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「エンロン破綻」は“経済破壊=金融マフィアぼろ儲け”作戦の予行演習  <エンロンは今なお優良企業でSEC(米証券取引委員会)も共犯>

投稿者 あっしら 日時 2002 年 1 月 16 日 22:22:39:

昨日までは連日のように米日のメディアでメインテーマとして取り上げられてきた「エンロン破綻問題」(とりわけ政界との関係)は、今日(1・16)あたりから報道が下火になってきた。来週(24日)から始まると言われている連邦議会上院の政府活動調査委員会の公聴会が始まれば、またそれなりに取り上げられることにはなるだろう。

しかし、エンロン破綻問題は、「大山鳴動ネズミ一匹」でまちがいなく終結することになるだろう。


※ 予め、「国家破産5」にアップした『エンロンの破綻は仕組まれた「計画倒産」でブッシュ政権への打撃もなし』 http://www.asyura.com/sora/hasan5/929.html をお読みいただければ幸いです。
 また、今回の書き込みでの資料として使ったもの(「国家破産」ボード及び一部「戦争」ボード)は、できるだけ時系列にならべてレスとして添付します。
 日本のメディア(米国のテレビメディアも)が「エンロン破綻問題」を取り上げ始めたのは、11月6日くらいからであり、エンロンが連邦破産法の適用を申請した12月2日から見れば1ヶ月にも満たない。
 貴重な情報をアップしてくれた、FP親衛隊国家保安本部や倉田さんその他の方々に対する感謝の思いがこれほど強く感じられたことはありません。もちろん、阿修羅さんと管理人にもね。
 本当にありがとうございます。


■ ニューヨーク証券取引所で上場廃止になった「エンロン株」は“宝の証券”

最初に逆説的な話から。

エンロンの株式は、1月15日(現地時間)をもってニューヨーク証券取引所で上場を廃止されたと報道された。(1・16「ABCワールドニュースTONIGHT」)

2、3年後の金儲けを企んでいる人なら、株価急落過程でエンロン株を売り損なった人たちから、「タダというわけにはいかないので、1株10セントぐらいでどうですか」と言って、エンロン株を買い漁ることをお奨めする。

エンロンは、経営者は当然、ひょっとしたら社名も変わっているかも知れないが、その株式は、2、3年後には20ドル(ひょっとしたら50ドル以上)で売れる可能性が高いと見ている。
ちなみに、1株30セント(破産法申請後の株価)で10万株買っておけば、3万ドル(396万円)が2百万ドル(1株20ドル・2億6千万円)と70倍近い儲けになる計算である。

401Kの場合にはそうしなければならない仕組みなのかどうかわからないが、エンロンの従業員が投資した金額の1/30とも1/40とも言われる“はした金”の小切手をもらって、エンロン株の取引を手じまいしたのは大きな誤りだったわけである。

そんなバカなと思う人も多いかもしれないが、そうなるだろうと予測している。


■ エンロンは再建や売却ではなく初めから倒産=連邦破産法適用を目論んでいた

エンロンの財務関係書類のほとんどが、損失公表前の10月15日から不法に“廃棄処分”されていった。(1・15「ABCワールドニュースTONIGHT」)
さらに、エンロンの会計監査と利益拡大のアドバイザーを行ってきた会計事務所アーサー・アンダーセンが保管してきたエンロン関係書類もほとんど廃棄されているという。(1・16「ABCワールドニュースTONIGHT」)

エンロンが、損失を発表したのは10月19日だという。(1・15「ABCワールドニュースTONIGHT」)

これに関連する情報が「国家破産」ボードに現れたのは、FP親衛隊国家保安本部が11月 5日にアップしてくれた「WSJ-米エンロン、空売りした投資家が1年前に見つけた問題[DOW JONES 2001-11-5]」であり、そのなかに「10月16日、エンロンは7―9月期の決算で損失を計上し多くの投資家を驚かせた」という記述がある。


会計書類を廃棄したという報道を聞いて考えた疑問は、再建や売却を考えている企業が、重要な資料である会計データ(書類)などを廃棄するはずはないだろうということである。
もうダメだと判断した後なら責任逃れのために考えられることである。それでも、不正をしていないのなら、もうダメだと思っても不法行為なんかしないだろう。刑務所送りになってしまう。
財務的な苦況を公表している企業が、金融機関や投資家から資金を集めたり、どこかに会社を売却したいのなら、きちんとした会計データを提示しなければならない。

