「世界は江戸化する」推奨します。


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投稿者 倉田佳典 日時 1999 年 1 月 04 日 17:36:39:

回答先: 近代世界システムの限界を400年前に見破った日本人 投稿者 たけしくん 日時 1999 年 1 月 04 日 16:20:19:

世界は江戸化する
「日本が作る新文明」、入江隆則、講談社、1992
この本、すごく面白いです。もう、3─4回読んでしまいました。(^-^;
思い出して読んでみましたが、新年早々、久しぶりに「燃え」ましたよ!
興味のある方は是非読んで見て下さい!!
 反論も、もちろん歓迎します。
 もう、絶版なら、著作権者の許諾を得て(笑い)全文を★阿修羅♪HPに
掲載してもらいたいと思うくらいです。
以下、一部電子化して無断転載。
続きを、また時間をみてアップします。
なお、装幀の倉田明典氏は、私とは一切関係ありませんので、念のため。

目次
プロローグ 微小なるものについて/11
   「治者」としての日本  「治者」たることの不幸と重荷  事件・
   局面・長期持続  巨大な毒虫に変身した日本  日本史は世界史
   に先行する
第一章 狭小空間の地政学
  I 「海洋」と「大陸」の相剋史を超えて/31
    海洋国家の「終りの始まり」  アングロ・サクソン自滅への警告
    イギリスがみる悪夢  はかりしれない中央ユー‐ラシアからの圧力の影響  アジアでは海洋国家は育たなかつた  日本の運命を変える新しい史観
  2 与える者と奪う者/49
   リヴァイアサンとビヒモスの死闘  大宇宙を模倣するフラクタル
   な小宇宙  「気前のよさ」が権力になる  暴力を制御できるの
   は暴力だけ  権力の詩学
  3 ハイテク「江戸」のヴィジョン/≒
   突如として「狭く」なつた世界  歴史上つねに起るりージョナリズム  貿易圈構想は半世紀前の幻想  「パランス・オブ・パワ―」より「バランス・オブ・エブリシング」  世界の未来を先取りした日本
 第二章 狭小空間の安全保障
    I 第三の王国/123
     神は日本に「空の王国」を与えた?  「新たな予年期」  NAS     A技術文化の衰退  意外だつた旧ソ遠の健闘  暴力のための密室となり得る日本  活路としての宇宙
    2 なぜオランダは衰亡したか/106
     吉田茂の誤り  日本は「不思議の国」のままなのか  傭兵に頼って滅びた国  繁栄がいかに他国の嫉妬を呼び起すか  日本から攻撃をしかけて得になる国はどこにもない
   3 知的参謀本部をつくれ/123
     知つていること自体が力になる  勝者アメリカにとつても異常だった日米関係  町人国家の致命的な弱さ  東芝機械ココム違反事件の大きな謎  「自然の成り行きに任せる」だけでは敗北する
 第三章 環境を制する者
   l エコロジーは江戸に学べ/143
    治水を制する者は世界を制す  感嘆すべき江戸時代のエコロジー    宇宙「植民地」の可能性  ポスト・フロン市場争奪戦
   2 砂漠との闘い/157
   砂漠開発の文明史的意味  氷河期のほうが緑が多かった  「砂漠の思想」を日本が超える  日本の「自然主義的」アプローチ   スペースコロニーがファッションになる時代
  3 近代合理主義がたどる悪魔のプロセス/173
   「地球」は日本の協力者  拡大と収奪の歴史が終る  人間中心主義のなかにひそむ悪魔  アメリカの根源的苦悩  日本よ、小志を抱け
第四章 未来形の歴史
  I 慣習の統治 言語の統治/}
   「昨日の世界」に生きている日本  見果てぬ夢と苦悶  日本は普遍理念をもつべきか  理念なしで繁栄したバックス・ブリタニ   カ  「近代西欧」に対する修正モデル
  2 日本の言語の歴史と日本人/208
   現代日本は「再・江戸化」の時代  物語は人間の正気からつくられる  十分でなかつた日本人の言語体験分析  文字の出現が人間の意識を変えた  漢字が渡来したときの想像を絶する混迷   現代と酷似する「穢汚きこと」を通り抜けるプ口セス  日本人は歴史の終末への運動を禁止した
  3 抑制の美学/228
   「江戸化」は日本だけの特殊現象ではない  自らに抑制を課した日本人  「合理」と「道理」のちがい  信長の「壮大への渇仰」はむしろ古代の亡霊  日本人はなぜ鉄砲を捨てたか
エピローグ新しい歴史の始まり/249
   途方にくれる西欧  やがては西洋が日本化する  ポスト戦争システム  地球最後のフロンティア  次の段階の歴史  過去と遭遇する未来
  あとがき/268
                        装幀*倉田明典

リヴァイアサンとビヒモスの死闘より、抜粋

 大陸国家と海洋国家の、人類史のかなりの部分を占めている闘争の歴史は、比喩的にいえば、海の巨獣リヴァイアサンと陸の巨獣ビヒモスの死闘の歴史だったといえる。旧約聖書のヨプ記をはじめ、 ユダヤの終末論、聖書外典、預言書等はしばしばこの二匹の怪獣について述べていて、『両者はともに混沌(カオス)の産物であつてヽ海の動物たちはリヴァイアサンを自分たちの主と
して崇め、陸の動物たちはビヒモスを自分たちの主として崇めている。かれらは世界の終末近くに現われて、ともに恐怖の支配を確立するが、両者は絶え間なく互いに争い、結局は同士打ちになつて、いずれも滅びてしまうとされている。
 これはむろん一つの神話もしくは寓話にすぎないが、それにしては気味が悪いほどよく現代の状況をいい当てている。
 近代の海洋国家を代表するイギリスの思想家ホツブズの国家論は、まぎれもなく『リヴァイアサン』と題されていたし、近代大陸国家の一つの極限的形態(あるいは東欧支配によってそれをめざしていた姿)だったと思われるナチス・ドイツの国家構造を分析したフーフンツ・ノイマンの著書は、これまたまさしく『ビヒモス』と題されていた。
 ノイマンの描いた専制国家の形態は、ゴルバチョフが出現する以前の旧ソ連の姿にある点まではきわめてよく似ていたし、ホツプズの「リヴァイアサン」は、バックス・プリタニカからバックス・アメリカーナに引き継がれ、現在にいたるまでのアングロ・サクソンの行動を規定している。
 そして地球の現況は、「リヴァイアサン」としてのアメリカが「ピヒモス」としての旧ソ連を完全に囲い込んで、あたかも最終的勝利を握ったかのような様相を示している。聖書の預言では、ビヒモスが死滅するときはリヴァイアサンの滅びるときでもあるのだが、はたしてそうなるかどうか、当分スリリングな状況が続きそうである。
 マツキンダーの海洋地政学を比喩的にいい換えると、リヴァイアサンは古代エーゲ海のクレタ・・・




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