(回答先: Re: 「斜めレス」になりますが 投稿者 596 日時 2002 年 3 月 27 日 23:12:48)
596さん、こんばんわ。
拡散して書くとまともに対応してもらえないようなので、一つずつレスさせてもらいます。
>レーガノミックスは10年ほどしてクリントンの時代に花咲きました。日本と正反対
>の10年にわたる好況です。経済の規制を撤廃し小さな政府にしたおかげです。一般
>労働者はその好況のおかげで失業も少なく潤っています。
まず、レーガノミックスについて。
596さんは、「小さな政府」とレーガン政権が叫んだことを現実として真に受けているようですが、米国の財政赤字は、レーガン政権時代にさらに増大していったのです。
レーガン政権は、82年から高額所得者や企業を中心にした所得税などをおよそ2,800億ドルの減税する一方で、国防費を除く歳出をおよそ1,300億ドル削減したために、財政赤字が1,500億ドルも拡大し2千億ドルになったのです。
レーガン政権以降米国政府債務残高は急上昇し、就任時に8千億ドルであったものが退任時には2兆3千億ドルにまでなったのです。
米国の政府債務残高は、戦後45年から70年まではベトナム戦争があっても3千億ドル程度でずっと横這いを続け、71年のドル兌換停止を契機に、少しずつ増大を始め、レーガン政権が誕生した翌年から急増大したのです。
端的に言えば、削った社会保障費を国防費に回し、高額所得者や企業に対する減税分を国債(外国投資か中心)で補ったのがレーガノミックスなのです。
このようなレーガン政権のどこが「小さな政府」なのですか?
そして、レーガノミックス減税で余剰資金を増やした米国の投資家は、“規制緩和政策”が採られても、増大した余剰資金を米国内投資には振り向けず、日本など外国への投資を拡大させていったため、米国経済の景気は低迷しました。
レーガン政権は、不況で税収が伸びないなかで増大していく財政赤字が補填できるよう、「プラザ合意」で人為的なドル安政策と諸外国への低金利政策を押しつけたのです。
(ドル安にしても産業基盤を弱体化させた米国は、輸入物価が上昇したことでかえって貿易赤字を拡大させた)
有名な「双子の赤字」の基礎をつくったのが、レーガノミックスなのです。
88年からのブッシュ政権も、湾岸戦争を行っても米国の景気は低迷したままで、「双子の赤字」も解消できませんでした。
これは、日本の「バブル形成」とも関連することで、米国の投資家が好況を続ける外国に投資を振り向けたからです。
クリントン政権が財政再建を掲げたのも、そうしなければ身動きできない水準まで政府債務が増大したからです。政府債務は、クリントン政権発足時の91年末は3兆6千億ドルで、92年には4兆ドルを突破しています。
クリントン政権になって景気が上向き始めたのは、日本の「バブル崩壊」に負うものです。「バブル崩壊」で行き場を失った日本投資家の余剰資金と「バブル崩壊」でボロ儲けした米国投資家の余剰資金が米国に振り向けるようになったからです。
80円まで進んだ94年の円高と“超低金利政策”を契機にして日本投資家の米国への投資が急拡大し、95年からの米国株式市場の「バブル形成」が始まったのです。
「バブル形成」でさらに諸外国の投資家から資金が米国に流れ込んでくるというサイクルで“米国経済の繁栄”は支えられたのです。
そのおかげで米国の実体経済も活況を呈し、米国の財政も98年から黒字に転換したのです。
花開いたと言われた「ITブーム」も、ほとんどが砂上の楼閣で、99年から2000年にかけて崩壊しました。
“米国経済の繁栄”は、86年から90年にかけての日本のバブルと基本的に同じものなのです。(米国経済に救いがあるとすれば、“土地バブル”がなかったことです)
日本を中心とした諸外国の投資家が、財政赤字を支えるとともに株式市場を押し上げてくれたことで生じた株式の売却益が消費拡大をもたらし、その余録が一般勤労者にも少し回ったというものなのです。
余録が少し回って「一般労働者はその好況のおかげで失業も少なく潤っ」ったことは事実ですが、株式市場の「バブル形成」に回された余剰資金部分を税金として徴収して中低所得者の税金を減税していれば、より基礎的な消費が拡大し、産業基盤の強化もはかれ、多くの国民が“長期的に安定的な生存基盤”を手に入れることができたのです。
これは、日本の「バブル期」についても、まったく同じように言えることです。
“バブル”で一時的に潤っても、その後にやってくる崩壊でどのようなとんでもない目にあうかは、「エンロン従業員」の末路を見ればわかることです。