エンロンは、この間数多く報道されているように、米国の現ブッシュ政権とは尋常ならざる関係にある企業である。
ブッシュ政権は、9・11空爆テロ以後、航空会社や航空機製造メーカー(ボーイング社)に巨額の支援を行った。
現段階では経営的な苦境には陥っていないボーイングと、近い将来にわたって必要がない空中給油機について200億ドル(2兆6千4百億円)分のリース契約をした。

エンロンは、全米7位でおよそ2万人の従業員を抱えている大企業である。
民主党がエンロン破綻問題でブッシュ政権を非難しているように、従業員の救済を大義として掲げて救済することだって可能だったはずだ。

エンロン及び会計事務所アーサー・アンダーセンの会計書類を廃棄したのは、初めから「計画倒産」を目論んでいたからであり、「計画倒産」であることが暴かれたり、その他の“悪事”がばれないようにするためだと断じざるを得ない。
会計書類を廃棄する違法行為をやる予定だったのなら、現在公表(報道)されている以上の“悪事”を行っただろうとも推測している。


■ エンロンの財務状況は破綻時点でも超優良!


「エンロン破綻問題」で最大の疑問は、破綻時に報道されていた5兆円にものぼると言われていたデリバティブ取引に伴う損失の結末だった。

この件については、『エンロンが連邦破産法の適用申請の経営危機の米エンロン、債務総額は約5兆円か』〔日本経済新聞12・1〕に、「経営危機に陥った米エネルギー大手エンロンはデリバティブ(金融派生商品)など複雑な取引を手掛けており、米金融関係者の間では、その簿外債務は270億ドルに上り、帳簿上の債務と合わせると400億ドル(約4兆9400億円)以上になるとの見方が出ている」という記事で確認できる。

他にも、『エンロン債務総額は5兆円 約45%が簿外で処理』(共同 12・14)の「【ニューヨーク13日共同】米国史上で最大の経営破たんとなった米エネルギー大手エンロンの負債総額は計三百九十七億一千万ドル(連結ベース、約五兆円)に上った。十三日までに会社側が債権者に今年十一月十六日時点の数字として示した。負債総額のうち、約45%が簿外債務だった。今月上旬の連邦破産法一一条(日本の会社更生法に相当)適用申請時の負債総額は三百十億ドルで、新たな簿外債務などが加わったとみられる。
 内訳は、二百二十億六百万ドルが帳簿上の金融機関からの借り入れや社債。残りの百七十七億四百万ドルが簿外債務で、発電所や精製施設建設事業などに伴うプロジェクト・ファイナンスの百七億三千三百万ドルなどが含まれている」とある。


エンロンが手がけていたデリバティブ取引の仕組みはわからないが、破綻から1ヶ月以上経過した現時点でも、エンロン破綻の“余波”を受けてデリバティブ取引で酷い目にあったという企業の話を聞いていない。
冷静に記事を読めば、“400億ドル(約4兆9400億円)以上になるとの見方が出ている”(上記日経記事)であり、“デリバティブ(金融派生商品)取引などに伴う簿外債務を含めると四百億ドルを超えるとの見方もある”(下記産経記事)である。

エンロンは、デリバティブ取引で5兆円という損失なんか出していない可能性が高いと思う。

エンロンの債務問題についておかしいと感じたのは、毎日のように見ている「ABCワールドニュース」が、1月13日、14日と大々的にエンロン問題を取り上げたとき、損失総額6億1千8百万ドル(およそ816億円)をバック映像として表示していたからである。日本円に換算してみて思わず「ええっ、5兆円じゃないの」と叫んだ。

「国家破産」ボードでの「エンロン問題」関連アップの最初のほうに、『米エンロン、問題の簿外取引を算入し修正した業績をSECに報告』[ニューヨーク8日ロイター]というタイトルで、「米総合エネルギー会社エンロンは、同社の資金調達力が疑問視され、投資家の信頼を損なう原因となっていた簿外取引を含める形で財務諸表を修正した。この修正によって、同社の97年から2000年にかけての純利益は5億9100万ドル(22%)減り、同期間の負債が6億2800万ドル(6%)増えた」と言う記述が見られる。
他にも、『純益を20%下方修正=ずさん会計露呈、買収交渉に影響も―米エンロン』 【ニューヨーク9日時事】(11・10)にも、「9日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米エネルギー最大手のエンロンは、米証券取引委員会(SEC)に提出した文書の中で、1997年から今年第3・四半期までの純益を5億8600万ドル(総純益の20%に相当)下方修正するとともに、負債総額については6億2800万ドル上積みすると報告した」とある。


