阪大グループ29日に発表
アルツハイマー病の九割以上を占める老年性(孤発性)患者で脳の神経細胞の死滅を招くタンパク質が、ごく微量のアルミニウムで生成されやすくなることが、大阪大大学院医学系研究科の遠山正弥教授と片山秦一助手らの研究でわかった。
アルミを過剰摂取するとアルツハイマー病になりやすいという海外の疫学調査があるが、ごく微量でも影響がある可能性を示唆するもので、静岡県浜松市で開かれる日本解剖学会で二十九日に発表する。
遠山教授らは、神経細胞を低酸素状態にすると、「HGM-1」というたんぱく質が異常に働き、細胞死を起こす変種プレセニリン2(PS2)というたんぱく質をつくることを解明。大正製薬とHGM-1の働きを防ぐ新薬の開発を進めている。
グループは今回、細胞を殺すなど毒性が出る濃度の四百分の一にあたる1リットル中約七十マイクロ・グラムのアルミを含む溶液を入れた培地で神経細胞を培養。期間を区切って細胞に低酸素の刺激を与えて細胞の変化を調べた。その結果、三ヶ月以上培養した細胞では、アルミがない場合は変種PS2の生成に刺激後十六-二十四時間かかるのに対し、アルミがあるとわずか一時間後に生成が始まった。
人間の体内にはもともとアルミはないが、食生活などで体内に取り込んでいる。水道水のアルミ濃度は最高1リットル中二百マイクロ・ヅラム程度で、片山教授は「水道水と同じレベルのアルミ濃度でも、長期間さらされると、アルツハイマー病の危険性が高くなるのではないか。」と話している。
読売新聞 2002/2/21