ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム

 
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投稿者 陰謀王子☆彡 日時 2000 年 5 月 19 日 06:21:59:

回答先: ルイ・パスツール大学の中曽根元総理への名誉博士号の授与について(仮訳) 投稿者 陰謀王子☆彡 日時 2000 年 5 月 19 日 06:20:57:

ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの歴史的背景

以下転載(かなり長いけど、時代背景を探りながら読むと為になる)

生命と心の大陸間共同研究プログラム

ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムのコンセプトは、1987年のベニス経済サミットで提起され、最初はいくらか理想主義的に思えた。しかし時が経るにつれて、生命および脳科学における大陸間共同研究の考えは次第に必要なものとして確認されてきた。

「日本によって提案されたヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの創設を歓迎する。それは、国際的な協力を通じて生物学的機能に関する研究の前進を目的と...。」 これは、イタリアで1987年開催されたベニス経済サミット(上写真)で、日本の中曽根首相による提案を歓迎したG7(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、アメリカ合衆国)共同声明の冒頭部分である。
 日本において、1996年末から、岡本道雄教授、伊藤正夫教授、わだあきよし教授ら多くの日本の科学者によってその可能性に関する検討が始まった。ベニス共同声明以降、岡本教授(内閣総理大臣諮問機関である科学技術会議議員)を筆頭とする、日本、北アメリカ、ヨーロッパの科学者からなる国際的可能性検討委員会が作られた。5か月間で彼らエキスパートたちは、どのようにしたらヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)が机上の理論から現実化できるかという報告書を完成した。彼らは報告書を日本政府に提出した。そこには、「この研究プログラムの現実化には、国家横断的組織を国際的な管理下で創設し、その処理手続きを継続的に監視することが必要である。...学際的アプローチが、しばしば重要な発見を結実する事実を考慮して、我々のゴールは、あらゆる領域の優れた科学者を参加されることである。...最初は、参加国の研究者を援助することになろうが、発展途上国を含む他国の関連研究活動への貢献も検討されるべきであろう。」

計画は受け入れられた 「最初は、西欧諸国の科学者の間には懐疑主義も見られました。なぜなら、日本が西欧諸国の基礎科学研究の成果をとり込もうとしているという心配があったからです。」国立衛生研究所(NIH)のJoseph Rall副所長(アメリカ合衆国)は当時を回想して語った。彼は、HFSP設立に尽力し、初代科学者評議会の委員長を務めた。「日本が真実に全関係諸国で科学的成果が上がることに興味を持っていること、基礎的な生物医科学の重要な基盤を設立しようと希望していることが明らかになったことで、この懐疑主義は消え去りました。」
 また単に政治的な外交辞令として参加し実際の科学的なメリットは少ないとして、このプロジェクトに消極的受容の態度をとった西欧の政府もあった。しかし、実現化計画が進行すると、「提案はずいぶんうまくできている」という噂が、外交官の間で広がり始めた。

早期設立 1988年のカナダにおけるトロント経済サミットで、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムは現実のものとなった。G7の代表は、早期創立さえ要求するようになった。委員会は拡大し国際科学委員会(International Scientific Committee)と改名した。この委員会の委員長として岡本教授と伊藤教授が歴任した。1989年夏、二つの政府間会議が6月に東京、7月にベルリンで行われ、HFSPの2つの研究領域が決定された。それは脳機能と分子論的アプローチによる生体機能であった。この新しい機関には評議員会(Board of Trustee)と科学者評議会(Council of Scientists)、審査委員会(Review Committees)および事務局(Secretariat)という組織がつくられた。活動を律する規則もまた制定された。当初は、毎年30件から50件の研究グラントが採択される予定であった。申請書を作成し、HFSPとの連絡を担当するプログラム対象国国籍の人がいれば、この研究グループに参加して3年のグラント申請をする共同研究者の国籍は問われないこととなった。またHFSPはワークショップの開催費用を準備するとともに、毎年100人から200人の長期および短期フェローシップを採択することになった。
 ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの精神は以降詳細に形作られるようになった。HFSPは科学者間の国際的共同研究を振興する刺激剤の役割を果たすことが決められた。『学際性』もまた強調された、なぜなら異なる手法と多様な思考様式が新しい考えと発見に到達するために重要な役割があるからだ。同時に、創造的研究に重要な役割を果たすと期待される若い研究者を教育し支援する重要性も強調された。このプロジェクトの財政面は日本によって保証された。日本は最初の3年間の全予算を実際支出したのである。

