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投稿者 明星 日時 2000 年 7 月 14 日 12:55:43:
夕刊フジ７月１４日鈴木棟一の風雲・・・永田町 １７２８
諸悪の根源は「新生銀行と国の不平等条約」
結局は法的処理となったが、一時決まった「そごう」の債
権放棄問題は、民間企業の救済に国が税を投入するという前
代未聞のこと。なぜ、こんなモラルハザード(経営倫理の喪
失)が起きたのか。専門家たちは改めて新生銀行 (旧長銀)と
国の間に結ばれた『不平等条約』を『悪の根源』と指摘して
いる。 旧長銀は破たんして国有化され、それが全株式を十
億円で米投資会社･リップルウッドに売却された。これが新
生銀行である。この銀行と国の間で次の特権的契約が結ばれ
た。「三年間に債権が二〇%目減りすれば政府に買い戻しを
要求できる。五十億円を超える損失が出た場合、国が全額を
補てんする」これについて経済評論家の松本明男氏がこう指
摘した。「橋本龍太郎のビッグバンが契機になって日本の代
表的な銀行が外国資本に売り渡された。わずか十億円で。そ
の際に、国民を連帯保証人にする契約をしたことに問題があ
る。契約したのは国有銀行になっていた長鎖のオーナーの金
融再生委員会とリップルウッド社だ」日本の大銀行を二束三
文で売り渡した。しかも、その特約条項がすごい。「向こう
三年間はどんな経営をしても、ヘッジファンド (ばくち)で損
失が出ても、ツケを国に回せば、国が全額補てんする。だか
ら新生銀行は無傷でいられる」。こんどのそごうに対する債
権放棄で改めてこの不平等条約がクローズアップされたわ
け。松本氏の解説つづき。「この国がしりぬぐいをするの
は、国民が連帯保証人にされているのと同じこと。契約書に
あるからどうしようもないが、モラルハザードはまちがいな
い」まさに外資に骨までしゃぶられている姿が浮き彫りに
なったのだ。といって契約だからとそごうに国税を投入すれ
ば、新生銀行が債権を持っているダイエー、セゾン、熊谷
組、ハザマ…とモラルハザードは際限がなくなる。しかも、
自民党にとっては今回の総選挙の敗北に続いて来年の参院選
が戦えなくなる。そこで自民党幹部は次のようにつぶやい
た。「来年四月一日から興銀と第一勧銀と富士銀が合併して
みずほ銀行になる。このみずほか、合併前の興銀が国の負担
を肩代わりできないだろうか」政府、自民党は身から出たサ
ビから地獄の苦しみなのだ。
夕刊フジ７月１３日鈴木棟一の風雲・・・永田町 １７２７
「大御所とプリンス」相手に「白紙」
そごう問題が当面する政局の大問題として浮上した。そごう
の再建計画をめぐり、預金保険機構が九百七十億円の債権放
棄をし、それを公的資金でまかなうことに決まったのだ。こ
れは六月三十日、内閣改造直前のドサクサに谷垣禎一金融再
生委員長によって決まった。これに、野党はもちろん自民党
内からも批判が噴出した。六月二十九日、早くもこの動きを
察知した塩崎恭久氏(参院から今回、愛媛1区で衆院当選)が
宏池会の総会でこう発言した。「谷垣先生が目の前におられ
るが、考え直したらどうか。『とりあえず、そごうを助けま
しょう』というのが自民党政治かと国民は思う。おまけに選
挙中でもあり、国会議員の意見も聞かずに進めている」これ
らを踏まえて加藤鉱一･宏池会会長が七月七日にこう述べ
た。「どの企業が例外として債権放棄の対象になるのか基準
が納得いかない。白紙に戻して党で再検討を加えるべきだ」
このそごうの債権放棄は、宮沢蔵相の同意のもとに谷垣金融
再生委員長が断行したもの。YKKの一人、小泉純一郎氏がこ
う皮肉った。「加藤さんから見れば、宮沢さんは宏池会の大
御所で谷垣はプリンス。大御所とプリンスのやったことを白
紙にしろ、というのだから大変だよな」といってこれは難
問。リップルウッドが十億円で買った旧長銀はいま新生銀
行。この売買契約のときに次の特約条項がついた。「旧長銀
から引き継いだ債権が二割以上き損したら国に買い取り請求
ができる」今回、会計士などの精査ではこの条項が適用され
る、という。事務処理的には正当といえそうなのだ。しか
し、尾身幸次自民党幹事長代理が怒る。「手続き上、仮に正
当でも、トータルで見れば政治として耐えられるか疑問だ」
つまり私企業そごうに一千億近い金を投入して再建してよい
のか。このあとダイエー、セゾン、熊谷組、ハザマなど際限
がなくなるのではないか。加えて、民主党の上田清同氏がこ
う指摘した。「新生銀が、そごうの再建が不可能と見たから
すべてが起きている」国会は当分の間、そごうが焦点だ。
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