投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 13 日 02:19:52:
【ワシントン逸見義行】ニューヨークで12日、アメリカン航空の民間航空機が空港手前の住宅地域に墜落したことは、9月11日に起こった同時多発テロの影響で打撃を受けた消費者心理に一層深刻な影響を与えそうだ。原因がテロか事故かによって大きく変わるが、クリスマス商戦に向けて、航空業界、旅行業界へのマイナスの影響は必至だ。景気後退入りした米経済へのデフレ圧力が強まれば、日本の景気後退が深刻になり、世界同時不況の懸念が一層強まりそうだ。
「事故の原因が何であれ、最悪のタイミングで起きた」。株式市場関係者は12日、墜落直後、株価が急落する中でつぶやいた。同時多発テロから2カ月。テロの直撃から米経済の一部で回復の動きが出始めていたからだ。今回の墜落で、米国の経済活動の前提になっている「移動の安全」に再び赤信号がともった。
米大統領経済諮問委員会(CEA)のハバード委員長は12日、墜落の起こる前に、パリで「米経済は来年第1四半期(1〜3月)は若干のプラス成長になり、それ以降は急回復する」と語り、経済運営に自信を見せた。しかし、クリスマス商戦開始を前にした今回の墜落で、個人消費が一層の打撃を受ければ、米政府の見通しも下方修正に追い込まれる可能性が出てきた。
米連邦準備制度理事会(FRB)は6日、今年10回目の利下げを実施し、来月も追加利下げを実施する方針だ。しかし、10月の卸売物価指数は前月比1・6%減と過去最大の下落率を記録し、デフレ圧力が強まっている中で、金融政策の効果にも限界が出てきた。財政政策も議会の与野党対立で、景気対策の策定が遅れている。財政金融政策の効果が薄れている中での、今回の墜落は、米経済に大きな波紋を与えるのは確実だ。