6億1千8百万ドルと6億2800万ドルと微妙に違うが似た金額である。
エンロンは、2000年度までは優良企業としてもてはやされていたのだから、それがそのまま損失になったと考えることもできる。
1千万ドルの違いは今期11月以降の利益なのかな(笑)


では、破綻に至ったエンロンの財務状況はどんなものだったのだろうか。


よくまとまった記事(推奨!)として、『米エンロンが破産法適用申請』〔産経新聞12・3〕の「エンロンは昨年の売上高が全米七位の巨大企業。今年六月末現在の資産総額は約六百二十八億ドル(約七兆七千億円)に達し、一九八七年に同条の適用を申請した石油大手旧テキサコを抜いて米史上最大規模の経営破たんとなる。<中略>エンロンは負債総額を十一月中旬時点で約百七十億ドルとしているが、デリバティブ(金融派生商品)取引などに伴う簿外債務を含めると四百億ドルを超えるとの見方もある」を引用する。

資産に関する他の記事としては、『米エンロンが破産法申請 記録的な大型破たん』 【ニューヨーク2日共同】(12・2)に「エンロンは売上高で全米7位(2000年末時点)の巨大企業。今年6月末現在の資産総額は約628億ドル(約7兆7000億円)に達し、米史上最大規模の経営破たんとなる」がある。

エンロンは、デリバティブ取引の“大損失”がウソだとしたら、資産総額628億ドルでありながら負債総額が170億ドルしかない超優良企業なのである。

そんなに優良な企業ならどうして破産してしまったのかという疑問をもたれたことだろう。

エンロンとアーサー・アンダーセンが結託して会計データを不法に廃棄した理由も、それが一番大きな理由だと見ている。

エンロンは、倒産してしまったのではなく、わざと倒産させられたのである。

そんなアホな!超優良企業ならそのまま存続させたほうが儲けられるじゃないかというのは、かつての日本人などまともな人間が持つ価値判断なのである。

「国際金融マフィア」は、看板にしている企業(ここではエンロン)なんかに執着があるわけではない。金をとんとん儲けることしか頭になく、企業はそのための道具でしかないのである。


■ 金融マフィアは「エンロン破綻」でどうやってボロ儲けしたのか

“金融マフィアは「エンロン破綻」でどうやってボロ儲けしたるのか”と言う見出しを付けたが、本当は、“金融マフィアは「エンロン破綻」でどうやってボロ儲けし、これからさらにボロ儲けしようとしているのか”と言うのが正しい見出しだろう。

優良企業を倒産させて儲けるだって?という疑問は、ここで出来るだけ晴らしていきたい。
ただし、インサイダーではないので、本当の実態はわからない。使用する資料は、「国家破産」ボード及び米国のテレビニュースに限ったものである。

まず、簡単なシミュレーションを考えて欲しい。

莫大な利益を生み出す企業が存在する。もちろん、企業の所有者は株主であるから、それを手に入れるためには、その株式を過半数購入しなければならない。しかし、超優良企業の株式は、1株が80ドルもするほど高いし、株数も多い。とてもじゃないが、普通の手段じゃ手に入れられない。株式をまとまって買いたい人間がいるなんてことがわかってしまったら、株価はもっと高くなってしまう。
そこで考えたのは、あの会社の財務状況が本当は悪いという“風説”を流して株価を下げてやろうという卑劣な手段だ。
しかし、普通の人間がそんなことをやっても株価はびくとも動かないだろう。それどころか、逮捕されて刑務所送りになって終わりということもありえる。

