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(回答先: Re: 昨秋からの「ヒト狂牛病」騒動の顛末……について 投稿者 付箋 日時 2002 年 5 月 16 日 21:38:15)
昨年秋にマスコミ報道された「ヒト狂牛病患者発生疑惑」について、先頃、
この疑惑例がじつは「ヒト狂牛病」でなく、癲癇[てんかん]か何かの別の
病気だったらしい、という事実が判明し、患者が解放に向かっていると
いう“学会報告”が日経の医学関係の専門ニュースサイトにのみ登場しました。
このニュース記事を投稿したのがキッカケで、「付箋」さんからご指摘と
ご質問をうけ、それに答えるというかたちでやりとりが行なわれてきました。
「付箋」さんから、更なるご意見を頂きました。
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> http://asyura.com/sora/gm3/msg/265.html
> GM3 265 2002/5/16 21:38:15
> 投稿者: 付箋
> e-mail:
> 題 名: Re: 昨秋からの「ヒト狂牛病」騒動の顛末……について
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これに対して、私の考えを述べさせていただきます。
なお、失礼に当たるかも知れませんが、「付箋」さんのご意見を「>」で
引用するかたちで、それに対する私の考えを申し述べます。
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> メディアは当時、「パニックを煽る」ほど狂牛病や、今回問題になった"新変異型
>クロイツフェルト・ヤコブ病"の患者のことを報じていません。共同通信の人間が
>その患者のことを報じようとしたところ圧力がかかって報道できなかったという話
>すらあるほどです。そして、週刊文春のその患者に関する記事を見るかぎり、疑い
>をいだく要素はたしかにあったと思います。また、疑いを抱いた時点で記事にする
>のも、危険度や重要度からいって責められるようなものではないと思われます。
>このへんは「メディアリテラシー」にも関ってくることで、情報の受け手のほうの
>フレシキビリティも問題にしたいところですが、僕個人の意識としては黙っている
>より、書いてくれたほうが「情報」という点でありがたいと思います。何も知らない、
>ということは恐いことですから。どんな些細な材料であろうと、それを判断し選択
>する自由くらいは与えてほしいと思います。
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――我々が住むこの国に関して言うなら、どんな情報であれ、まず政府が入手した
情報は国民に公表するのが大原則だと思います。日本は封建国家でも絶対王政国家
でもなく、まがりなりにも「民主制」を標榜しているのですから、政府がこの国家
存在の根本理由を自分で曲げてはならないでしょう。
西欧型の民主主義政治というのは、そもそも一神教のもとで「天賦人権説」という
イデオロギーに基づいて構想された虚構です。「民主主義の政治」が円滑に実現して
いくためには、万人が――「神」には成れないとしても――「神」に近い徳性を獲得
していかねばならないでしょう。これは実現困難な理想です。それに性善説を前提と
した政治は、無知と悪意の浸食にはきわめて脆弱です。
しかし、日本はこの困難な道を選んだわけだから、「民主主義」の実現をめざして
不断の努力が必要でしょう。その努力を怠れば、たちまちにして衆愚政治の“デマ
クラシー”へと転落するのですから。(「デマクラシー」という言葉は存在して
いないようですが、デマゴギー[扇動]による大衆支配で運営される“お祭り政治”
という意味です。)
国民の生活にかかわる警戒情報は、たとえ完全に確認できていない情報でも「確認
できていない未確定情報である」という“警告表示”をつけて国民に知らせるべきだと
思います。「フェイルセイフ(fail-safe)」というのは、頼りにしている安全装置が
万一呼称しても、なお安全が確保できるよう、何重にも安全対策を施しておくことです。
情報がデマゴギー(扇動)へと変質し、パニックを引き起こさないように、情報に“品質
表示”を付けておくのは――要するに“但し書き”ですが――是非とも必要だし、
フォローアップによって、情報の初期エラーを正す作業も必須です。
マスコミの影響力は非常に大きなものですから、このあたりの“情報とその出し方の
品質管理”はメディア自体が責任を持って行なうべきですね。
しかし、この点については、私は正直にいって悲観的にならざるをえません。例えば
「狂牛病」や「AIDS」とは違いますが、最近の日木流奈くんをめぐる「NHKスペシャル」
の問題などは典型例ですね。メディア・理照らしー……もとい“リテラシー”を有して
いたのは、マスコミでは評判の悪い――だけどマスコミが密かにネタ元にしている(笑)
