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鹿児島県奄美大島沖で発見され、海保の巡視船の追跡を受けて沈没した不審船は小型ロケット砲まで搭載していた。専門家は、こうした重武装と船の形状、活動海域などから、不審船は密輸や密航といった組織犯罪ではなく、「工作員の上陸か撤収などの工作活動を行っていたのではないか」と指摘する。
小型ロケット砲について、軍事評論家の江畑謙介氏は「乗組員が肩に担いでもっていたということから『ＲＰＧ７』ではないか」と語る。
ＲＰＧ７は弾頭直径八十ミリのロケット砲で、旧ソ連が対戦車ロケット砲として開発。安価で性能が良いため、中国や北朝鮮などで盛んにコピー生産された。ゲリラなどの武装組織でも使用されており、最近ではアフガニスタンの北部同盟も携帯していた。
発射時の反動はそれほど大きくなく、洋上でも十分に扱えるという。「二五〇トン級までの巡視船であれば、喫水線に当たれば沈没する」(江畑氏)という。
不審船にはこのほか、反撃に使われた自動小銃と思われる小銃なども装備されていた。こちらも旧ソ連製の「カラシニコフＡＫ47」のコピータイプとみられるが、巡視船に残った弾痕から、複数タイプの小銃が使用されていたようだ。
また、江畑氏は船の形態について、船尾から後部が大きく盛り上がっていることに注目。「水中スクーターや小型ボートではなく、上陸するための船や大型ゴムボートが収納されている可能性が高い」と話す。
上陸船であれば、一九九八年十二月に韓国海軍が公海上で撃沈した「半没水型小型高速艇」などの可能性もあるという。
また、安全保障の専門家は、不審船の活動海域が奄美大島沖だったことについて、「山口や宮崎、鹿児島には工作員の上陸ルートがあるとみられている。今回も工作員の上陸か撤収、偵察が行われていた可能性は高い」と指摘する。
江畑氏も重武装と上陸用ボートを収容するスペースが確保されていることから、「密輸や密航といった通常の組織犯罪とは考えにくい。国家レベルの特殊な任務を帯びた行動を取っていたとみるのが自然ではないか」と話している。
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