ヨーロッパの中心に こうして、G7国家全てと連結可能な国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム機構(HFSPO)の本部適切な場所さがしが残されていたのである。フランス政府、アルザス地方、ストラスブルグ市の誘致を受けて、1989年10月にHFSPOは、非利益団体として、プログラムの国際的な事務局機能を発揮するためにストラスブルグ市に創立された。高名なストラスブルグ・ルイ・パスツール大学総長であるGilbert Laustriat教授は、ちょうどヨーロッパの中心であり、アメリカと日本の中間点にあたるストラスブルグへの機構設立に中心的役割を果たした。
 ちょうど市の中心にある"Tour Europe"ビルの4階に施設は落成した。竣工式ににおいて、岡本教授は「国際的交流によって、世界の団結はなされます。この意味で、日本とフランス間だけでなく、日本とヨーロッパそして全世界とのこのような交流を設立できたことは喜びにたえません。」と感動を表明した。

 最初のグラントは1990年3月に採択された。これはHFSPの計画が公式に進められてわずか3年の後である。ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの最初の事務局長はイギリスの前医学研究会議(Medical Research Council:MRC)会長のJames Gowans卿がつとめた。「私は、1990年の1月にストラスブルグに赴任しましたが3−4月には最初のグラント採択をしなければなりませんでした。そこで外部に助けを求めました。ほんとにルイ・パスツール大学とNIHには感謝しています。この手助けがなかったら、プログラムは出航できませんでした。また優秀な事務局スタッフにも感謝したいと思います。一緒に仕事ができて本当にうれしく思います。」1990年はまた、欧州連合(EU)が機構に参画した。ついでスイスが1991年に参加することとなった。

高度な研究 その出航後3年後、プログラムの結果と効用について評価する時期が到来した。初代の評議員会の会長である宮崎ひろみち大使は回想する。「1992年1月東京で、HFSPの将来を考慮するために政府間会議が開催されました。 参加者たちは全員が採択された研究の質の高さとピア・レビュー方式の厳格性と質を認識していました。成果の数々は、一連の秀でた科学に対する支援が適切であったこと、また、これが各国国内の研究グラント方式のような伝統的手法では達成不可能であったであろうことも明らかにしました。最後に、種々の対象国の政府代表はHFSPの継続に合意しました。」

 1993年には、日本以外の参加国が財政貢献を倍増し、現在ではその比率は予算の20%に達している。チューリッヒ大学脳研究所所長のMichel Cuenod教授(スイス)が、James Gowans卿の後任として事務局長に就任した。教授の尽力で、年間報告冊子が刊行されることとなり、今号が第6号となった。この冊子でプログラムの指針と研究成果も報告された。Cuenod教授はさらにピア・レビュー方式の手続きや、機構が支援するワークショップを改善した。新しい方式では、いくつかの学説が交錯し、大きな科学的興味が存在するトピックに焦点をあて、各国の第一線の科学者がストラスブルグで一同に会して、新しい研究方向を提起し、新しい科学的協力を確立をめざして討論することになった。新たに、ワークショップは、シリーズで出版され、参加者の発表と討論が掲載されたことも重要な出来事であった。(00−00ページ参照)