――「2ちゃんねる」のいわゆる「ネットうじ虫ども」などだったのですね。それで
放送界と出版界の“良識の代表格”(笑)のようなNHKや講談社が、怪しげなカネ儲け
や宣伝に突き進んだわけですね。おまけにNHKなどは「検証番組」と称して、まったく
科学性も合理性もない開き直りの強弁番組を垂れ流したわけですね。そして疑うことを
知らぬ多くの人々が、講談社などの流奈本に飛びついているわけですね。要するに、
商業主義と扇動/扇情主義が出版や報道の大企業の主たる関心なのですから、それに
流されずに読者・視聴者がリテラシーを発揮するのは全く容易ならざることなのです。
私が『サイバーX』で紹介した狂牛病やAIDSの主流俗説への批判やオルタナティヴな
病因論、あるいは米国の炭疽菌騒動についてのオルタナティヴな陰謀説は、それなりに
合理性があるから紹介しておくべきだと考え、それが具体化したものなのですが、主流派
のプロパガンダに馴らされてきた人々には冷笑されているかも知れません。しかし多数派
に無視されてもメディア・リテラシーが発達した少数の人々に伝われば、やがては意義を
持ってくるに違いない、と思いながら、書いてきた次第です。
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> 「牛肉」産業に関る人々のことですが、彼らには何も責められるところがないので
>しょうか。肉骨粉一つにしても、乳牛などの育て方一つにしても、「効率・生産性」
>第一主義におちいっていて(競争に勝つには他の道は選べないという現実があったには
>しても)、そのほかのものは無視するような危険な風潮はありはしませんでしたか。
> BSEの問題で浮上した最も反省すべきものは、そういうまさに危険な「人類の浅知恵
>の所業」というものではなかったでしょうか。これはBSEが肉骨粉によるものでなかった
>としても、あまりに「結果オーライ」でこれまでやり過ぎてきた、という問題はとても
>重要なものとして残ると思うのです。そして、実際に「人狂牛病」が存在する以上、また
>人にとって最も基本的なものの一つの「食」にまつわるものである以上、今度のBSEの件
>で現実に辿ったプロセスが最善であったなどという気は当然ないのだけれど、人として
>大騒ぎするのは仕方がないことなのでは?
> これには国の行政などが、これまでも散々期待を裏切り、もはや信用できないものに
>なっているという現実も今回の場合要素としてあります。実際、行政は肉骨粉などの扱
>いについてもひどいことをしていたではありませんか。
> このへんのことも関連産業の方々には考えてほしいことだと思います。業界をあげて、
>「まっとうな」、「効率・生産性」第一主義ではない仕事ができる、競争ができる、と
>いう可能性も出てきたということも考えていただき(まだ問題はいろいろ残っているで
>しょうけど)、今回のことを前向きにとらえてほしいと思います。それではすまない事態
>も多々あることでしょうが、こういう問題が持ちあがった以上それは何処の業種にでも
>起こりうる、仕方のないことだと考えていただきたいです。
> それにしても、"煽った人間たちは悪い"という考え方は、このBSEの政府の対処の
>無能さぶりを隠すことにもなりませんか。逆にいえば、行政などがしっかりしていれば、
>少しくらいの「煽り」など害にはならぬものです。
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――牛肉産業が責めを負うべき、という論理で行くなら、何よりもまず消費者が、
そして現在の「異常プリオン所有個体を“共食い”した結果、海綿状脳症が伝染
する」という(科学的根拠の怪しい)“定説”を信じるとすれば、そうした“汚染
肉を食べた”患者が、責めを負うべきだ、という理屈になるのではないですか?
たしかに「自業自得だ」という論法も主張することができるでしょうが、少なく
とも日本では、食品安全という名目で厚生省や農林省が関与してきたのですから、
最終的な責任はそうした“干渉”……ならぬ官庁が負うというのがスジではないか
と思います。
狂牛病騒動がきっかけになって“動物の福祉”とは程遠い効率最優先の畜産の
ありかたが改善されていけば、それは大いに歓迎すべきことですが、まず消費者の
性向が変わらなければ、産業のありようが転換していくのは難しいでしょうね。
「行政がしっかりしている」状態を日本の政府に求めるのは無理でしょう。ゆえに
「行政などがしっかりしていれば、少しくらいの“煽り”など害にはならぬもの」だ
という主張は実際には無意味です。BSE対策に関する政府の無能さは隠しようがない
でしょう。(まだ隠蔽している事実がいろいろとあるでしょうが、無能ぶり自体は
もはや歴然としています。) ショック療法としてマスコミの「煽り」が必要なこと
もあるでしょうが、商業主義と扇情/扇動主義が動機であるとすれば、それは悪質
です。しかも「煽りっぱなし」でのちに誤報だったと判明してもフォローや訂正
がないなら、無責任きわまるわけです。