しかし、エンロンは、天然ガスパイプライン会社同士が合併して1985年に設立されたもので、ことさら買収なんてする必要はないのじゃないかと言われるかも知れない。

その通りだと思う。

今回の「エンロン破綻」作戦は、優良企業に群がった中金持ち・小金持ちそしてK401で無理矢理(今は怒りまくっている従業員も、昨年8月頃まではそんなふうには考えなかっただろう)自社株を買わされていた従業員から、優良企業の株式を安値で奪い取ることが目的である。
さらにエグイことに、株式を安値で奪い取る過程でボロ儲けをはかり、エンロンの再建でもまたボロ儲けという一大作戦である。

エンロンのケネス・レイ会長をはじめとする経営者29名のまさにインサイダー取引である自社株およそ1450億円の売却から得た利益は、本当の実態を知れば、“かわいいもの”と感じてしまうものかもしれない。

SEC(アメリカ証券取引委員会)も共犯だと主張するのは、そうでなければ実行が難しい作戦だからである。
SECが、エンロンのケネス・レイ会長が保有自社株を売却した時点あたりからのエンロン株の取引状況、さらに、8月くらいからのエンロン株の“空売り”状況を公表したら、それがはっきりわかるはずである。

そして、エンロン株の“空売り”でボロ儲けし、最終的には超安値でエンロン株を巻き上げるために、この作戦に加わった人たちはメディアを活用しまくったのである。

おそらく10月19日の損失発表が、インサイダーたちに対する作戦開始のシグナルだったのだろう。もちろん、首謀者たちやコアはもっと早い段階から知っている。
損失発表自体の情報は、メディアにはほとんど掲載されなかった可能性もあると見ている。

しかし、この段階で12月2日の「連邦破産法適用申請」が予測されてしまっては、作戦は頓挫してしまう。

だから、すぐに、資金注入や買収の話がメディアに飛び交ったのである。

『米エンロンが投資会社や電力取引会社に接触、20億ドルの資金注入求め=米紙』[REUTERS] (2001/11/06 17:38:46)や『米ダイナジー、米エンロンを株式交換方式で買収する方向で交渉=消息筋』[ヒューストン7日ロイター]の情報が、11月初旬からメディアを飾るようになった。

買収先として名前が出てきた米エネルギー大手のダイナジーも、もちろんインサイダーであろう。
エンロンは、遅くとも10月中には会計書類を廃棄してしまっているのだから、ダイナジーがエンロンと買収交渉するための基礎データさえない状況で、まともな企業が買収交渉なんかするはずがない。

以降しばらくは、買収交渉の話がメディアをにぎわせることになる。

『買収:米大手エネルギー販売ダイナジー エンロンを買収へ』[毎日新聞11月10日]では、「エンロンは、副社長の不正取引による簿外債務の発覚など不明朗な経理処理が見つかり、株価が急落していた。信用の低下で、資金調達が苦しくなり、ダイナジーに事実上、救済されることになった。ダイナジーは、石油大手シェブロンテキサコが26・5%の株を所有しており、買収にシェブロンの意向が強く働いている。買収は来年9月末までに完了する予定」と、あのシェブロンの名前まで登場する。
『米ダイナジー、エンロンを78億ドルで買収』〔日本経済新聞 11・9〕も同じような話で、『米エンロンを1兆円で買収 米ダイネジー』〔産経新聞 11・10〕は、「合意内容によると、エンロン株一株にダイネジー株○・二六八五株を割り当てる。さらに、ダイネジーに出資している米石油大手シェブロンテキサコがダイネジーを通じて十五億ドルの資本注入をただちに行い、買収完了後にさらに十億ドルを出資する」と、より具体的にしかもより安心感をもらたす内容になっている。
『米エネルギー大手ダイナジーがエンロンを事実上買収』〔読売新聞 11・10〕も、「新会社名はダイナジーで、合併は株式交換方式により行われ、エンロン株1株に対し、ダイナジー株0・2685株が割り当てられる。このほか、ダイナジーの大株主である石油大手シェブロン・テキサコが、新たに25億ドル(約3000億円)の資本注入を行う。」とある。

11月13日時点では、『ダイナジー、エンロン買収額は約90億ドル』〔日本経済新聞〕に、「米エネルギー大手のダイナジーは12日、同業大手のエンロン買収に関する電話会見を開き「買収は半年から9カ月の間に完了する」(バーグストロム社長)との見通しを示した。同社によると買収額(株式交換分)は約90億ドルで、債務引き受けを含めた買収総額は240億ドル。買収後は年15−20%の増益を見込む。ただ規制当局の審査やエンロンの信用問題など、買収実現までには難題が山積している」という記事を見ることが出来る。。
おまけに外国勢も、『西ドイツ銀や英水道会社、米エンロン傘下の水道会社の買収を検討=報道』[ロンドン17日ロイター]と援軍?を送っている。


