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送電線や家電製品、携帯電話などから発生する電磁波が健康に与える影響や防護策を話し合う「国際非電離放射線ワークショップ」が22日、京都市内で開かれた。非政府組織(NGO)の国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)などが主催する4年に1度の会議で、世界的に普及している携帯電話の危険性に対する評価や管理の仕方が焦点になった。
携帯電話は耳につけて使うため、電磁波の安全性が各国で議論されている。人体への影響は科学的に解明されていないが、社会的な関心が高い。会議では「信頼性に欠ける研究が多く、客観的なデータベースができていない」など、国際的な取り組みの必要性を強調する発言が目立った。
スウェーデンのバークビスト博士は、電磁波の「目に見えない」「自分でコントロールできない」といった特徴が、危険性の認識を必要以上に高めていると指摘。携帯電話の基地局建設などにあたっては、専門家と市民活動の代表が直接会って、問題の所在や解決策を話し合う「リスクコミュニケーション」が最も効果的だと説明した。
また、基地局建設の際、事業者があらかじめ住宅地から離したり、規制値を厳しくしたりする「慎重なる回避」と呼ばれる対応策について、同委員会のベルンハルト副委員長は「科学的な判断ではないが、住民の不安を和らげる政治的な判断だ」と評価した。
同委員会は、電磁波や波長の長い光に関する医学、生物学、電気工学などの専門家で構成され、世界保健機関(WHO)と協力関係にある。1998年4月に公表した人体への影響を防ぐためのガイドラインは、各国が採用している。
(19:41)