投稿者 付箋 日時 2001 年 10 月 18 日 20:06:12:
「週刊文春」 2001・10・25
厚労省は何故箝口令を敷くのか!
首都圏在住女性に「狂牛病発症」決定的!
「(狂牛病に感染した)患者は国内では出ないと思うね。昨日もその話になって僕は出ないほうに賭けたんだよ。五、六年は出ないかもしれない。ヨーロッパに滞在した人達に出る可能性は十分ありうるが、国外の話だから、僕らに関係ない。こっちの責任にならないから、いいの」
ある厚生労働省幹部(健康危機管理担当)の呑気な見解である。
しかし、狂牛病の現実は、こんな甘いものではない。
現在、わが国の脳神経医学者らが、一刻一刻、容態をかたずを飲んで見守る患者が一人、存在している。むろん、「狂牛病」感染の疑いがかかった患者である。
---狂牛病感染の疑いが持たれているのは、首都圏のある大学附属病院に入院中の十代の女性患者である。首都圏に在住し、ごく普通の日常生活を送っていたが、手足が小刻みに理由なく震えるようになった。
そして三カ月前の七月のある日、突然、痙撃発作を起こし、精神・神経専門の医療機関を両親と訪れ、そのまま入院した。
治療を担当した医療スタッフ(神経内科)の証言である。
「若い患者だったので痙撃は”てんかん”のためだろうと診断し、抗てんかん薬を処方しました。しかし、症状に改善がみられず、いろいろと検査を繰り返し、脳のMRI(断層画像撮影)も撮ったのですが、脳の所見では異常がまったくみられなかった」
快活だった女性は入院中、病室でポンヤリとすることが多くなり、歩く際も身体がフラフラし、次第に足元がおぼつかなくなった。
「薬の副作用なのか、症状なのか、非常に判断がつきにくい状況でした。病状は改善することもなく、急激に悪化することもなく、緩徐な進行でした。うちでは原因がさっぱりわからず、診断を下す決め手がない状況でした」(同前)
入院からニカ月が経過した九月下句。
家族の強い要望で大学附属病院へ転院することが決定した---。
先週開かれた自民党の総務会で、農水族議員から、何の根拠もなく、「安全宣言」を求める声が相次いだ。しかし、不安を感じつつも牛肉を日々、口にしているわれわれ消費者は、ありのままの事実を今こそ、知るべきではないか。
今回の発症ケースには二つの重大な意味がある。
一つは、この時点で彼女が「狂牛病に感染した疑いがあること」を前述の医療機関が、管轄の厚生労働省に報告したという事実である。確定診断が下れば、国内では第一号患者になる。
二つ目は、彼女には海外への渡航歴が全くなかったことだ。発症が確実になれば、その感染源である汚染牛が国内に多数、すでに存在していることが裏付けられることになる。
狂牛病の潜伏期間は三年〜五年と人によって個人差が大きい。この十代の女性が発症していることが判明すれば、さらに被害者が出てくる可能性が高い。
現時点で、この女性は「狂牛病」患者と断定(確定診断)されたわけではない。なぜなら、断定するためには、脳の解剖など、生存中の彼女には不可能な検査が多いからだ。
ではなぜ、小誌は「決定的」と判断したか、以下に彼女の病状についての取材結果を報告する。
牛に発生した異常型プリオン蛋白が、人にも感染することは、一九九六年十月、世界最大の狂牛病汚染国であるイギリスの科学雑誌「ネイチャー」に研究論文が掲載され、動物実験で実証されている。
イギリス、フランスなどヨーロッパ諸国では、汚染された牛肉を食べ、経口感染したとされる狂牛病発症者が次々と出て、二〇〇一年度で百十人に達した。
だが、発症者がいないわが国では狂牛病感染の診断は大変困難だと医師たちは言う。
(後略)