これだけ、エンロンの行く末について“好材料”の情報が出てくれば、株価も騒動で下がっていることだし、エンロン株に投資して儲けようかと考える投資家が大勢出てきても不思議ではない。

エンロン株の取引は、11月初旬から11月中旬にかけて狼狽ではなくまともなかたちですごく賑わったはずである。

「買い方」は買収話に騙されたアウトサイダーの投資家で、「売り方」(当然“空売り”はそんなものはデッチ上げだとわかっているインサイダーである。

「売り方」は、エンロンがもうまもなく“破綻する”ことがわかっているので安心してガンガン空売りできる。しかも、高い株価で空売りをかけ、出来るだけ短い時間で紙屑同然の株価になったときに精算できるというボロ儲けの絶好機会が持てたのである。

しかし、株式市場も、丁半博打と同じで、コマが揃わなければ取引が成立しない。
“空売り”をしたくても、それに見合ったお金を投じて買ってくれる投資がいなければならないのである。

そのために、作戦インサイダーは、ウォール街のアナリストも動員した。

それが表に出たのは、エンロンが連邦破産法適用を申請した後で、『アンガー米SEC委員長代行、アナリストのエンロン買い推奨を問題視』[ワシントン6日ロイター 12・7]の「米証券取引委員会(SEC)のアンガー委員長代行は6日、米CNBCテレビに出演し、一部のアナリストが、米エネルギー総合大手エンロンについて、数週間前まで「ストロング・バイ」の投資判断を示していたことを問題視していると語った」と記事になっている。
今日(1・16)午前NHK衛星1で放送された「ABCワールドニュース」も、次のように報じた。「ウォール街のアナリストは、去年の秋、エンロン社が内部崩壊しつつあるなかで、エンロン株への投資を強く奨めていた。予測が間違っていたからと言ってそれがなんだ、次の取引に移ろう。誰かが損をしたからと言ってそれがなんだ、次の取引に移ろうがウォール街のモットーである」と伝えた。

そのような「エンロン株買い」の煽りをしたアナリストは、自分の取引ではエンロン株を“空売り”したか、やばいので取引には参加せず別のかたちで報酬を得たはずである。


そして、“空売り”が終わったら、いよいよ「ボロ儲け作戦」の仕上げである。
エンロン株取引で“空売り”をしているから、株を買って精算しなければならない。そのためには、株価が暴落してもらわなければならない。

11月20日を過ぎると、『米エンロン、合併破談なら破産法申請の可能性高くジャンク債に格下げも=フィッチ[REUTERS] 2001/11/22 09:13:59』という情報と『エンロン買収で当局の早期承認を得られるよう努力している=米ダイナジー[REUTERS] 2001/11/22 09:07:06』という錯綜した情報が流れた。
もちろん、ご存じのようにロイターはインサイダーである。
この情報が“手じまい”準備のシグナルである可能性が高いと思う。


そしてついに、『S&P、米エンロンをジャンク債に格下げ 』【ニューヨーク28日時事】の情報が流された。
日本国債の格付けなんかでも話題になっているS&Pも、もちろんインサイダーである。
11月27日までは、“空売り”が出来たわけであるが、その前から“空売り”の精算に少しずつ入っていたと思われる。
“ジャンク債に格下げ”の情報が流れるや、株式市場ではエンロン株保有者の“狼狽”売りが殺到したことだろう。そうじゃなければ、“空売り”の精算は出来ない。

だから“ジャンク債に格下げ”が格付けだけの話だけではなく、本当にジャンクになったということを意識づけるために、『米ダイナジー、エンロンの買収条件見直し』〔日本経済新聞〕(この記事はエンロンの株価について「エンロンの株価が買収発表時の8.63ドルから27日終値では4.11ドルに下落」という情報も出ている)、『米エンロン買収合意を破棄=会社更生手続き申請は必至−ダイナジー』【ニューヨーク28日時事】、『エンロン:ダイナジーが買収撤回 破産法申請へ』〔毎日新聞 11・29〕(この記事にも、、「エンロンの同日(引用者注:28日)の終値は前日終値から85・3%(引用者注:60セントくらい)も暴落して取引を終えた」というエンロンの株価情報がある)


