投稿者 dembo 日時 2001 年 12 月 07 日 18:07:32:
テレビではニュースやワイドショー以外 戦争の事に触れないのは何故だ?
まるでタブーになってるかのよう もっと自由に話題にすべきではないのか?
自主規制でもしているのか?
アメリカ大本営発表に逆らう発言はイケナイと 釘でもさされてるのか?
情けない.....
最新のゴジラ映画に出演している天本英世が そのゴジラの映画のサイトで
戦争(太平洋)で死んだ人は単なる犬死にだった と発言していて
そのインタビューが面白いので 今もう一度行ってみたら驚き 削除されてる!
もはや(というかずっと前からか)日本にも言論の自由なし
正義の戦争もウソ ジハードもウソ みんな犬死にじゃ〜
太田君は 前の号でも「大きすぎる力(核)をコントロールできなくなった人間」
というテーマで文を書いていた チョムスキーファンなのか?
これは 今週号のTVブロスから
このほか このあほくさい『テロとの正義の戦い』について触れているものがあったら
投稿お願いします
「サンタクロース」 太田 光(爆笑問題)
砂漠に風が吹いて、砂が舞っている。近くで、タタタタッという乾いた銃声がして、
老兵は砂の上に腹ばいになって身を隠した。遠くで戦闘機の爆音が聞こえる。
顔に巻いたスカーフを取ると、老人の白いヒゲは黄色く濁っていた。
口の中に砂が入り、ジャリッとした感覚がした。水筒の水を口に含み、その場に吐き出
した。うっすらと血の味がする。肩に掛けたズッシリと重い機関銃を砂の上に置いた。
この戦いが始まってから、もうずいぶんと長い時間が経過している。彼らはいつまで抵
抗し続けるつもりなのだろう。老人はたったひとりでこの戦闘に参加していた。だれに
もその存在を知られてはいない。
この砂漠のむこうには、希望のない、貧困な街がある。砂の上で休む度、いつも老人
の脳裏に浮かぶのは、その街にいる痩せ細った子供達の不安そうな瞳だった。あの子供
達のために老人は銃を持った。そのつもりでいた。しかし、この自分の戦いが子供達の
望む事ではない事も常に感じ続けていた。背中のリュックの中には本来の老人の服が入
っていた。赤い帽子と服に、黒いブーツ。自分の存在自体がこの世界の抱える矛盾その
ものだった。
あの子供達が望むプレゼントは何なのだろう。いくら考えても答えは出ない。老人を
悩ます望みを持った子供達はこれまでにもたくさんいた。「毒薬」を望んだ子供がいた。
「なんでも見つめられる目」「自分の代わりになる子供」。世界中を何度も旅して来た
老人の記憶の中には、実にようような子供達の望んだプレゼントが残っていた。
老人は、もう何百年もの間生きて来た。死が自分に訪れる事を望んだ日々は、とうの
昔に過ぎ去った。これからあとどのくらい生き続ければ人間の戦いは終わるのか。あと
世界を何回まわる必要があるのか。
ふと気がつくと、砂のむこうに日が沈みかけている。
老人は、底しれない恐怖感に襲われた。これまで何度も繰りかえされた、自分の存在
自体がこの世界から否定されているような感覚だった。老人の敵は、老人とは完全に違
う世界の価値観を持った兵士達だった。その兵士達は、かつては子供だった。その子供
だった頃の彼らの表情を一人一人、老人は覚えていた。老人の手にする銃の先には、そ
の子供達の姿があるのだった。
すぐ近くで爆音が響いた。誰かが地雷を踏んだのだろう。どちら側の兵士かはわから
ない。老人の脳裏に、人間のからだが粉々に砕け散るイメージが広がる。暗闇に身を潜
め、強烈な耳鳴りの中で、ふるえながら、老人はひたすら神への祈りの言葉を唱え続け
た。その神は、彼らの信じる神ではない。
彼らが唱える”聖戦”という言葉は、あまりにも重く、老人の背中にのしかかってい
た。”あの人”が生まれた日。もうすぐその日がやってくる。あの人が生まれた、その
日からこの戦いは始まったのだ。老人は思う。その日、あの子供達の家に自分は何を届
ければいいのか。あの子供達が望むのは、自分の言う存在の否定であり、自分の死なの
かもしれない。
暗闇の中で、老人の涙は止まらなかった。