科学の監査 プログラムが全面的稼働体制に入った1996年には、1992年に開催された政府間会議の決定を背景とする外部からの監査が行われた。科学研究所の監査に関して有名な二つの組織、ARA Consulting Group Inc.(カナダ)とPolicy Research in Engineering, Sience and Technology (英国マンチェスター大学に基礎をおく)が、プログラムの操作能力を審査し、効率を詳細に調べた。報告書では、設立者によって優秀という評価に答えるように設立されたことを示した。「いくつかのHFSPの特徴は科学支援プログラムのなかでもユニークである。そして、それは、国家横断的かつ大陸横断的であり通常その性質とクオリティーが際だって優れている重要な研究を育むことに成功する多くのコンポーネントからなる。さらに、加えて、それは学際的研究に意味多い支援を供給している。とくに若手科学者を支援している。」

成功の極意 同時に、他のノーベル賞受賞者を6人の指導的科学者からなる外部のレビューパネルが100を越すグラント申請を審査した。報告書はこう結んでいる。「HFSPは、生物医科学の広汎な領域での国際的協働を支援する点で真にユニークである。そして、その機構が全ての参加国の利益となるような科学的に行動な質を保証する。」しかし、科学者の共同体で作られた情熱的な支持が、実際に採択できる数を遙かに上回る申請数の増加をもたらした。「申請数と採択数のギャップ、実際採択されなかったグラント申請の多くが非常に優秀なので、もっと採択数を増やすべきである。」
 HFSPの予算は、採択されてしかるべきであるプロジェクト全部を支援するには不十分である。実際、長期フェローシップ申請は4人に1人しか採択されない。研究グラントにいたってはさらに当選率は低くなり、わずか8分の1である。

フロンティア2002 1997年、ホワイトハウス科学顧問のJohn H. Gibbons議員の招請でHFSPO参加国代表は、ワシントン(アメリカ合衆国)において会合し、将来の方針について討議した。プログラムの独創性と成功に鑑みて、プログラムをさらに5年間継続することが決定された。西欧諸国は、とくに財政的貢献度を増加させ、2002年までに日本と同等水準とすることで合意した。ワシントン会議では、プログラムのさらに国際的かつ協調性次元における発展のために、プログラムへの新たな参加国を歓迎する必要にも言及した。
 この機会に、飯塚幸三会長は、以下のコメントをした。「経済的困難が世界の各国に、国際的プロジェクトからの撤退の圧力となっている今、ヒューマン・フロンティア精神を強化しようという満場一致の結論は、HFSPの重要性、必要性を明らかにするものである。」

3つの祝典 ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの10周年を記念して、進取の精神に乗っ取り、祝典が3か国で開催されようとしている。東京で1998年12月(G7諸国の科学技術省庁の年次会合に時を同じく)、また1999年6月にはストラスブルグで開催され、これには2つのワークショップ(睡眠の制御、細胞分裂のレプリコン理論)が同時開催される。さらに1999年12月にはワシントンで、HFSPフェローシップや研究グラント助成者の成果が発表されるシンポジウムとともに開催される。

http://ppd.jsf.or.jp/pub/pub99/history.html

陰謀王子☆彡より、
全文読んでくれた人、ご苦労さま。
広瀬隆『腐食の連鎖(リング)』にも出てたなぁ……。
そういえば去年、韋駄天掲示板で、比ヤングさんが投稿してたな……。


[2285] ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム

投稿日 5月29日(土)11時59分 投稿者 比ヤング
削除

 本記念行事は、プログラムの実施主体である国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム推進機構が、プログラム創設10周年を記念して、そのインターコンティネンタルな国際研究協力を促進していることを踏まえ、日本・東京(昨年12月開催)、仏国・ストラスブール(本年6月)、米国・ワシントン(本年12月)において開催するものの一環として行われる。
 仏国・ストラスブールでの記念行事では公式記念式典が6月1日(火)に、ワークショップが5月31日(月)から6月2日(水)にかけて欧州議会で行われる予定である。

○公式記念式典
(1) 欧州各国の閣僚級政府関係者による科学における国際協力の重要性に関する講演。
(2) 感謝状贈呈(HFSPの設立及び発展に尽力した欧州の関係者)
(3) ルイ・パスツール大学名誉博士号授与(中曽根元首相)
(4) 「新世紀における生命科学の展望」に関する円卓会議

http://www.sta.go.jp/shisaku/shinkou/90416_2.html




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