「国家破産」ボードで確認できる株価で手数料などを無視して計算すれば、8.63ドルで10万株を“空売り”し60セントで株を買って精算すると、87万ドル(1,150万円)−6万ドル(792万円)=81万ドル(1千万円)の儲けとなる。
それをわずか1ヶ月という期間で達成したのである。利回り計算をして見れば、驚くべき値が出るだろう。低金利の日本ではとうてい考えられないものであり、あの街中の高利貸し(銀行も含む)だって望めないものである。

たいしたことはないじゃんと思ったら大間違いである。超優良企業であるエンロンの株式10万株も手元に残っているのである。
最初に書いたように、1千万円のおまけまで付いたエンロン株式が将来20ドルになったら、10万株は200万ドル(2億6千万円)になるのである。これは丸まるの儲けである。

さらに言えば、株数も小さい値のものを使っているし、使った株価も高値・安値とも極端なものではない。


ちなみに、日本に対する表だった「エンロン問題」の余波としては、MMF元本割れや銀行の融資焦げ付きが報じられた。
あとは、電力自由化政策がダメになるという担当大臣の嘆きくらいである(笑)

MMFに関しては、いかに日本の金融機関がダメ(アウトサイダーじゃない)かがわかる記事が出ている。
『[話題]エンロン債投資継続、情報開示に積極姿勢=MMF運用で投信各社[REUTERS] 2001/11/22 11:37:26』は、「<前略>投信各社は、買収案件の行方を見守るとともに、ひとまず投資継続を決定した。<中略>ロイターが独自に入手したファンド開示資料や、運用会社、販売会社への取材で明らかになったところによると、エンロン債を組み入れているMMFは、日興MMF(運用:日興アセットマネジメント)、スミセイMMF(同:スミセイグローバル投信)、ユニバーサルMMF(同:UFJパートナーズ投信)、UFJパートナーズMMF(同:UFJパートナーズ投信)、日本MMF(同:日本投信)の5本で、総額は385億円」と、22日時点でも見極めが出来ていなかったようだ。

あげくに、ここに列挙されている企業から数名の代表取締役が退くことになってしまった。


■ さらなる“証拠隠滅”作戦

この作戦では、ダイナジーとエンロンのあいだの「インチキ買収交渉」があとで問題にならないよう、ご丁寧な処置まで構じられている。

『米エンロン、経営破たん=会社更生手続き申請−買収破棄のダイナジーを提訴』【ニューヨーク2日時事】(12・2)、『エンロン破たん想定し攻防本格化』〔日本経済新聞12・1〕、『米エンロン、経営破たん=会社更生手続き申請−買収破棄のダイナジーを提訴』【ニューヨーク2日時事】「エンロンは、同社を救済買収することで合意していた同業の米ダイナジーを相手取り、100億ドルの損害賠償を求め提訴した。ダイナジーは先月28日に買収合意を破棄、これが契約違反に当たるとしている」という記事が流れている。

ええっ、訴訟になったら大変じゃないかという疑問がまたまた出てくるはずだ。

しかし、エンロンが本社を構えていたテキサス州は、「エンロン帝国」とも言われているそうだ。
昨日(1・15)午前にNHK衛星1で放送された「ABCワールドニュース」は、「エンロン問題は法曹界にも及んでいる。エンロンはテキサス州の公職者に幅広く献金を行っており、テキサス州の政府機関や選挙で選ばれた役職者でエンロンの影響を受けていないものはほとんどいない。テキサス州の検事総長は、自らエンロン問題については捜査ができないと語り、テキサス州最高裁の判事9人の内7人までが13万4千ドルのお金を受け取っており、エンロン関連30件の訴訟のうち1件でも最高裁に持ち込まれたらお手上げになってしまう。関係者の多くが訴訟に関わることが出来ないので遅々として進まないだろう」と報じた。さらに、同じ番組で、クレイグ・マクドナルド氏(Texas for Public Justice)は「テキサス州でエンロン問題に関して利害が抵触しない政治家はごくわずかだ。エンロン問題については、郵便集配室の職員に調べてもらうしかないような事態になるかもしれない」と語った。

