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高級住宅地で「核シェルター」が売れている。
週刊新潮99年2月11日号
これも北朝鮮の核ミサイル疑惑とノストラダムスの大予言の影響なのだろうか。
「最近、自宅の地下K核シェルターを作る人が増えているという話をよく聞きます」 と言うのは、さる大手ゼネコンの幹部氏だ。
「何でも一般家庭向けの核シェルターには、カプセル型と地下室型があるそうです。いずれも分厚い鋼板やコンクリートで被われ、核爆弾による被害を防げるだけでなく大地震にも強い。空気清浄装置付きならば、放射能や毒ガスにも対応できる。電気は自家発電で、トイレにシャワー、貯水タンクもあるそうだから長期居住も可能だというんです」 もっとも、建設費もそれ相応にかかるそうで、 .
「もつばら購入するのは金持ですよ。田園調布や芦屋といった高級住宅街で、秘かに売れているという話です」
実際はどうなのだろうか。
「核シェルターの需要は、間違いなく増えています」
という○は、1年前から東京で核シ=ルターを専門に販売しできた『日本シェルター研究所』の日下郁諒社長。
「当社は地下室型のものですが、今までに約800施股を販売しています。99%が個人向けで、従来は年間30件だった注文が一昨年から60件と倍増しました。ただ、売れているのは高級往宅街だけではありません。購入者をお教えすることはできませんが、地域は全国にわたっています。最近の傾向は、宗教関係者からの注文が全体の半分を占めているということですね」
やはり世紀末ならではの現象か。気になる価格は、空気清浄装置と建設費込みで、10坪のシェルターだと最低1400万円はするという。
「ここ5年間で600件の間合せが来ています」
というのは、8年前に大阪で『シェルルター』という会社を設立じた西本誠一郎氏。もともとは囲碁、将棋メーカーの社長だが、敬虔なクリスチャンで、聖書の終末論に影響を受けて核シェルターの販売を始めたという変り種だ。「これまでの購入者は銀行役員、実業家、’魚屋の3人ですが、現在は、ある米屋と音楽家とも契約交渉をしています。ウチはやはり阪神大震災の影響で関西からの注文が多いですね。資料請求も2年前から殺到していて、芸能人からの問合せも増えています」こちらはシェルター本体が980万円から。工事費は坪70〜80万円だそうだ。
何だか暗澹たる気持になるが、「今後は日本でもシェルターは必要です」とは国際政治学者の舛添要一氏の話。「2OO0年にコンピューターの誤作動でロシアの核ミサイルが発射される危険があるし、北朝鮮ノドンもいつ飛んでくるか分らない。大地震の可能性もある。だから僕は今度の年末年始は山に龍もるつもりです。もっとも、核シェルターは買えないから、防空壕を掘る予定ですけどね」