投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 26 日 17:19:15:
銀行の国債投資姿勢に変化が見え始めている。今年度の上期(4−9月期)は売り越しに転じた可能性が高いのである。日銀によれば国内銀行の国債保有残高は8月末約67兆円で3月末に比較して6兆円以上減少しているという。半期ベースでの保有残高減少は1988年上期以来3年ぶりという。折りしも、TVCMで個人投資家に国債はとっても魅力的と懸命にアピールしている状況で、なんとかとってもお高くなった国債の受け皿になってもらおうとする意図が見え隠れするようで気分の良いものではない。また、政治、経済、金融に疎い投資家が無邪気に購入するのかと思うと。
まあ、それはそれとして、国内工場を閉鎖・休止する上場企業が今年に入って69社120工場120工場を超えたようだ。過剰設備の廃棄、合併、統合の動き、そして、生産拠点の海外移転。企業が競争力を維持、高めようとする一方で、国内雇用問題と空洞化問題が徐々に鮮明に深刻化して加速していくことになる。今後の回復は、雇用無き景気回復(ジョブレスリカバリー)というシナリオが現実味を帯びてこよう。サヨナラ日本、我慢に我慢を重ねた日本企業の一部が国外脱出に踏み切れ出している。
ただし、この3連休中に、大手銀行が期初の3.5倍以上の不良債権を処理し、みずほグループでは、3頭取や持ち株会社の副社長らが責任を取って辞任する方向と報じられている。経営責任の明確化。待ちに待ったケジメであり、市場はこれをそれなりに評価することで、今週以降、大手銀行株には買戻しを起爆剤にした短期的な上昇が展望されよう。そして、その後に訪れる過剰債務に喘ぐ経営不振企業の破綻が相場上昇の補助エンジンとして機能することになりそうだ。
なお、一部報道によればフィッチが日本国債を「ダブルAプラス」から「ダブルA」に格下げしたようだ。国債格下げ、これを受け長期金利が上昇圧力を受ける中で、不況が継続しその経済の弱い部分を反映する形で為替市場で円安が進む。国民資産は対外的な相対価値で徐々に劣化し、静かに確実に国民の生活レベルが地盤沈下する。この流れは、抜本的な構造改革を施さない限り不可避であろう。ただ、短期的には、不良債権処理問題の進展と経営責任の明確化を喜ぶことで、株式市場は底堅い、強い動きを続けることになりそうだ。