このニュースを見て、大笑いしてしまった。自由で民主的なアメリカ合衆国の実態はこんなものである。もちろん、大金持ちの“自由”は認められている。

こんな事態までちゃんと織り込んで、エンロンは身の安全を確保するために、訴訟へと打って出たのである。
「ABCニュース」の内容であれば、これ以上訴訟なんかしていても何の足しにもならないという雰囲気が蔓延して、みんなが訴訟を取り下げてしまうだろう。
それで、エンロン問題はお終いである。


■ ブッシュ政権は「エンロン破綻問題」を無傷で切り抜ける

ここまでお読みいただいてそれなりに納得してもらった方には、昨今のエンロンとブッシュ政権をめぐる大騒動記事を読まれていても、結末はそうだろうなと判断してくれるかも知れない。

まず、ブッシュ政権とエンロンの関係で問題になっているのは、“癒着”と“エンロン未救済”である。
エンロンから献金を受けている議員が多数いる民主党(ごく一部の議員を除き共和党とは看板が違うだけで中身は同じ)は、「ブッシュ政権はエンロンが破綻する前に情報を掴んでおり、多くの人たちが被害を被ることをわかっていながらエンロンを救済しようとしなかった」と非難しているだけである。
これについて、昨日(1・15)の「ABCワールドニュース」は、ブッシュ政権のオニール財務長官が「政府がエンロンの救済に関わる理由はない。エンロンの破綻は、企業が政府の規制を受けず独自の判断で浮き沈みするのは、資本主義の理念の現れである」と語り、それに対し民主党上院議員であるリーバーマン氏が「冷淡な発言だ」と強く批判していると報じた。

政権とエンロンの“癒着”問題も、メディアがその実態を暴くことで“ガス抜き”が終わると考えている。

9・11空爆テロ以降のアメリカは、「超兵器級炭疽菌テロ」でも、「11・12ニューヨークAA587便墜落事故」でも、真摯な捜査が行われていない。
このような情況で、エンロン問題がまともに捜査されるとはとうてい考えられない。


■ これから、日本も含めて同じような「エンロン破綻問題」が起こされる

タイトルを、『「エンロン破綻」は“経済破壊=金融マフィアぼろ儲け”作戦の予行演習』としたように、“経済破壊=金融マフィアぼろ儲け”作戦は、世界的規模で行われるであろう。

もちろん、9・11空爆テロ以降の世界の動きも、その流れのなかに位置づけられるものである。


ブッシュ政権・キッシンジャー博士(1・13のテレビ東京「日高レポート」)・竹中経済財政担当相などが、まったく根拠もないまま「これから景気は上向く」と発言していることが、新しい事態の発生を告げるシグナルなのかもしれないのである。

普通の感覚からいったらおかしい話なのだが、経済を破壊したからといっても金融マフィア(インサイダー)は損するわけではなく、逆に、通常では考えられないほどのボロ儲けが達成できるのである。
“自由主義”経済を信奉している人たちが、そのようなボロ儲けのチャンスが手に入り、犯罪としても問われないとしたら、やれるのならやろうとするのが当然ではないだろうか。

損をするのは、アウトサイダーの中金持ち(日本の大金持ちはこんな程度)や小金持ちである。そして、ますます困窮するのが貧民(年収800万円以下の人)である。
この過程で、“中産階級”はどんどん貧民階層に落ちていくことになる。

不幸なこと?に、ごく少数のインサイダーしかいないと思われる日本は、その過程で身ぐるみを剥がれてしまう可能性が高い。

このような金融マフィアの妄動を今の日本の情況で止めるのは難しいと判断しているが、開始前に止めることができるチャンスは、あと1、2ヶ月しかないかもしれないとひどく恐れている。
もちろん、そのあとであっても、止めるのが一日でも早ければ早いほど傷が浅くて済む。

ただただ、このような書き込みをして、なんとかしてくれーーと叫ぶばかりである。

あの「世界大恐慌」(もちろんあれも仕組まれたもの)を超えるとんでもない悲惨な過程を経なければ、金融マフィアの“近代収奪システム”を打ち壊すことはできないのかも知れないとも考えている。







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