしか成立しないと考えています。
「近代経済システム」を説明する「経済学」の論理が前近代にも適用できるとお考えでしょうか?
>「問題を解決する政策を見出し実行すれば、自然に利息の廃絶へと向かうはず」は、
>書き込みのリストから該当部分が見つかりません。利息の廃絶あるいは死滅は、利潤
>獲得の困難化を前提とすれば、資金需給の市場法則などで説明できますが(剰余価値
>の分配と考えても結論は同じ)、これは政策の結果ではありません。
死滅はともかく、利息の廃絶について、「これは政策の結果ではありません」というのは理解できません。
現在、利息取得が政策的に認められているのですから、利息を廃絶するのは、政策以外の手段はありません。
利息取得を利益源とする経済主体は、資金需給の市場法則がどうであれ、政策的に利息が得られる経済条件を維持しようとします。(その代表例が国家の借金漬け=膨大な国債残高です)
ところで、剰余価値というのはどのような概念としてお考えでしょうか?
「問題を解決する政策を見出し実行すれば、自然に利息の廃絶へと向かうはず」は、直接的にそのような文言表現があるわけではなく、そのような構えで書いたというものです。下記の参照書き込みをお読みいただければと思います。
『【参考資料】匿名希望氏との経済・財政問題をめぐる応答集』
( http://www.asyura.com/2002/dispute4/msg/134.html )
『【国民経済破壊の「竹中プロジェクト」に代わる『銀行再生策』】 日本経済に必要なのは「合理的な不良債権処理」』
( http://www.asyura.com/2002/hasan15/msg/869.html )